最終更新日:2025/6/12

(株)佐賀電算センター

業種

  • 情報処理
  • ソフトウエア

基本情報

本社
佐賀県

取材情報

DXが変える、私たちの仕事

自社開発「AI文字同定候補抽出サービス」で特許取得。長年の悩みをDXで解決!

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デジタル庁事業にも参画する、自社開発のAI技術が生まれた軌跡

標準的な文字コード規格では扱えない「外字」。特に人名に使われる漢字は、自治体が管理するだけで何十万、何百万とあり、文字情報整備が必要でした。そこに大きく貢献したSDCのメンバーにインタビュー!

■デジタルソリューション事業部 R&Dセンター
新名 玄(写真右)
2020年中途入社/佐賀大学大学院 工学系研究科 システム創成科学専攻/工学博士

■営業本部 公共事業部 企画営業1部1グループ
大石 雅人(写真左)
2015年入社/佐賀大学 理工学部 物理科学科 卒業

<R&Dセンターとは>
2020年6月、国立大学法人佐賀大学キャンパス内に共同研究開発拠点として「SDC R&Dセンター」を開設。チャットボットやAI文字同定候補抽出サービスなどの研究開発を行うほか、学内の業務改革の実現や学生の人材育成に寄与します。また、相互に連携と協働を推進することで、当センターでデジタル人材を育成し地域産業の活性化と発展を目指しています。

SDCの研究開発部門として、クリエイティブな開発に取り組める環境【新名】

R&Dセンターでは、新たな技術やサービスの創出に向け、最先端の技術調査やデータ分析・実験を通じて革新的なソリューションを追求しています。基礎・応用研究を繰り返しながら新しい技術を開発するだけではなく、社内外の課題解決やアイデアの具体化をボトムアップで進めることで、試行錯誤を重ねながらこれらの技術を実用化へとつなげています。例えば、軽量型の自然言語モデルを独自に開発し、2年前にリリースした自社のチャットボットをさらに強化する取り組みや、車両ナンバー認識システムでは、自動車だけではなくバイクに応用するための研究開発などを進めています。

自然言語でいえば、近年、多くのホームページにチャットボットが活用され、誰もが気軽に質問できるようになりました。ただ、日本語には表現や文字の表記に揺らぎが多く、質問の仕方によっては回答に辿り着けないこともあります。大規模言語モデルもありますが、使用するとなればコストが膨らみ、一度外部に情報を出すため、セキュリティの観点から難しいと判断する案件も多くあります。それを解消するため、軽量化を図りながら高精度のサービスを実現できるよう開発しています。バイクの車両ナンバーに関しては、位置や分類番号、地域、形などクルマ以上に多くのパターンがあり、膨大なデータ収集が必要になるなど高いハードルがありますが、技術的にブレイクスルーしていく取り組みを進めています。

特に大きな反響を集めたのは、特許を取得した「AI文字同定候補抽出サービス」です。パソコンの中には文字が登録されており、自分の名前を入力すると表示することができます。しかし、人名には常用漢字の幅をはるかに超える約100万以上の外字があり、戸籍や住民票などの名前に多く用いられています。これまで外字は自治体ごとに管理され、辞書にない文字もありました。そのため、外字を行政で用いられる統一の文字(行政事務標準文字)約7万字に置き換える動きが始まっています。

文字画像から似ている漢字を検出するOCRと呼ばれる文字認識機能もありますが、人名の外字の場合、少しでも異なると法律上で本人だと認められないなど、精度の高さが要求されます。そこで自社開発を進め、複数の自治体で実証・サービス化を行いました。その高い評価がデジタル庁の目に留まり、全国1,788の自治体の文字同定作業を支援するデジタル庁の事業にも参画しています。

先輩からひとこと!

「研究開発には発想力が重要。世の中の課題をどう捉えるか、その周辺分野にも目を向け、こうしたら面白いのではないかと技術開発できる自由度の高い仕事です」と新名さん。

佐賀から全国、世界で活用されるシステム開発に携われるやりがい【新名】

「AI文字同定候補抽出サービス」の開発では、技術的にいくつものハードルがありましたが、最も難しかったのは、人の目でもわからないほど似ている漢字を別の文字として認識することです。その一方で、文字を包摂する基準があり、漢字の見た目は違っても、同じ文字として認識しましょうという異なるルールが混在します。相異なる条件があることは、AIにとって大問題。共通ルールを見つけることが得意でも、矛盾したルールを適用しようとすると上手くいきません。また、自由な書き方ができる仮名の続き字も柔軟に認識しなければなりません。約7万字という膨大な種類があり、対象となる字は数百万文字レベルに達するため、AIにどう学習させるかに苦労しました。

学習させるための技術を開発し、特許技術として申請。膨大な数の字を認識できるよう開発を進めました。具体的には、複数のモデルを使い、適材適所に切り替えて認識しています。合わせて26種類のモデルをつくり、問題に適合するようバランスを図りつつ、学習の全てをAIに任せるのではなく、人による確認と調整を慎重に行いながら開発。現在は、自治体の人名の部分で活用されていますが、同じような問題を各省庁・様々な業種業態の企業が抱えています。組織の屋号などもその1つ。高齢化社会で人手を割けない時代が迫る今、紙で保存されている情報のデジタル化とデジタル化した情報の共通化はマストの課題であり、その課題を解決できるAI技術になれると考えています。

学生さんからすると、佐賀の中小企業が国の仕事を請け負うイメージを持つのは難しいかもしれません。私自身、発展途上にある領域に、九州からチャレンジできる環境に魅力を感じて当社を志望しました。今回の「AI文字同定候補抽出サービス」でも柔軟な発想を持って取り組むことで、地方の企業でも大きな領域に貢献できることが証明されたと思います。某大学にあるAIスーパーコンピ ュータには届きませんが、国内でも有数の規模を備えるマシンを揃える当社だけに、ほとんどのAI開発がオフラインでも実施できる環境があります。さらに、高い頻度で情報共有の場があり、学びたい、知りたいことを学べる機会に恵まれる会社です。

先輩からひとこと!

