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データを使って
ビジネス拡大企業
データで、魚食が変わる?

[マルハニチロ株式会社]

業務を変え、働き方を変え、
世界を変えるDXに挑戦中。

今回ご紹介する企業は冷凍食品や缶詰でもお馴染みのマルハニチロ。なんと、この会社はマルハとニチロというどちらも漁業からスタートした2つの歴史ある会社が経営統合してできた会社で、現在は水産から加工食品、畜産まで、幅広い領域で事業を展開する、今よりももっとサステナブルな企業を目指している世界有数の水産食品企業なのです。さらに、この会社の凄いところは創業から挑戦をし続ける企業文化に誇りをもって、常に進化を止めないところ。世の中にデジタル化の波が押し寄せると、業務改善や働き方の改革を推し進めるだけでなく、新しいビジネスや価値の創造、社員の意識改革にもデータを活用。未来に向けた壮大なプロジェクトも進行中です。今回は、こうしたマルハニチロのDXに関して、DX推進部の部長を務める古田昌代さんに詳しくお話を伺いました。

お話を聞いた人

DX推進部 古田 昌代
DX推進部
古田 昌代

グループ会社から転籍する形で、2018年にマルハニチロの経営企画部情報システムグループに入社。以来、同社の業務改善をシステムから支え、変えていく一人として様々な部署で活躍。現在はDX推進部の部長として、そして、2025年4月からは女性初の執行役員として、マルハニチロのDXを牽引すると共に、会社の改革を推し進めている。

INDEX

マルハニチロのDXは本気度とスピードが違う。

データを使ってビジネスを拡大している企業を紹介する特集ですが、そもそもマルハニチロはどのようにデータ活用やDXを進めていったのでしょうか。まずは、その辺りの話から古田さんにお聞きしました。
「最初はペーパーレス化など、デジタル技術を活用した業務改善からスタート。さらに、新しい働き方改革と連携し、社員が主体的に考えながら業務を行えるように、デジタルシフトに向けて計画的に環境を整えてきました。ただ、手段の進化で終わらせないのが、当社の特徴かもしれません。世間でもDX推進は加速しているかと思いますが、当社はD(デジタル)よりもX(トランスフォーメション)。つまり変革することを常に大切に進めております。」
また、古田さんの話によると、マルハニチロではこれからの100年、さらにその先の未来において地球や人々の暮らしを健康で豊かなものにするためには「新たな食の可能性」への挑戦が必要だと考え、事業のDX や社員の意識改革にも本気で取り組んでいるとのこと。2024年には「“社員が主役”のカルチャー改革」という新たな旗印も掲げ、変革のスピードを上げているそうです。そして、カルチャー改革の一環として、2026年2月には本社を移転することまで決定したというから驚きです。
その移転先はJR山手線「高輪ゲートウェイ駅」に直結する”TAKANAWA GATEWAY CITY”。ここには、東京大学やスタートアップなど、世界を本気で変えようとするアカデミアや企業が集まってくる予定で、マルハニチロも多様なパートナーとの共創によって新たな食の可能性に挑むとのことでした。
TAKANAWA GATEWAY CITYの完成予想図。「新たなビジネス・文化が生まれ続ける街」というコンセプトのもと開発されました。※画像提供:JR東日本

