お豆腐の売れ行きと最高気温には相関性がある。
気象データを活用した需要予測は、2014年、食品ロスの削減を目指す国の実証実験を手伝う形でスタートしたそうです。そして、その成果がある程度確認できた2017年、日本気象協会でもプロジェクトを発足。事業化に向けた取り組みが開始しました。ちなみに、「気象データを活用した需要予測って何?」ということで、早速、熊倉さんに尋ねてみました。

「たとえば、お豆腐を食べるのっていつですか?夏の暑い日は食欲がなくて冷奴を食べる機会が増えますよね。そして、冬。すごく寒い日は熱々のお豆腐が入った鍋が食べたくなりませんか?つまり、季節によって、お豆腐の需要は結構変わるのです。さらに、メーカーや小売店の過去の売上データと気象データを連携して分析してみると、夏のお豆腐の売れ行きは最高気温に最も相関性が見出せました。こうした商品の需要と気象データの関連性を見出し、この先の予測を立てることを私たちは行なっているのです」
なるほど。たしかに、夏や冬にお豆腐を食べている気がします。でも、それはメーカーや小売店の人たちも長年の経験や勘でわかっているのでは?ということで再び、熊倉さんに尋ねると、「そうですね。お客さまも肌感覚としてはわかっていると思います。しかし、どのくらいの気温の変化で、どのくらい需要が変わるのか。そもそも、どのデータに着目すればいいのかといったことは、データを分析して初めて知るお客さまがほとんど。数字で示すことで納得感のある意思決定につながりますし、気象の変化をより自分ごととして捉える会社も増えています」と教えてくれました。

夏の寄せ豆腐の需要と気象データの関係を示す図。最高気温と相関関係があるのがわかる。