最終更新日:2025/7/23

社会福祉法人 育桜福祉会

業種

  • 福祉サービス
  • 幼稚園・保育園
  • 学校法人
  • 教育

基本情報

本社
神奈川県

取材情報

知識ゼロからの専門職

地域移行や就労継続、法定研修の講師。福祉の専門性を利用者さんへの支援に生かす

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「利用者さんのために」という思いが、私たちの原動力

伊藤 真美さん/2013年入職/桜の風(写真中)
松本 香菜子さん/2013年入職/しらかし園(写真右)
鈴木 謙之さん/2003年入職/あかしあ園 施設長(写真左)

障害福祉に特化し、川崎市内で32の事業所を運営する育桜福祉会。ここには、福祉の知識ゼロで入職しながらも、責任ある仕事を任されて活躍している職員がたくさんいます。同法人を代表して3名の職員に、入職後、新人研修を経てどのように専門性を磨き、どのような経験を積んできたのかなど、それぞれのキャリアを中心に語っていただきました。

【伊藤さん】「桜の風」で磨いたスキルを生かし、新たに川崎市の地域移行コーディネーターとして活動中

育桜福祉会は、障害福祉に特化した事業を展開している社会福祉法人です。私は中学生の頃、育桜福祉会でボランティアに携わった経験から、福祉に興味を持つようになりました。入職は2013年で、10年にわたって障害者支援施設「桜の風」に勤務しています。

桜の風は、知的障害や身体障害のある方が暮らしている入所型の施設。障害の度合いはそれぞれで、人柄や興味・関心も多種多様。そのため、一人ひとり異なる個性を理解しながら、その方に合った支援を心掛けています。例えば、言葉のやりとりが困難な方に対しては、イラストを描いて説明したり、ジェスチャーで伝えたりしています。

ボランティアで福祉の現場を経験してはいましたが、やはり職員とボランティアとでは、求められる知識やスキルが大きく異なります。その点、当会は研修がとても充実しているので、研修で福祉の知識やスキルを学び、配属先でも先輩に教えていただきながら、支援に必要なスキルを磨くことができました。
また、桜の風は、利用者さんが地域に出て、その方らしく暮らしていく「地域移行」を目指しています。私たち職員は地域移行を視野に入れながら、日常生活に必要な支援を組み立てることにも力を入れています。

私は桜の風で経験を積むことで専門性がどんどん高まっていき、任せていただく業務の範囲が広がりました。特に利用者さんが地域で生活していくための力を育む「社会生活力プログラム」を担当するようになってからは、利用者さんが楽しんで参加できるプログラムを数多く考案しました。この経験が評価され、入職10年目の今年は、「地域移行コーディネーター」として、川崎市の取り組みに協力しています。桜の風に限らず、川崎市内にある全ての障害者施設で「地域移行」に取り組んでいけるようサポートすることが、地域移行コーディネーターである私の役割です。

この10年を振り返ってみると、福祉の仕事は理屈どおりにならないことが多いことに気付かされます。だからこそ、利用者さん一人ひとりと向き合いながら、その方に合った支援を目指していくことが大切だと思っています。桜の風での支援はもちろん、利用者さんが地域に移行した後も、その方らしく暮らしていけるような関わりが持てたらと願っています。

教育・研修のおすすめポイント

「当法人全体で行う集合研修に加えて、配属先でも研修があります。やさしい先輩が多く、現場でのサポートも充実しています」(伊藤さん)

【松本さん】教育学部を卒業後、育桜福祉会へ。重度の障害のある方の支援を経て、就労継続支援に挑戦中

教育学部で小学校の先生になるための勉強をしていた時のこと。福祉実習で育桜福祉会が運営する就労支援施設を訪れ、それまで抱いていた福祉へのイメージが大きく変わりました。利用者さんが生き生きと作業をしていて、とても楽しそうだったからです。その後、ボランティアとして育桜福祉会を何度も訪問。そのたびに、障害福祉への興味・関心が高まっていき、いつしか私は小学校の先生ではなく、「障害のある方の支援がしたい」と強く願うようになりました。