魚食のリデザインやパーソナライズにも挑戦する。

マルハニチロは、2024年5月にTAKANAWA GATEWAY CITYを実験場とし、まさに様々なデータを活用した新たな試みとして、「プラネタリーヘルスダイエット」の計画を発表しました。
「これは、豊富な顧客接点を有するJR東日本グループと多様で先端的な知を持つ東京大学、そこに“海”を起点とした多様な“食”の供給力を有する私たちが加わり、グローバルに新たな食の可能性に挑戦するというものです。具体的には“魚食のリデザイン”と“パーソナル・スーパーフード”という2つの計画を発表しました」と古田さん。どちらの計画でもマルハニチロが培ってきた事業の強みに加え、自社で有している独自のデータの存在が大きいとのこと。そこで、それぞれの計画でどのような取り組みを考えているのかといったことをもう少し詳しく教えてもらいました。
※「プラネタリーヘルス」とは、人の経済活動が、健康や都市環境、地球上の生物・自然に与える影響を分析し「人・街・地球」の全てがバランスよく良好に保たれるようなくらしづくりを目指す考え方です。
「たとえば、魚食のリデザインに挑戦する予定です。共働き家庭の増加などから、日本では調理の手間がかかる魚の需要は減少傾向にあります。しかしながら、スーパーなどの魚売場はずっと昔から形態も売り方もほとんど変わらないですよね。そこでお客様一人ひとりのニーズに合わせて、魚の鮮度や栄養価値、産地情報などが見える魚売場用のツールを提供したり、そもそも長期保存が可能で調理の手間を省ける未来の魚肉を開発したりできないかといったことを検討しています」
たしかに水産物の養殖、調達から加工、販売、物流まで行っているマルハニチロなら、あらゆるデータが揃っていますし、デジタルのイノベーションに加え、リアルなイノベーションにも挑戦できそうです。
さらに「当社が持っているデータだけでなく、JR東日本がSuicaなどを通じて得ることができる個人の行動データを活用したり、診療データの紐付けなどもできれば、一人ひとりの健康状態に応じてパーソナライズされたスーパーフードを提供し、食を通じてQOL(クオリティオブライフ)を高めることもできます」と古田さん。様々な企業が持つデータが組み合わさることで未来は大きく変わっていきそうです。

ベテランの職人技や消費者の目線もデータ化。

ここまで、ちょっと先の未来を見据えたデータ活用の共創事例を中心に聞いてきましたが、マルハニチロ独自でもすでに様々な取り組みを実施したり、予定したりしているとのことなので、その他のデータ活用事例についても古田さんに教えてもらいました。
「たとえば、ブリやカンパチの養殖場ではAIの画像認識技術を活用して魚体数を測る機器が欠かせなくなっていますし、スマホによる遠隔操作で餌やりができる仕組みも完成しています。こうした業務はこれまでベテラン社員の職人技に委ねられている部分も大きかったため、当社にとっても大きな変革ではないでしょうか」
また、古田さんは商品開発やマーケティングの領域でも数多くのデータ活用事例があると教えてくれました。
「⾷べるだけでなく、⾒て楽しくなるように、商品にスマホを近づけたら原料の魚やその魚がどんな場所でどう育ったかといった物語までわかったら楽しくなると思いませんか」と古田さん。おお、めちゃくちゃ興味が湧きます。「また、スーパーの売り場などでお客様がどんな場所を見ているのか、どういったパッケージに反応しているのかといったデータも収集し、商品開発やマーケティングにも役立てています」と教えてくれました。デジタルの力を活用してマーケットインの(市場から考える)事業への進化を加速させるマルハニチロ。想像以上にデータを活用している企業です。

未来への挑戦は、144年の歴史の上に。

そこで改めて、社内でDXやデータ活用に関わる社員側の話も聞いてみました。
「もともと、マルハニチロという会社は事業の幅が広く、かつ、それぞれの事業の専門性が高いため、組織運営が縦割りになる傾向があります。しかし、変化の激しい今、部署を横断し、そして強みをもってる他社と共創することで、新たな価値を⽣み出していかなければなりません。すべての変革に関わってきうるDXの業務はなおさらです。そこで、カルチャーを変えるDXのプロジェクトの多くは全社公募制で、その改革を実行したい社員で構成しています。様々な部署から、社員自らが手を挙げて参加する、これが”社員が主役”ということなのです!」
古田さんの話では、「だからこそ、DXに関わる業務は年次に関係なくチャンスがありますし、何よりこれまでの常識や習慣にとらわれない挑戦を行うためには、若い人たちの力が欠かせないと思っています」と話してくれました。最後に就職活動中の学生へのメッセージをお願いすると「DXなど未来への挑戦ができるのは、当社の144年の歴史の土台があるからです。私自身はその会社の未来を知るためには、過去を知ることも大切だと思っています。皆さんがこれから出会う会社が、どんな歴史を持っていて、その上にどんな未来を築こうとしているのか。ぜひ、そういう部分にも目を向けて会社を探してもらえればと思います」と素敵な言葉が返ってきました。

マイナビ編集部の声

データの意外な活用事例を聞こうと思ったら、そもそも会社全体がDXの真っ最中だったマルハニチロ。144年という歴史のある企業でありながら、常に進化し続ける姿勢には本当に驚かされました。高輪ゲートウェイに移転する本社も楽しみですし、デジタルと融合した水産事業や食品加工事業の未来も楽しみです。ぜひ、その先頭を走る一人として挑戦してみてください。

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