最終更新日:2025/6/5

東洋システム(株)

業種

  • 半導体・電子・電気機器
  • その他電子・電気関連

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福島県

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私たちの生活を支える二次電池用評価装置の提供で二次電池開発をバックアップ

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私たちは“二次電池の開発”をサポートするプロ集団です

電池の評価装置の設計開発を始め、電流センサや電池パックの提供、受託分析評価や安全性評価など多彩な事業を手がける東洋システム。その活動は最終的に、クルマや医療機器等の進化への貢献につながっています。

(写真右から)
★奈良一成さん/取締役/1998年入社
異業種から転職し、東洋システムでは営業畑で活躍。愛知県で大手自動車メーカーを担当した経験も持つ。現在は総務部門に在籍している。

★冨澤 豊さん/執行役員 技術開発本部 本部長/2009年入社
前職ではDC/DCコンバータの担当。東洋システムでは充放電評価装置の開発・設計・評価のほか、制御回路やシステム設計にも携わっている。

最先端の分野で使われる二次電池開発に、当社の評価装置が大きく関わっています。

当社は二次電池の試験評価装置メーカーです。二次電池とは使い捨ての電池とは異なり、充電して繰り返し使用できる電池のことで、バッテリーや蓄電池とも呼ばれています。
二次電池にはさまざまな種類がありますが、当社はリチウムイオン電池とニッケル水素電池を対象にしており、私たちの提供する評価装置を使って、携帯電話の基地局や自動車、ドローンなど多彩な分野で使われる二次電池が開発されているんですよ。

二次電池の質を決める、心臓部とされるのが容量と安全性です。現在は中国や韓国製の二次電池が市場に多く出回っていますが、出火などの安全性に不安があります。今後、日本が国策として国内における研究開発への支援を増やせば、安全性の面でも世界から注目される二次電池大国になると予想されています。
その一翼を担うのが、当社の安全性試験装置、電池試作装置の「TOSMAC」シリーズです。
基本的に電池メーカーは、各材料メーカーから購入した材料で電池をつくっていました。ただ、それでは性能が定かでないため、材料メーカーに電池という製品での納入を求めたのです。そこで当社が、このシリーズを開発。今も材料メーカーを中心に、内製化が進む自動車メーカーなどの研究開発部門にも提供しています。

電池には正しい使い方や適温があります。できる限り劣化を防ぐには、涼しくて湿度の低い環境で充電を行うのがベスト。でも日本の中でも北海道と沖縄では気候もまったく異なりますし使い方も千差万別。つまり、使用環境によって電池の劣化状態は異なります。当社の装置ではメーカー各社が設定した条件のもとで、シミュレーションによる電池の劣化状態のデータ取得ができるという大きな特徴があるのです。
実はこうした装置を手がけているのは、大手メーカーが大半。その中で当社が長年にわたり信頼を得てきたのは、電池の試作装置をはじめ試験評価装置の提供、安全性、分析評価まで、お客様の要望にお応えした装置やサービスの提供により、電池の川下から川上までをトータルにサポートしているからに他なりません。

今後、MadeinJapanの二次電池への需要が増えるにつれ、自動車メーカーや電池メーカーは海外への進出を加速させるでしょう。当社としても2030年頃を目処に、海外での事業拡大にチャレンジしていくつもりでいます。

【奈良 一成/取締役】

この点も当社の自慢!

AEDなどの医療機器を中心に、電池パックのOEM生産も行っています。少量かつ、命に関わる規格の厳しい製品に携わっている点は、当社の誇りの1つです(奈良さん)。

創業のきっかけになった、充放電評価装置「TOSCAT」

当社では二次電池の寿命や性能を測定する、充放電評価装置「TOSCAT」シリーズという装置も開発しています。二次電池を充電するための電源、二次電池から電力を取り出す装置、電流や電圧を測定する装置といった回路構成から成るもので、やはり携帯の基地局やスマートフォン、ゲーム機器、ハイブリッドカーなどに用いる二次電池の研究開発には欠かせない装置です。

例えば試作した電池の充電や放電を繰り返し、それが決められた条件内に収まっているかどうかを調べる装置=電池の大きさや容量に合わせた使われ方の評価を行う装置と言えばわかりやすいでしょう。一昔前の携帯電話は電池が大きかったため電話機本体も大きなものでした。それが小型化できた背景にはこの装置の存在が欠かせません。

