最終更新日:2025/4/1

(株)オースビー

業種

  • コンサルティングファーム
  • 情報処理

基本情報

本社
大阪府
PHOTO
  • 役職
  • 法学部

成長するとは「捨てる」こと

  • 藤田 裕人
  • 東京大学
  • 法学部 第2類
  • 統合・推進本部

会社・仕事について

ワークスタイル
  • 最先端技術に触れる仕事
  • チームワークを活かす仕事
  • 人を育てる仕事
現在の仕事
  • 部署名統合・推進本部

人はいつ成長するか

成長とは、新しい力や知識を「加える」ことだと考えるのが一般的です。しかし、これまでの社会人経験を振り返ると、正反対です。自分が成長したのは「加えた」時でなく「捨てた」時でした。そして「捨てた」ことにより、自身の成長に留まらず、組織の成長も引き起こしたのです。
それを実感したのが、私が大手広告代理店X社の全社改革プロジェクトに参画した時の事です。プロジェクトは既に終盤戦で一刻を争う状況。プロジェクトマネージャーであるX社経営企画部長から「移行チームの状況が見えない。このままではプロジェクトの総決算である新システムへの移行が絶対に終わらない。立て直してほしい」とご要請を受け、私の上司が移行チームのリーダーとして、私がリーダー補佐として参画しました。
参画後初日にプロジェクトが進まない状況が分かりました。移行チームメンバーであるX社社員の方々はチーム内の打合せの場で「プロジェクト上層は状況を全然分かっていない」「上層が勝手に決めたことだが、仕方ないから従っている」と口にされました。
人と人、組織と組織がお互いに分かり合おうとせず対立し、仕事を真っ直ぐ進められなくなっていました。


結論を持つな

私がこの状況を変えるきっかけを掴んだのは、移行チームメンバーであるAさんとのやり取りでした。
AさんはX社のシステム部門で30年間仕事をされ、X社の業務・システムを熟知された方です。私が、プロジェクトの状況からも自身の経験上も、当然すべきと考えたタスクを指示した時のことです。「必要なのは分かるが、今そのタスクをしている時間は無い」と突っ撥ねられました。私は“時間を理由にやるべきことを諦めるのはおかしい”と思い、そのタスクが必要な理由をAさんに繰り返し伝え、私の指示の正しさを納得頂こうとしました。しかし、どれだけ説明してもAさんの回答は変わりませんでした。
上司へありのまま状況を報告した際、上司から「Aさんはなぜ『今そのタスクをしている時間は無い』と仰ったのか」と問われました。私は、何かを答えようとしましたが、言葉になりませんでした。私は、自分の正しさを主張するばかりで、Aさんのお考えをお聞きしようとしていなかったのだ、との思いが胸をよぎったのを覚えています。そして、上司から「結論を持つな。やり取りのその場の情報だけで考えよ」と指示を受けました。


現実をそのまま受け止めようとする

私は再びAさんの所に行き、「今そのタスクをしている時間は無い」と仰った理由をお聞きしました。Aさんは一瞬訝しげな顔をされましたが「事業存続上クリティカルな債権債務の課題解消に今は注力すべき。他のことに力を割いている場合ではない」と切実な認識を徐々に吐露され始めました。

人には思考や対人行動の癖があります。それは若いころに形成され次第に強固になります。大人になるにつれて上辺を取り繕う術を身に着け、悪い癖は出にくくなるものですが、切羽詰まると人はそれを露呈します。この時私は「今まで何度も言われてきた悪い癖がまた出ている」と思いました。悪い癖とは「正しいことを伝えて相手の諾否を問う」姿勢です。
“自分が正しいか否かなんてどうでもよい”
そう思った私は、さらにAさんの認識の背景にある現実を必死に分かろうとしました。初めは警戒されていたAさんも表情が少し柔らかくなり、私の話に耳を傾けるようになりました。
結果的に私が当初からお伝えしていたタスクを行うことで決着しました。この時、Aさんがすっきりした表情で納得され「ここまで話を聞いて頂けたことに感謝します」と呟かれた姿が今も心に残っています。


想像を超えたチームの変化

自分が持っていた結論を一旦置いた瞬間は、私が、自分が正しいか否かへの囚われを捨て、現実を本当に分かろうとし始めた瞬間でした。
この時から私は動きを変えました。
とにかく移行チームメンバーの話に耳を傾け、自分に見えていない現実を分かる。新たに分かったことを元に次の動きを決め、人を動かす。その度に様々な現実が明らかとなり、問題が分かり、チームの仕事はどんどん増えていきましたが、同時に、それを上回るようにチームの熱量が増していくのを肌で感じました。人は現実に向き合った時、本気になるのです。
プロジェクト終了間際、移行チームは全く別のチームに変わっていました。互いの認識や思いをストレートに出し合う信頼関係のある、仕事を真っ直ぐに進めるチームです。
結果、移行チームは「絶対に終わらない」と言われていた新システムへの移行を予定通りやり遂げることができました。


「捨てる」人が商品

仕事が進まなくなっている組織では、多くの場合、新しい力や知識が不足している訳ではありません。個々人の力や知識は足りているのですが、人が何かに囚われているために各人の力や知識を繋げて組織の成果として結実させることができなくなっていることがほとんどです。そのような組織で、まずは自身の囚われを捨て、仕事に真っ直ぐ向かう。そしてその動きにより周囲の人々の囚われを外し、各人の資源を仕事の場に引き出す。引き出した資源を組織の成果へ繋げる。それが、顧客の組織改革を先導する時に私が心掛けていることです。
改めて考えると、自身の成長自体がそのまま顧客組織を成長させる商品となる、稀有な仕事だと思います。まずは私が、自分を見つめ、余計な囚われを捨て、仕事に邁進していきます。


会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

トップへ

  1. トップ
  2. (株)オースビーの先輩情報