生物・農学系

何をやる仕事？

生産職や製造職は、メーカー（製造業）の基幹となる業務である。正しい品質の製品を作り出すことはもちろん、市場ニーズに合わせた生産計画を立案し、原材料調達をするなど、モノづくりの土台を支える。実際に手を動かして製造に当たるラインスタッフを管理したり、製造工程全体を監督するなど、立場によって職務は異なる。人手不足に対応するために、自動化やオフショア化（海外移転）なども企画し実行する。生産ラインの企画や設計、製造装置の調達から設置を担当する部署として、「生産（または製造）技術職」を設けている企業もある。

製造業では大量生産のラインをつくることでコスト効率の良い製造ができる一方、小ロットやカスタムオーダーのような市場ニーズもあり、そのバランスを考えた生産体制が求められる。植物工場での工場栽培のように、従来の工業製品とは異なる製品製造も始まっている。また、グローバル化が進む経営環境では、国内生産ではコストが合わず、製品を輸入したり海外に製造部門を移転したりすることもある。しかし、海外生産は、生産コストが下がる一方で品質管理の高度化が求められる。さらに地政学的リスクなども加わり、役割が軽減されることはない。

どんな能力やスキルが求められるか？

• ほとんどの生産設備は機械と電気をベースに稼動するので、機械系や電気・電子系出身者と親和性が高い。生産プロセスは電子化され、コンピューター制御が主流となっているため、ITスキルが評価されることも多い。
• また、特定の製品分野についての専門知識が評価される場合もある。例えば化学系専攻であれば、化学メーカーや素材メーカーの生産職としても活躍できる可能性が高いということもある。
• 部品や材料のコストダウン、省人・省力化など、コスト意識は生産職には不可欠。
• 製造ラインで作業をするだけではなく、常識にとらわれない発想で新しい仕組みを考えるなど、クリエイティビティーやチャレンジ精神も期待される。
• 社内のさまざまな部門をはじめ、社外や海外の企業と連携をするケースもあるので、協調性は不可欠である。

何をやる仕事？

品質管理は、生産するモノの品質を管理する業務。数量、サイズ、重量など、製品は要求された品質通りに製造されていなければ出荷はできない。特に、「メイド・イン・ジャパン」が品質保証の代名詞と言われた日本のモノづくりは、厳しい品質管理によって支えられてきた。

生産管理は、製品を製造して出荷し、市場に出る過程全てを管理する業務である。単に製造するだけではなく、販売状況や在庫状況も把握し、さらには販売予測なども考慮した生産計画を練り、常に状況把握をしつつ、より効率的な生産ができるようさまざまな対応をする。人が製造しているなら人員管理も、ロボットなどが製造しているのであれば、製造装置の管理も含まれる。

メンテナンスは、生産ラインを適正に維持するため、製造設備全般を常時点検、整備する業務。製造装置や機器だけでなく、建物や電源、水道、空調などを含むこともある。

どんな能力やスキルが求められるか？

• 製品や材料、素材への理解が求められる。職務そのものは標準化が重要なため、必ずしもその製品分野の専門ではなくとも、計数能力やコスト感覚などが備わっていれば、専門外の産業分野でも活躍の可能性がある。そのため幅広く理系全般の専門知識が評価されることも多く、専門分野と直結しない基礎系の学生の応募も少なくない。
• 生産計画や在庫管理などには高い計数能力、IT対応能力が求められる。さらに原材料の市況や為替などの変動要因もコストに直結するので、情報収集能力も必要となる。
• トラブルを未然に防ぐため、観察力や想像力、問題発見能力などは重要である。

何をやる仕事？

製品の製造に必要な原材料を、生産スケジュールに合わせて仕入れ、製造後は速やかに出荷、状況を見ながら在庫を適切に管理し、顧客の発注に応えられるよう製品の供給をするまでの一連の流れ。これを最適化することを、「SCM（サプライ・チェーン・マネジメント）」という。

