最終更新日:2025/6/1

科研製薬(株)

  • 上場企業

業種

  • 薬品
  • 化学
  • 医療用機器・医療関連
  • 農林・水産

基本情報

本社
東京都

取材情報

探そう!理想の先輩・働き方

創薬研究に思い切り打ち込める環境が、ここにはある。

  • 薬学・医療系 専攻の先輩

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合成部で「探索合成」に取り組む中堅研究員の仕事術

1948年の創業以来、皮膚科・整形外科領域を中心に、数々の医薬品を創出してきた科研製薬(株)。合成部で活躍中のY.S.さんに、入社理由や仕事内容、やりがい、働き方、社風、今後の目標等について伺った。

合成部 第1G Y.S.さん(2010年入社/薬学部卒)

一人の研究者としてみてくれたことに感銘を受けて入社。技術指導員、メンターによる充実の育成体制

中高生の頃から「化学の知識を生かして医療に携わりたい」「画期的な新薬を創り、世界中の人々の健康に貢献したい」と思っていた私は、大学で薬学部に進学。研究室では有機合成化学を専攻しましたが、主に取り組んでいたのは、低分子化合物を扱う一般的な有機合成化学ではなく、ペプチドやタンパク質の化学合成に関する研究でした。理論的には、ペプチドをつなげていけばタンパク質を合成できるわけですが、フラスコ内で合成を行うためには、アミノ酸の反応性を保護基を使って制御する必要がありました。そのため、タンパク質の化学合成は現実的には非常に難しいとされていました。こうした課題を克服するために、研究では保護基を使わずに、ペプチドをつなげていく技術を開発。生体内で作られたものと同じ働きをするタンパク質の合成にも成功しました。

就職活動では、医薬品を創りたいと思い、製薬企業の研究職に絞って会社選びを進めました。数ある企業の中でも当社を選んだ理由は、治療薬があまりない比較的ニッチな領域で、独創的な医薬品を取り扱っていること。理化学研究所にルーツを持つ、しっかりとした研究基盤を持つ会社であること。そして何よりも、採用面接で対応してくれた研究員の姿勢に魅力を感じたことが大きかったですね。学生時代の研究は一般的な有機合成化学からはやや外れたものだったので、当時は「活かせる環境がないですね」と取り合ってくれない製薬会社も少なくありませんでした。しかし、当社は違いました。面接の場では、私の思いに耳を傾けるだけでなく、的を射た質問をたくさんしてくれました。事前に研究概要を読み込んでいてくれたことが伝わってきたのと、私を一人の研究者としてみてくれたことが嬉しくて、当社への入社を決意しました。

入社後は約1週間の新入社員研修を経て、合成部に配属。研究内容や実験・手技について指導してくれる技術指導員と、生活スタイルの変化に伴う困り事、プライベートでの悩み事など、研究以外のフォロー・相談にも乗ってくれるメンターのサポートを受けながら、仕事の基本を覚えていきました。私は新しい環境に馴染むのが苦手なところがあったのですが、技術指導員やメンターの先輩に、チームや部署の集まり、部署を超えた交流会に呼んでいただいたことで、スムーズに職場に溶け込むとともに、創薬研究に欠かすことができない人的なネットワークを広げることができました。

研究者は語る

「私自身も何度か技術指導員やメンターを務めたことがあります。間違ったことは教えられないので、なんとなく理解していた部分を学び直すなど、自分の勉強になりました」

探索合成の研究へ。壮大な目標の実現に向けて、小さな課題を一つ一つクリアしていく

私が携わっているのは「創薬化学(メディシナル・ケミストリー)」と呼ばれる分野の探索合成研究です。新たな医薬品の創出に向けて、新規化合物を設計・合成し、薬理研究員や薬物動態研究員に評価してもらいます。そのフィードバックを参考にしながら改良を進めていき、最終的には臨床候補化合物までブラッシュアップしていきます。これが一連の流れです。もう少し具体的に言うと、化合物の探索合成研究は、創薬の標的分子に対して目的の活性を持つ「ヒット化合物」の構造を少しずつ改良することによって進めますが、当社の合成研究員はこの“ヒット化合物”を見つけるための「ハイスループットスクリーニング」にも参画し、化学的な観点や計算化学的な手法を用いてスクリーニング化合物のセレクションに関する助言を行うのも重要な仕事です。最近では、AI創薬のシステムも活用しながら、目的とする化合物をいち早く見つけるための取り組みも行っています。私は入社以来、免疫系や神経系領域での研究に従事しています。世界的にも類例のない困難な創薬研究テーマについて、プロジェクトの立ち上げから携わり、臨床候補化合物にまで育て上げるなど、さまざまな経験を積むことができています。

私たちのミッションは新薬を創ることですが、創薬から臨床試験に至るすべてのプロセスを完了するには10年以上かかります。非常に息の長い取り組みを進める中で、モチベーションを保ち続けることも課題のひとつです。私自身は、目の前の小さな課題を一つずつクリアしていくことを大切にしています。創り出した化合物に対するフィードバックを通して明らかになった課題を一つひとつ精査し、それを解決するために試行錯誤を積み重ねていきます。自分の立てた仮説通りに課題をクリアできたときには、大きなやりがいを感じられますし、仮説通りにいかなかったとしても、次につながる新たな知見が得られることもあります。こうした発見を地道に積み上げていって、壮大な目標の実現に一歩一歩近づいていくことも、研究の醍醐味の一つです。

創薬研究者として、国内外の最新の研究動向に関する情報を収集したり、各国の研究者と議論したりするのも重要な仕事です。最近もアメリカ化学会の国際会議や、欧州で開催された創薬化学の学会に参加してきました。他にも現地のバイオテック企業を訪問し、コミュニケーションを取る機会も増えてきています。

研究者は語る

「学生時代の研究とのいちばんの違いは、時間の制限があること。限られた時間の中で、いかに効率的に成果を出すのか。研究・実験の計画を立てる力が求められます」

ワークライフバランス、社風、今後の目標は?