福祉の専門知識ゼロの状態で入職したので、1年目は何もかもが、はじめてのことばかりでした。配属先の「いぬくら」は重度の障害のある方が暮らしている施設で、ほとんどの方が車いすを利用されています。ずらりと並んだ車いすを見て、「車いすって、いろいろな種類があるんだ」と思ったことをよく覚えています。入浴や食事、車いすでの移動など、利用者さんが一人では難しいことを支援するのが支援員である私の役割なので、これらの支援の方法を一つひとつ、現場で覚えていきました。

その後、徐々に仕事に慣れていき、途中で産休・育休を挟みながら、「いぬくら」で働いてきました。利用者さんの生活を支える仕事はとても楽しく、フロアリーダーを務めるようになってからは、後輩の育成にも力を入れるように。フロアのメンバーと思いを一つにして、みんなでより良い支援ができるよう努力を重ねていったのです。

「いぬくら」での経験全てが私を成長させてくれましたが、やがて「違う世界も経験してみたい」と思うようになりました。その気持ちを上司に伝えたところ、育桜福祉会が運営するほかの施設をいくつか見せてくださったのです。その後、異動がかない、今年から「しらかし園」で軽度知的障害のある方の就労継続支援に携わっています。

私は知識ゼロで福祉の世界に飛び込みましたが、教育・研修が充実していることに加えて、現場で上司や先輩が手厚くサポートしてくれるので、安心して働くことができました。何よりも、育桜福祉会は障害福祉に関する幅広いサービスを展開しているので、さまざまなチャレンジができます。

障害福祉のなかでも、就労継続支援に携わるのはこれがはじめてなので、しっかりと経験を積んでいきたいですね。いずれは利用者さんが就労の場に出ていくことを視野に入れて、働く意欲を高められるような支援ができればうれしいです。

教育・研修のおすすめポイント

「まずは障害福祉の基礎知識からスタートし、実践の場で生かせる応用的な内容を段階的に学ぶので、無理なく専門知識を身に付けることができます」(松本さん)

【鈴木さん】施設内外のさまざまな場所で活躍。育桜福祉会は、福祉の専門性を磨く上で最高の環境です

育桜福祉会には、大学で福祉を勉強してきた職員もいれば、そうした勉強をせずに入職し、当法人で専門性を磨いてきた職員もいます。どのようなバックグラウンドを持つ職員であっても、必要な専門性を必要なタイミングで身に付けられるよう、1年目の新人研修を皮切りに、さまざまな研修を用意しています。また、どの事業所でも上司や先輩が若手職員の成長を力強くバックアップしており、OJT教育が充実しているのも当法人の特徴です。

私は2008年に育桜福祉会に入職し、複数の事業所で勤務してきました。最初に勤務した「ゆずりは園」では知的障害を伴う自閉症の方の支援を担当したのですが、今思うと、気持ちばかりが前に出てしまっていたようです。そんななか、現場で先輩に指導していただきながら経験を重ねるうちに、頭でっかちになっていることに気付きました。その後は、肩の力を抜いて、仲間の職員と情報を共有しながら、より良い支援を目指すようになったのです。

2番目に勤務した「川崎市わーくす高津」ではサービス管理責任者に任命され、施設長の補佐業務に携わりました。「ゆずりは園」時代に施設長や上司を見て「こうなりたい」と憧れていたので、辞令をいただいた時は本当にうれしかったですね。また、この時期から川崎市や神奈川県が実施する法定研修の講師を務めるようになりました。これはサービス管理責任者の養成や障害特性に応じた適切な支援手法の普及のための研修です。その講師を務めることで、より一層、日々の業務へのモチベーションが高まったように思います。教える立場としての責任感も育まれ、空き時間を見つけては必要な知識を吸収するようになりました。その後も、「小向このはな園」の立ち上げに携わったり、受け持つ法定研修の種類が増えたりと、貴重な体験をたくさんさせていただきました。