物流・在庫管理とは、単にモノを運ぶ、倉庫番をする、ということではなく、これをコントロールする業務。ロジスティクスと呼ぶ場合もある。

サプライチェーンでは、どこかが欠ければ「チェーン」全体が崩れてしまい、欠品を招く。欠品は機会損失という利益圧迫になるため、先を読んで適正な在庫量や調達期間を計算する必要がある。一方で在庫が増えれば維持管理コストが発生し、これまた利益を圧迫することになる。AIなどを利用して販売予測を行う企業もある。全体の状況を常に把握して適正バランスを見極め、業務を実行する数学的センスは非常に重要である。

サプライチェーンのうち、特に自社製品やサービス提供に必要な原材料、資材、備品、設備をそろえる業務に特化したのが調達である。商社や卸、小売りなど流通業では原料資材より完成品そのものを買い付けることから、購買やバイヤーとも呼ぶ。

原材料や完成品の仕入れは相場や市況によって価格が変動するため、会社の収益に大きな影響を及ぼす。海外から買い付けることも多く、仕入れ価格や量など、売主との交渉や、輸入のための通関業務が必要となる場合もある。

どんな能力やスキルが求められるか？

• 扱う対象（原材料、資材、備品、設備など）の価格や市況の知識。場合によっては、国際情勢などにも通じている必要がある。価格変動のある対象では、相場観も求められる。
• 売主との交渉力。安く調達できればその分利益が増える。国際的な取引であれば、相手国にもよるが英語力が必要なことも多い。
• 在庫管理やシステム運用のための数学的素養は重要。また多くの場合、受発注、在庫管理から販売管理までを一貫したシステムを使用するため、IT操作スキルは欠かせない。

何をやる仕事？

応用研究とは、基礎研究の成果を踏まえ、それを具体的な技術や製品にするための実用化の研究である。いわゆる企業の「研究職」の多くがこれに該当する。対象は新発見のテーマもあれば既存の技術を新たな使途で活用するような場合もある。エレクトロニクスや通信・情報技術関連では、方式や規格が製品の普及に大きく影響するため、それに合わせた技術実用化が欠かせない。新素材、ヘルスケア、エネルギーなども研究成果で業界序列が変わるほどの影響が出ることもある。

技術開発は、自社の製品・サービスを効率的に生産・提供するための開発業務で、企業によって応用研究と同じ位置付けのこともある。生産管理や生産技術に関与することもある。すぐれたアイデアや素材、テクノロジーであっても、ビジネスとして成立させるには商業ベースの製品供給をする必要があり、コストだけでなくUX（ユーザーエクスペリエンス）も考えつつ、製品化を進めることが求められる。

どんな能力やスキルが求められるか？

• 研究職では、専門分野に関して大学院レベルの研究経験が求められることが多い。
• 最新の研究や技術、特許、法律、業界動向など、広く知見を持っていることが求められる。
• 研究者視点や技術者視点だけでなく、特に市場ニーズなどへも関心を持ち、マーケティング感覚を磨くことで、より良い研究開発ができる。
• 多くの場合、研究成果や特許などが国際的に展開されるので、海外のデータを読み解く語学力や専門知識も必要となってくる。

何をやる仕事？

基礎研究では、特定の製品の研究開発とは違って、短期的には必ずしもビジネスにつながらない対象であっても研究対象とする。大学などアカデミアの研究に近いが、最終的には企業の新たな収益となる種を生み出すことが期待されている。柔軟な発想で新しいテーマに果敢にチャレンジし、実用化も見据えて幅広い視野で研究に取り組む必要がある。この点で、学術的価値や興味から行う研究とは異なる。産学連携で、大学や公的機関と共同で研究したり、海外の研究機関と連携して進める事例もあるので、社内外とのコミュニケーションも不可欠である。

どんな能力やスキルが求められるか？

• 研究者としての基本的なスキル全般。専門的な研究経験、多くは大学院レベルの研究経験が求められる。
• 企業の一員であるという自覚を持ち、業務として研究に取り組む責任感。
• 綿密なコミュニケーションを通じて、社内外と協調でき、協力体制を築くことができる力。
• 国内の専門文献や資料だけでなく、海外の資料にも対応できるリテラシー。