鉄道会社が、鉄道以外の事業に注力!? JR四国の事業と聞くと、まずは“鉄道事業”を思い浮かべますが、それ以外の非鉄道事業の幅広さが想像以上とのこと。近年は、駅ビル開発にはじまり、飲食・物販やホテルの拡大、さらにはマンション開発まで取り組んでいるようです。 なぜ、JR四国は非鉄道事業に力を入れているのでしょうか? 駅ビル開発に携わる小野さんに聞いてみました。 「瀬戸大橋の開通で多くのお客さまに利用いただいてきた当社ですが、人口減少や高速道路の延伸、さらにはリモートワークの普及など、外部環境が変わっていく中、事業領域の拡大に踏み出す必要が出てきたのです。また、JR四国グループの長期ビジョンでも非鉄道事業に力を入れていくことが打ち出されたことで、その勢いは加速しています」 さらに、ある狙いもあるそうです。 「非鉄道事業への注力の背景には、駅を中心とした『まちづくり』や『にぎわい創出』に寄与するという狙いもあります。たとえば、駅や周辺エリアを開発し、街ににぎわいが生まれれば、鉄道利用者の増加も期待できます。四国をもっと盛り上げて四国内外を行き来する人口を増やし、駅や街の価値を上げていくことが、非鉄道事業のミッションなんです」 非鉄道事業と鉄道事業を両立することで、大きなシナジーが期待できる。これこそが、非鉄道事業に力を入れている理由なんですね!
駅ビル開発で、街ににぎわいを! 様々な非鉄道事業が展開される中、小野さんが携わっているのが駅ビル開発です。2024年3月にJR高松駅に開業した「高松オルネ」は、どんな想いで手がけたのでしょうか。 「高松駅という交通の結節点にあるからこそ、目的地にも出発地にも使っていただける商業施設にしたいという想いで開発しました。たとえば、どこかへ出かける時の待ち合わせ場所になったり、ここに集まって買い物や食事をしていただいたり。観光をはじめとした駅利用者だけでなく、地域住民にも末長く愛していただける施設にしたいと思ったんです」 その結果、まさににぎわいが生まれているのだとか! 「お客さまからも『これまで高松駅は時間通りに行く場所だったのが、高松オルネができたことで30分前に行くようになった』という言葉をいただいた時はうれしかったですね。また、高松駅の乗降人員は1日あたり約24,000人ほどなのですが、高松オルネの開業後、数百人も増加したんです。これは結構すごいことだと思っています」と小野さんは話してくれました。 さらに、同年9月には、「JR松山駅だんだん通り」も開業。オープン時には約44,000人が集まり、大きな注目を浴びたそうです。 小野さんに話を聞いてみると、「JR松山駅開発に関しては、あくまで第一フェーズに過ぎません。見据えているのは、数年後に予定している駅全体の大規模な開発。もっとにぎわいを生んでいきますよ!」と意気込みを語ってくれました。こうした壮大な開発に携われるのもJR四国で働く醍醐味なんですね。
初挑戦だからこそ、第一線での学びが大きな糧に。 ここ数年でさらなる非鉄道事業を推進しているJR四国ですが、駅ビルの開発はじつは約30年ぶりの挑戦だったとか。そんな挑戦を後押ししたのは、他社への出向経験だったと小野さんは教えてくれました。 「今でこそ事業開発本部は大きな勢力となっていますが、私が入社した当時はまだ規模も小さく、駅ビル事業に関してもまだまだノウハウが少ない状態。そこで、当時から駅ビル開発・運営にもしっかり取り組んでいたJR東日本さんに出向し、一から学ばせていただくことになったんです。これも、JRグループのつながりがあるからこそですね」 なんと、会社を越えたつながりもあるとは驚きです。実際に、小野さんは4年に及ぶ出向で、駅構内での店舗開発やルミネという商業施設の運営にも携わったそう。「第一線の現場で、第一線の社員の方々と働く中で、多くを学ばせていただきました。この経験が今でも大きな糧になっています」と出向した時のことを振り返ります。 また、その後も中途採用の強化や出向の受け入れも積極的に行うことによって、社内にさらにノウハウが蓄積されるようになったのだとか。そうして気づくと、JR四国の会社内には様々な専門知識や経験を持つ社員が増えたと言います。
駅と駅をつなぎ、四国全体を盛り上げていく。 さらに、非鉄道事業の成果が出始める中、JR四国の社風にも変化があるようです。 「最近感じるのは、会社全体がどんどん挑戦に前向きになっていること。グループ全体で『Good Challenge』というスローガンを掲げていることもあると思いますが、『こんなことをやってみたい』という意見が通りやすくなったし、若手からも『これをやらせてください』という意見が上がってくる。会社全体が活発になっている気がしますね」 新しい事業への挑戦は、社員の意識を変え、社風も変えていく力があるのですね。最後に小野さんに、JR四国で事業開発に携わる面白さについて聞いてみました。 「この仕事に携わる面白さはやはり、頑張った結果が形になること、そして、鉄道やその沿線、その地域のにぎわいにつながっていくことですね。駅ビルやホテル、マンションなどの非鉄道事業によって一つひとつの駅や街の価値が上がり、人の行き来も増える。結果、瀬戸大橋を渡って四国外からも人が集まるようになれば、四国全体を盛り上げていくことができますからね」 駅ビルだけではなく、エリア全体。さらに、四国全体や四国外との連携まで考える。線路が続いている限り、JR四国の挑戦もきっと続いていくはずです。