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スポーツビジネスの
基本知識

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拡大傾向にあるスポーツビジネス市場の仕組みや動向について、わかりやすく解説します。注目を集めるスポーツビジネスに関連するさまざまな業界や仕事への理解を深めてみましょう。

スポーツビジネスに関わる仕事とは?

「スポーツビジネス」とは、スポーツを通して利益を生むビジネスの総称です。不動産、建設、広告など、さまざまな業種でスポーツビジネスが展開されています。まずは「スポーツビジネス」を知る手がかりとして、関連する仕事に目を向けてみましょう。

スポーツに関する仕事といえば、スポーツを教えたり、スポーツ用品を販売したりと、スポーツを「する」人に向けた仕事が頭に浮かぶかもしれません。しかし、私たちが観戦するスポーツの試合が行われるまでを振り返っても、多くの企業と人々が関わり、支え合っていることに気づくはずです。

ほんの一部ですが、関わる仕事を挙げてみましょう。
スポーツの試合を開催するには、スタジアムやアリーナが必要です。それらを建設し、運営、維持管理する仕事があります。また、スタジアムやアリーナには、スポーツターフ(競技用の天然芝)や大型ビジョンといった設備を用意しなければいけません。それらを管理するプロフェッショナルも存在します。各所で働く人たちが連携しながら、試合の主催者、施設の利用者のニーズに応える競技場作りに取り組んでいるのです。

試合に出場するスポーツチームや選手一人ひとりを支える仕事も多岐に渡ります。たとえば、チケットの販売促進、試合演出やイベントの企画、SNSによる情報発信、メディア向けの広報活動など、その業務内容はさまざまです。また、資金や製品を提供するスポンサー企業や、双方の成長を目指して提携するパートナー企業としてスポーツチームや選手を支えるケースもあり、スポーツに関わる仕事は表舞台に立つものばかりではありません。

スポーツファンと呼ばれる一般層を対象にした仕事には、スポーツイベントやグッズの企画、競技の認知拡大やファン層拡大に向けた施策の立案、スポーツ専門誌やWEBサイトでの企画立案や記事制作などが挙げられます。

いずれもスポーツが好きな人にとっては、やりがいを感じられる仕事になるでしょう。観戦するのが好きなスポーツや自身の競技歴といった得意分野や特性と合致すれば、仕事に生かせる知識や経験があるかもしれません。

知っておきたい!
スポーツビジネス業界の仕組みと動向

新たなスポーツビジネス等の創出 に向けた市場動向」(スポーツ庁)平成30年3月より作成

スポーツビジネス業界は、これまで選手やチーム運営、施設管理に関わる仕事が中心的な役割を果たしてきました。しかし、近年ではスポーツ庁が推進する「スポーツオープンイノベーション(スポーツ界と他業種が連携し、新しい価値やサービスを生み出す動きのこと)」を背景に、スポーツと他分野の融合が活発化しています。

たとえばFinTech(金融【Finance】と技術【Technology】を組み合わせた言葉)×スポーツの分野では、普段の買い物を通じて「推し活」ができるクレジットカードが好評です。手数料の一部が提携先のスポーツチームに支払われる仕組みで、利用者は身銭を切ることなくスポーツチームを応援できるほか、オリジナルの券面のデザインや利用金額に応じた特典も楽しめます。

また、技術革新が目まぐるしいAI×スポーツの領域も見逃せません。かつて判定は審判員の判断に依存していましたが、ボールの軌道を追跡する技術とビデオリプレーを組み合わせたシステムなどが取り入れられ、現在では高精度なデータと映像に基づく正確な判定が可能になっています。

このように、スポーツビジネスは選手やチームの直接的なサポートから、FinTechやAIなどの最新技術を活用したイノベーションに至るまで、幅広い領域で展開されています。未来のスポーツビジネスはさらに多様化し、スポーツの裾野が広がるとともに、新たな価値の提供が期待されるでしょう。

スポーツビジネス業界の今後

「スポーツ未来開拓会議 中間報告」(スポーツ庁)平成28年6月より作成

スポーツビジネス市場はコロナウイルス感染症のパンデミックによって一時的に落ち込んだものの、他産業との連携やデジタル技術の発展も相まって回復傾向にあります。とくに、五輪やワールドカップ、世界選手権といった世界規模の大会が開催されると、国民の関心や企業の投資意欲が高まり市場は活性化。その度に、ルールや観戦方法に変革をもたらす最新テクノロジーにも注目が集まります。

スポーツビジネスにおける最新テクノロジーの例

ITテクノロジー
内容
VAR判定
試合の判定をビデオでサポート
ウェアラブルデバイス
選手の心拍数や距離を測定
VRトレーニング
仮想現実で技術を練習
ドローン映像
空からの撮影で新たな視点を提供
スマートスタジアム
IoT(モノをインターネットにつなぐ技術)で利便性を高めたスタジアム
これらはスポーツとテクノロジーを掛け合わせて「スポーツテック」と称され、需要の増加とともに市場は右肩上がりの成長が見込まれています。【「ITナビゲーター2020年版」(野村総合研究所)2019年12月】

また、近年注目を集めているのがeスポーツ市場の拡大です。eスポーツは若年層を中心に人気が高く、大規模な大会や関連事業が続々と登場。新たな収益源として期待されており、企業がeスポーツビジネスに参入したり、eスポーツチームがプロ化したりと、産業としての発展が見込まれています。

しかし、現在の国内総生産(GDP)に占めるスポーツ産業の割合は、諸外国と比べると比較的低い水準にあり【「わが国スポーツ産業の経済規模推計」(日本経済研究所)2020年3月】、日本政府はスポーツ市場の拡大に取り組んでいます。スタジアムやアリーナの建設・改修による収益向上、スポーツ団体の経営力強化に加え、国や自治体、金融、大学、競技団体が互いのノウハウやリソースを掛け合わせ、新しいスポーツビジネスの創出に取り組むことが必要です。

未来に向けて、多くの可能性を秘めているスポーツビジネス。今後、他分野との相乗効果やデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みによって、さらなる成長が見込まれるでしょう。
まとめ
  • スポーツビジネスとは、スポーツを通して利益を生むビジネスの総称。施設、スポーツチーム、スポーツファンなどを対象に、さまざまな業種で展開されている。
  • スポーツビジネス市場では、市場拡大に向けた他分野との融合が活発化。FinTechやAIなどの最新技術を活用したイノベーションをはじめ、今後さらに多様化していくと考えられる。
  • 他産業との連携やデジタル技術の発展に加え、スポーツテック、eスポーツへの関心の高まりを受けて、スポーツビジネス市場は拡大傾向にある。さらなる発展のためには、国や自治体、金融、大学、競技団体が手を取り合い、新しいビジネスの創出に取り組むことが必要。

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