日本の市場規模が縮小傾向にある今、海外需要に向けた技術開発や発展応用にもチャレンジしていきたいと先輩たち。国や世界の課題と向き合える仕事だと話してくれた。

自分のアイデアがカタチになり、全国に広がるワクワクを実感!【大石】

DXというキーワードが社会的に定着しつつあった2021年2月当初、SDCとしてDXソリューションを生み出していこうという動きがありました。社員からアイデアを募るタイミングがあり「AI文字同定候補抽出サービス」の原案となる企画書を提出。社内プレゼン後、企画構想から実証先の選定、商品展開まで全てに携わることができました。当社の営業は、営業と企画の二刀流でお客様に様々なソリューションを提供しています。私自身「AI文字同定候補抽出サービス」に近い作業を自身で受け持つ機会があったこと、人手をかけた作業が発生するとエンジニアの方に聞いたこと、国で閣議決定された資料で行政事務で使用する文字を統一化する流れがあると読みとったことから、社会的ニーズを見出しました。

R&Dセンターでプロトタイプが完成し、社内でお披露目された際には「将来は国から求められるかも!」と期待値が上がりましたね。結果として、自治体から「長年かけて苦労してきたことがAIで解決できる」と高い評価をいただきました。複数の自治体で実証テストを進め、自社サービスとして300以上の自治体やIT業界に拡大。現在、全国1741市区町村と47都道府県を支援するデジタル庁の事業にも参画しています。まさにDXで大きな変化をもたらすことができました。

IT業界を志す人に大事な要素は、アンテナを高く伸ばし、新しい内容や技術に取り組む姿勢を持つことです。DXの領域は幅広く、各社がいろいろなソリューションを提供しています。他社の動きをキャッチしながら、自社ならどのような強みを出せるのか、新しいサービスを創造することもあるため、課題を見つけ、どのような技術や方法で解決できるのかを考える必要があります。課題に気づくことも大事ですし、ゴールに辿り着くまで様々な努力も必要です。しかしながら、その頑張りが社会課題の解決に役立つ喜びもありますね。自分のアイデアに対し、高い技術力を持つエンジニアが形にした今回のプロジェクトでも、大きなワクワクを感じることができました。若手のアイデアにも耳を傾け、その実現化に向けて動く柔軟な企業風土を持つのも当社の大きな強みだと感じています。

先輩からひとこと!

「企画力と技術力で社会に貢献できる、DXを通じて世の中を変えられる、自分のアイデアをカタチにできる当社に興味を持っていただけると嬉しいです」と大石さん。

企業研究のポイント

企業研究でおすすめしたいのは、会社の企業理念や事業内容、どんな製品・サービスを提供しているのかなど、会社の情報を集めることです。気になる企業があれば、できるだけ先輩を訪問し、インターンシップに参加するなど、そこで働いている人たちと会い、職場のリアルな雰囲気を感じることで、企業研究を深めることができると思います。
SDCでもオープンカンパニーやインターンシップなど複数のコースを用意しています。実際に働く社員と交流できるなど、職場の雰囲気をそのまま伝えられるように工夫しています。BtoBの事業形態ですので、大半の学生さんが当社の社名を知らないと思いますが、お伝えしたいのは、全国的に業界トップクラスのシェアを持つ製品を多数保有していることです。佐賀に本社があるため、佐賀を中心に活動している企業、九州圏内の仕事をしている企業というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。しかしながら、実際は全国規模で事業を展開しており、佐賀・福岡にいながらも最先端の開発に取り組める環境があるのも当社の魅力です。(総務部 藤家)

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「九州に住みながら全国規模で活躍できることから当社に興味を持った先輩も多くいます。企業研究では、自分が大切にしたいことも考えてみてくださいね」と藤家さん。

マイナビ編集部から

1963年の創業以来、常に時代の先を見据え、大手IT企業を競合相手に高度な技術力で国内シェアを拡大してきた佐賀電算センター。自治体向けの自社パッケージ製品や医薬流通のクラウドサービス分野における実績は国内トップクラス。全国で事業を展開している。その原動力となるのは、社員1人ひとりの“開発魂”。情報系出身の社員はもちろん、文系出身でIT業界は未経験という社員も、それぞれに個性や得意分野を持ち寄り、刺激を与え合いながらものづくりに励む職場は明るい雰囲気。地場企業や社員が株主となる独立系の企業として、オープンな経営姿勢を持つ環境もその雰囲気づくりに一役買っているといえる。また、ライフステージに合わせて活躍が可能で、産休育休後の復帰率は100%。2人目、3人目を出産し、産休育休を経て時短制度を利用しながら働く社員も多く、会社全体に子育て世代への理解とフォロー体制がある。「個性を認め合う社風があり、境界線を感じることはありません。課せられた業務を淡々とこなすのではなく、自由に発想しながら考えることで新しいものを生み出せる会社です。他部署とコミュニケーションを図りながら世の中が何を求めているのか、積極的に会話を重ね、ラフに交流できる雰囲気がありますね」と新名さん。若手が伸び伸び活躍する職場の雰囲気の良さはもちろん、佐賀から全国、世界に革新的なサービスを生み出す事業の魅力を感じた取材だった。

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本社1階には「お客様と協働しながら研究開発したい」と考える同社の姿勢をカタチにした通称「DXラボ」を併設。佐賀から全国へ、新しいものづくりを提供している。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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