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最終更新日:2025/4/1
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部署名ビジネスエンジニアリング本部
オースビーの事業を一言で表現するなら「組織の改革」です。改革とは、つまるところ組織に所属する人々の行動をガラッと変えることです。そして、人々の行動を具体的かつ強制的に変えるための重要な道具が、コンピューターによる情報システムです。組織の改革をする上で、情報システムをどうするか、という命題は避けて通ることができません。ここでは、私がオースビーで仕事をする中で培ってきた、「組織の改革」に資する道具としての「情報システム」について、その考え方の一端をお伝えします。
新たな道具の登場は、人の思考様式を塗り替えます。例えば、自動車の登場は、人が思い描く「時間あたりの移動可能距離」を大幅に長くし、一方で道をそれまでより危険な場所として認識させ、また運転自体を楽しむという新たな価値観を生みました。情報システムもまた道具であり、人の思考様式を塗り替えます。しかも、他の道具とは比較にならない程、劇的にです。それは、情報システムが文字通り「情報」を扱う道具であることに起因しています。情報システムは、同じく情報を扱う器官である人の脳のあり様に、直接的かつ多大な影響を及ぼします。つまり、情報システムの活用により、組織の改革に資する「人の思考様式の転換」を創出できるか否かが、改革の成否を握ります。情報システムを業務の効率化・精度向上・利便性向上の道具としてのみ捉えていると、肝心の「組織の改革」が進まないばかりか、逆行をももたらします。
私が携わった改革の事例です。あるクライアントにおいて、個々の担当者が個別に工夫を積み重ねていった結果、当人にしか実際の中身が分からなくなった業務がありました。担当者は様々な業務上の判断を行っていますが、上司からはその結果しか見えません。状況変化や問題の発生時に組織としての対応ができない、大変危険な状態です。オースビーはまず、その業務の現実を、丸ごと分かろうとします。いわゆる手順やルールだけでなく、ある瞬間に担当者が最も気にしていること、具体的な一挙手一投足といったごくごく詳細から、全体を俯瞰しての業務の意味まで、ズームイン・ズームアウトを繰り返しながら、つながりや構造にとどまらず、そこに込められた意味や人の意思を明らかにしていきます。ここで大切なのは、絶対に分かることができるはずだという思いと、そう簡単には分からないものであるという思いの両方を持つことです。専門的なことは自分には分からないだろう、という諦めや、何となく分かった気になる、という早合点のいずれにも陥らず、人が本来持つ「分かることへの欲求」に素直に従い、現実をとことん見つめます。
こうして明らかにした業務を基に、オースビーがつくり上げた情報システムは、担当者の思考過程をつぶさに情報システムに入力しなければ、次の業務に進むことのできないものでした。結果を最速で得られるのが効率的、という「効率化」の観点から見れば、全くの逆です。「非効率」なシステムです。しかし、この情報システムを使い始めた担当者は、以前ならどれだけ要求しても決して為されなかった行動を、自発的にし始めました。自分の判断の根拠やその背景にある考え方を、上司に報告したり、他の担当者と共有したりし始めたのです。思考過程の入力を強制された結果、「これでよいのだろうか」「そもそもなぜこう考えるのか」「今回は前回とは状況が違うのではないか」といった問い直しが誘発され、それを誰かに話さずにはいられなくなりました。担当者が直面する個別の事態に対して、担当者個人の力だけでなく、組織の力を結集して対応できるようになったのです。この行動の変化こそが、あらゆる組織が求めてやまない「改革」そのものです。
上記の事例で、もしオースビーが「効率的」なシステムをつくっていたとしたら、どうでしょうか。個人の行動の変化はもちろん、組織の変化も生まれず、それどころか人々の思考は目先の効率にのみ向けられ、ますます組織の分断が進む結果を引き起こしたでしょう。実際、世の中には、効率追求の結果、人本来の力を毀損する方向へと思考様式を変えてしまう情報システムが溢れています。オースビーは情報システムを、徹頭徹尾、改革の道具として扱います。人の思考様式に対する理解をベースに、現実を見つめ、人の行動を変化させるために情報システムが如何にあるべきかを考え抜いて、つくり上げるのです。