創業当時、電池の評価装置は世の中に出回っておらず、いずれ携帯電話は手の中に入る大きさになる!それには電池の小型化が必要だ!と予見した当社の代表が、お客様の要望に沿って作ったのが充放電評価装置「TOSCAT」。最近ではEVなど、大容量かつ高電圧化も要求されるようになってきています。

当社のTOSCATの技術も、時代とともに進化しています。装置自体に求められる小型化や省電力化はもちろん、お客様によって「こんな機能がほしい」「電圧が足りない」などニーズも様々です。そのため当社はお客様の要望に合わせて規格品をカスタマイズして提供することはもちろん、1からオーダーメイド開発を行うことも少なくないんですよ。

また当社には充放電評価や安全性評価等を行う評価センターが、福島県いわき市、愛知県豊田市、滋賀県彦根市にあります。お客様の中には装置を置くスペースの問題や、わざわざ購入するほどの評価ではないなどの理由から、当社に受託分析を依頼されるケースも増えています。自社の装置を用いた評価試験のため、スタッフたちも手慣れており、信頼できる結果をご提出できます。装置のトラブル対応や設計変更に迅速に対応できる点も、当社ならではの強みですね。

現在当社が手がけている事業は、いずれもお客様のニーズに応える中で広がってきた結果です。その姿勢はこれからも変わりません。そして33年という歴史の中で培った技術を、今後もさらに高めるとともに、カーボンニュートラルなど、時代への対応もしっかりと行う体制づくりをめざしていくつもりです。

【冨澤 豊/執行役員 技術開発本部 本部長】

この点も当社の自慢!

大規模な組織ではない分、自分の考えで仕事を進めることができます。TOSCATでも電源の改善検討を始め、制御やソフトまで、トータルに関わることも可能です(冨澤さん)。

この点も当社の自慢!

全日本EV-GPシリーズで東洋システムが協賛。そのレースで使われた燃料電池自動車(トヨタMIRAI)が、本社のエントランスに展示されている。

企業研究のポイント

電池業界に特化したメーカーは珍しく、その分、二次電池の情報などは、当社に真っ先に入ってきます。電池の分野に興味がある人にとっては、魅力的な環境と言えるでしょう。企業研究の段階でできることは限られていると思いますが、今のうちに、電池関連や業界に関する書籍を読んでおくことをお勧めします。日本自体が二次電池の分野での遅れに危機感を持っているため、今後、いろいろな情報が出てくるはずです。そのあたりもチェックしておきましょう(奈良さん)。

企業研究の時期にホームページ等で各社を比較するなら、業界内での立ち位置を見ることをお勧めします。上位にいれば、社員たちのモチベーションも高いでしょうし、活躍のチャンスも多いと思います。あとは経営理念や方針にも目を通し、あなたの考えとマッチしているかどうかも確かめておくといいでしょう。また学生のうちにアルバイトなどで、社会人経験を積んでおくことも大切。仕事に対する責任感などが理解できるようになると思います(冨澤さん)。

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社屋の4~5階が事務フロア。南側が全面ガラス張りで、景色を見ながら打ち合わせができるほか、リラックススペースやコミュニケーションスペースも設けられている。

マイナビ編集部から

「人は材料ではなく財産である」と、一人ひとりの社員を“人財”として尊重し、未来に必要な人財を大切に育てようと考える東洋システム。事実、同社では全社員が「総合職」の位置付けで、職種による格差もなくチャンスは平等に与えるという。活躍フィールドも開発設計を始め、受託評価や営業など多彩だ。言い換えれば、自分の適材適所を見つけやすい環境と言えるだろう。

社風的にも「やらされ感は一切ありません。仲間が困っていたり、お客様から課題をいただいた時などは、みんなで協力して意見を出し合っています(冨澤さん)」とのことだ。スキルアップに関しても、上司と年間計画を立てた上で、外部セミナーに参加したり資格取得に挑むなど、自己研鑽の機会は豊富だ。

「二次電池自体、これからの日本にとって重要な産業の1つになることは間違いないでしょう。例えて言えば、かつての半導体に似ています。そこに携わる誇りややりがいは格別です」とは取締役の奈良さんの言葉。そうした視点で同社の企業研究を進めてみると、きっと新たな発見があるに違いない。

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“エネルギー産業における技術開発で世界に貢献する”をモットーとする東洋システム。事業を通じ、地球環境や人々の未来を守ることも大切な使命と考えている。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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