今年4月、私はそれまで勤務していた「いぬくら」から「あかしあ園」に異動。施設長として事業所の運営に取り組んでいます。今後は、利用者さんにより良い支援を提供していけるよう、職員一人ひとりが安心して働ける環境づくりに力を入れていきたいですね。そして、私自身がこれまでの経験で学び取ってきたことを、後輩たちにしっかりと伝えていきたい。職員が学んだ知識を現場に生かしていけるような仕掛けづくりや、困った時には気軽に声を掛けて相談し合えるような環境づくりに注力していきたいと考えています。

教育・研修のおすすめポイント

「入職後の研修は6年間。このプログラム以外にも学びの機会はたくさんあります。大切なことは向上心・好奇心を持ち続けること」(鈴木さん)

企業研究のポイント

福祉には、児童福祉や高齢者福祉、障害福祉などさまざまな種類がありますが、育桜福祉会は川崎市を拠点に「障害福祉」に特化した福祉サービスを展開しています。生活の介護から就労支援まで、障害福祉に関するさまざまな施設を運営しており、職員はこれらの施設に勤務しながら、障害福祉の高度な専門性を習得できます。また、知識ゼロでも福祉の専門性を高めていけるよう、独自の研修システムを構築しており、これらの研修を受けることで障害福祉のベーシックな知識を身に付けることができます。もちろん、学んだ知識は、最大限、利用者さんへの支援に生かせるよう配属先でのOJT教育にも注力しています。

実際、障害のある方を支援するには、福祉の専門知識に加えて、利用者さんの想いをくみ取る姿勢が大切です。利用者さんのために「どんな支援ができるか」を考え、実践し、支援した結果を振り返って次の支援に生かしていくことで、実践力が高まっていきます。

これから福祉業界の企業研究をする学生の皆さんには、その法人や団体等が、研修で学んだことを実践の場でどのように生かしながら実践力を高めているのかを注目してほしいですね。育桜福祉会のインターンシップでは皆さんと年の近い若手職員がガイド役になって「福祉の仕事」について説明していますので、お気軽に参加ください。

【法人本部事務局 総務課長/佐野 良さん】

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「誰もが初心者からのスタート。研修で学んだことを生かし、利用者さんのためにできることを実践することで、福祉の高度な専門性が身に付きます」と、佐野さん。

マイナビ編集部から

川崎市内に32の施設を運営し、障害のある方々に福祉サービスを提供している育桜福祉会。同法人は、支援のあり方や考え方を、その基本理念に掲げている。
「心の風景を自由に表現できるキャンパスの創造を目指して」――この言葉には、どのような思いが込められているのだろうか。
「例えば今日は元気だな、あまり気分がよくないなといった具合に、心の景色は常に変化しています。私たちはごく自然に心の景色を伝えることができますが、障害のある方はそれが難しい。つまり、利用者さんが自分の心の景色を自由に表現できるよう手助けすることが、私たちの役割なんです」と法人本部事務局の佐野さん。

思いを伝えるのは、利用者さん本人。職員が筆を取るのではなく、利用者さんが自分の筆でキャンバスに絵を描けるよう支援していく。これが、育桜福祉会の支援の根本的な考えである。
だから職員たちは、常に利用者さんのことをやさしく見守る。そして「利用者さんのために、何ができるだろう」と考え、これまで学んできた福祉の知識を生かして、自分にできることを一つひとつ実践していく。

育桜福祉会が同法人全体で実施する集合研修に加えてOJT研修も重視しているのは、「利用者さんが心の景色を描けるように」と願っているからにほかならない。企業研究では、ぜひ基本理念に注目して、その法人ならではの思いや考え方をくみ取ってほしい。

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利用者さんが心の景色を自分自身の筆で描けるように……。育桜福祉会では、教育・研修の充実化に取り組み、現場で活躍する職員の支援につなげている。

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