当社の働き方、ワークライフバランスについてもお話ししたいと思います。当社の社員は、決められた時間の中で、集中して業務に取り組み、しっかりと成果を出している方が多い印象です。また、フレックスタイム制度が導入されているため、長時間にわたる実験を行う日は遅くまで業務に取り組み、そうでない日は仕事を早めに切り上げて家族と一緒に過ごすなど、柔軟な働き方を実践することが可能になっています。研究に打ち込むためには、私生活の充実が欠かせません。自由度の高い働き方ができることが、モチベーションにつながっています。

社風に関しては、風通しの良さがいちばんの特徴ではないでしょうか。私は京都の研究所に勤務していますが、全員の顔と名前が一致する規模感なので、顔も知らない人と一緒に研究を進めていくということはまずありません。オフィスフロアもとても開放的で、さまざまな分野の研究員と議論しやすい環境です。薬理部や薬物動態・安全性部など、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーと話をするなかで、自分が思いもしなかった着眼点、見落としていたポイントが浮き彫りになることもあります。こうしたオープンなコミュニケーションを取ることができる環境があることも、魅力のひとつだと思います。

当社の社員は、一見すると物静かな印象ですが、ものすごい熱意と信念をもって研究に取り組んでいるメンバーが少なくありません。議論の場では、お互いの思いが強すぎてヒートアップするケースもあります。しかし、衝突を恐れずに忌憚ない意見を交わし、最終的にはお互いの意見や立場をしっかりと盛り込むかたちで、まとめることができたときにはチームメンバー全員で喜びや達成感を味わうことができます。

今後の目標は、立ち上げから携わったプロジェクトが自分の手を離れたところなので、新たなチャレンジをしていきたいと思っています。2022年に策定された当社の長期経営計画「長期2031ビジョンと戦略」では研究部門の目指すべき方向性として、新たな領域への挑戦が打ち出されています。私自身も当社の強みである低分子薬の領域を超えて、新規の疾患領域、モダリティに挑戦していきたいと考えています。

研究者は語る

「研究のアイデアは散歩中やお風呂に入っているときなど、くつろいでいる時間に思いつくことが多いですね。その意味でも、ワークライフバランスが重要なんです」

企業研究のポイント

企業研究にあたっては、会社のホームページをチェックすることで、業界のトレンドや会社の雰囲気をつかむことができると思います。その際に、会社の特徴や強みを正確に把握することも重要です。製薬業界では、昔はあらゆる疾患領域を満遍なくカバーしようとしていたのに対し、近年は各社が“強み”を打ち出し、特定の疾患領域に絞って研究開発を進めている傾向にあります。こうした情報を収集した上で、自分のやりたい研究ができる会社を選ぶとよいでしょう。

私自身もそうでしたが、志望企業の特徴や雰囲気をつかむためには、先輩社員に直接会って話を聞いてみる、これに勝るものはありません。インターンシップや企業セミナーなどの機会を積極的に活用してみてください。
【Y.S.さん】

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薬理や薬物動態など他分野の研究員とのつながりが、新たなプロジェクトの立ち上げなど、創薬研究のさまざまな場面で大きな武器になるという。

マイナビ編集部から

理化学研究所をルーツとして1948年に創業以来、皮膚科・整形外科領域を中心に数々の医薬品を創出してきた科研製薬。今回同社で活躍中の研究員 Y.S.さんにお話を伺って、ひときわ感銘を受けたのは、仕事内容もさることながら、ワークライフバランスの充実を含め、研究に打ち込める環境が充実していたこと。そして、さまざまな分野の研究員と議論し、切磋琢磨するカルチャーが根付いていることだった。変化の激しい製薬業界において、同社が創業以来70年以上にわたって持続的な成長を実現しているのは、こうした文化・風土があってこそではないか。筆者はここに、同社の強さを垣間見たのである。

同社は2022年に策定した「長期2031ビジョンと戦略」において、「画期的新薬の迅速な創出・提供により健康寿命延伸に貢献し続ける企業」「皮膚科、整形外科領域を中心にグローバルに展開する創薬企業」という2つのビジョンを掲げている。“グローバル”と聞いて「英語力がないとダメなのか」と思われる方がいらっしゃるかもしれないが、心配は無用だ。同社の研究部門には、専門業界に対応した講師による英語コミュニケーション、プレゼンの指導を受けられる機会がある。こうした機会を活用し、しっかり勉強すればグローバルに活躍するチャンスは格段に広がる。製薬会社の研究職に興味関心をお持ちの全ての方に企業研究をおすすめしたい会社である。

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京都府京都市に位置する「新薬創生センター」。このほか、静岡県藤枝市に「新薬創生センター」「CMCセンター」「生産工場」、東京都文京区に本社を構える。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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