先輩たちの就活体験記
製造現場のインターンシップ経験で
技術職としての未来に自信が持てました
2021年入社
パナソニックエナジー株式会社 品質・環境センター
草野 優さん
- 聴覚障がい

- 説明会参加:約30社
- エントリー:約10社
- 面接:6社
- 志望動機:エントリーした理由、業界の志望動機、やりたい仕事
- 研究内容(10分発表):学生時代に取り組んでいた研究テーマとその概要を説明
- 聴覚障がいに対する必要なサポート、配慮内容について
どのような就職活動をされましたか?
学部生時代にデバイス系の研究をし、大学院ではリチウムイオン電池の研究をしていたので、将来はこれらの専門知識を生かして、メーカーの技術職として活躍したいと思っていました。しかし、聴覚障がいのある自分が技術系の仕事ができるのか不安もありました。そこで、実際の職場で業務を体験して確認したいと思い、あるメーカーのインターンシップに参加しました。約2週間、完成した製品の品質をチェックする業務を経験したのですが、このインターンシップ経験は、私に大きな自信を与えてくれました。実際に仕事を体験してみることで、自分が持っていた不安は消え、聴覚障がいのある自分でも技術者として活躍できるのだと確信が持てたのです。
インターンシップは、仕事に対する適性があるかどうかを学生本人が確認できる場ではありますが、障がいのある人にとっては、自分が仕事をする職場がどんな場所なのかを確認する非常に貴重な機会です。今はコロナ禍ということもあって、対面型のインターンシップを経験することは難しいかもしれませんが、チャンスがあればぜひ積極的に挑戦することをおすすめします。

ただ、すべてが順調だったわけではありません。実は修士1年の春の段階で、自分の将来の方向について悩んでいました。技術職の仕事に就くのか、技術系にこだわらずに就職するのか迷っていたのです。しかし、大学の先生や奨学金をいただいていた地元の市長さんが、「技術者として活躍したい」という自分の思いを大切にするように背中を押してくださいました。そして、前述のようにインターンシップに参加することで、技術者として活躍したいという気持ちはさらに強くなりました。
就活本番ではメーカーを中心に技術職の募集がある企業の説明会に幅広く参加しました。しかし、いよいよ面接が始まるという時期に、新型コロナウイルス感染症が急拡大し、緊急事態宣言が出されてしまいました。その後は、企業の採用選考プロセスは完全にオンライン化が進んだのですが、自分にとっては初めての就活であり、しかもこれまでにはないコロナ禍での就活となり、進め方がわからず本当に困りました。それでも、研究室の先輩が面接のアドバイスをくれたり、エントリーシートの添削をしてくれたのは大きな助けになりました。
今の会社を選んだ理由を教えてください。
私が企業選びで大切にしていたポイントが二つあります。一つは、大学で学んだデバイス系の知識やリチウムイオン電池の研究で得られた知見が生かせること。そして、もう一つは、グローバルな環境で仕事ができる可能性があることです。パナソニックは先進的で優れた電池製品を有しているのはもちろんのこと、グローバルにビジネス展開しているところが魅力的で、私の強みや知識をフルに生かすことができる会社だと思いました。
面接では、電池のエキスパートの方も面接官として同席されていました。大学院では、安全で環境に優しいリチウムイオン電池の材料について研究していたので、研究内容について簡潔に資料にまとめて説明をしました。面接官からは電池の材料や機能性などについて専門的な質問も受けましたが、自分が応用しようとしていた材料の特性やメリットについて自分なりの考えをお伝えし、専門知識を生かして技術の向上に貢献したいと強くアピールしました。
今はどのようなお仕事をされていますか。
電池の製造で使用される多種多様な部材の品質管理業務をしています。電池は、リード線やケースをはじめさまざまな部材で出来上がっています。それらの部材は数多くのサプライヤーから納入されるのですが、それらの部材を「蛍光X線分析装置」や「熱分解装置」といった専門的な検査装置を用いて検査します。検査装置は大学でも使っていたので、多少は扱い慣れているとはいえ、パナソニックグループとしての品質基準に加え、輸出先の国々それぞれの環境基準もクリアする必要があります。技術者としての専門知識やスキルだけでなく、法的な知識も必要になってくるのです。
また、本来の業務とは別に職場の代表として社内のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進プロジェクトにも参加しています。品質検査をはじめとした業務の効率を上げるためにデジタルツールをどのように活用していくかを考え、自分の職場での導入の可能性を探っています。
※取材内容は2021年12月時点の内容です

会社にはどのようなサポート体制がありますか。
現在の職場ではもちろんのこと、就活当時の面接や配属後の研修でもきめ細かいサポートがありました。面接時には聴覚障がい者向けの音声認識ソフトを活用していただいたり、新入社員研修では音を大きくするスピーカーなども用意していただきました。現在の職場では、同じ部署の方たちだけでなく、業務で関係する部門の方にも、私の障がいに関する情報をきちんと共有していただいています。また、聴覚障がいに対する理解を深めるために、自分が講師を務めた勉強会も開催させていただきました。
社内には聴覚障がいのある社員が中心となって運営されている有志の会や、パナソニック全社横断で障がいのある社員のネットワークがあり、講演会や情報交換会が定期的に開催されています。障がいに関するさまざまな配慮や悩みなどについても情報を共有できる場となっています。