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メーカー業界
機械業界あなたの
志向にマッチ
機械業界を 理解するポイント
- 巨大企業から中小企業まで、独自技術を持つ多彩な企業が産業を支える
- 機械受注は景気判断の先行指標
- トランプ政権の誕生でさらなる米中対立懸念も
- 中国企業の実力が向上する中で中国依存体制からの脱却が課題
- 自動化へのニーズは高く、堅調な需要は継続。AI搭載機器に期待
- フィジカルAIの導入で日本の産業競争力を高める
業界の現状と展望
あらゆる産業と関わりを持つ巨大産業
機械業界は、建設や自動車、家電などあらゆるメーカーに関わっている規模の大きな分野だ。油圧シャベルやクレーン、フォークリフトなど土木・建設に必要な機械を製造するのが建設機械業界で、大型機に強みを持つ総合メーカーと機種を限定した専業メーカーがある。金属はもちろんセラミックやガラスといった非金属を削ったり加工したりして、自動車、飛行機、電子機器などあらゆる機器向けの部品を造りだす機械を製造するのが工作機械業界。工作機械は、機械を作る機械ということから、マザーマシンとも呼ばれている。
また、工場で溶接や組み立て、塗装、運搬、仕分けなどの作業を行う産業用ロボット(機械)を得意とする企業もある。
さらに、機械業界の企業には、素材の含有量や線量などを測る計測機器や、紙幣・硬貨識別機、紙幣印刷機、工業用ミシン、エレベーター(昇降機とも)など、特定分野ながらグローバルで高いシェアを占める専門機器メーカーが多いことも特徴だ。
ポイント
機械は価格やスペックだけでなく、メンテナンスや修理、消耗部品の交換などアフターサービスのきめ細かさが顧客の信頼を得る大きな要素となります。一方で、特に国内では機械を長く大事に使うことが美徳とされる風潮に加え、経営的な判断からも中小企業を中心に設備投資が進みにくいという現実もあります。古い機械と新しい機械では生産性や省エネ性能は大きく異なるため、設備投資を促す政策面での支援を求める声もあります。
中国経済への懸念もあるが、自動化や省人化など高機能化へのニーズは高い
景気の先行指標とされる機械受注統計。ほとんどの製造業は景気動向に応じて設備投資を控えたり積極的に行ったりするため、機械業界は国内外の景気変動の影響を極めて受けやすい業界として知られている。
日本工作機械工業会の統計調査によれば、2025年の工作機械受注総額は内需が前年比0.2%減の4,409億円となったものの、外需は同11.5%増の1兆1,635億円となり、受注総額は同8.0%増の1兆6,043億円に拡大した。外需では、全体の4分の1を占める米国向けが17.0%増となったほか、金額の大きい中国・台湾・韓国の属する東アジア地域での受注が好調で前年比13.2%増だった。全体の3分の1を占める中国向けが同15.7%増と堅調だったほか、発展著しいインドも11.5%増などと多くの地域や国で好調だった。
市場規模の大きい中国市場だが、近年は多くの分野で中国企業の技術力の向上は目覚ましく、中国国内において中国企業のシェアは拡大しよう。また、トランプ政権の政策による米中覇権争いの懸念もあり、高成長を長期にわたって見込めないかもしれないという危惧もある。中国に大きく依存する体制からの脱却も課題になりそうだ。
常に生産性向上が求められる製造現場では、IoT(モノのインターネット)化や工場の省人化、自動化に向けた産業用ロボットの導入や、非接触化需要(ボタンを押すなど物理的な接触を伴わず操作できる機器への需要)も引き続きある。さらに、脱炭素の流れは機械業界も避けて通れない。これまで、当たり前のようにエンジンを動力としていた建設用機器の分野でも、電動化やハイブリッド化が進行している。
また、厳しい競争を勝ち抜くには、複数の工程を1台の機械でこなせる複合加工機など、より高付加価値の機械の開発がますます重要になってくる。さらに、AI(人工知能)を搭載し高度に知能化した最先端ロボットへの期待も高い。
加えて、自動車業界ではEV(電気自動車)化におけるギガキャスト(自動車の車体部品などを一体成型する技術)が登場。自動車の製造方法や生産工程、サプライチェーンが大きく変わるといわれており、機械業界にとっても影響は大きい。
ポイント
これまでの工作機械は、材料を回転させて削る旋盤、刃物を回転させて削るフライス加工、表面を削って仕上げる旋削などの作業を別々の機械で行っていました。こうした複数の作業を1台の機械で仕上げることができるのが複合加工機です。また、切削加工においては、左右(X軸)、前後(Y軸)、上下(Z軸)の3軸加工機が中心でしたが、回転・傾斜の2軸を加えた5軸加工機も登場。より複雑な加工を可能にしています。
売り上げが中国から他国へシフト。中国市場では中国国内企業がシェア拡大
日本ロボット工業会の統計資料によれば、2024年のマニピュレータ、ロボットの出荷額は、前年比10.6%減の8,252億円。国内出荷は同2.9%増の2,289億円と増加したものの、輸出は同14.8%減の5,963億円となった。輸出の約4割を占める中国向けが同13.6%減、輸出の2割弱を占める米大陸向けが同33.5%減の大幅減となったことが大きく影響した。
これまで、機械業界にあって大きな販売実績を上げている中国市場。製造業での効率化や自動化を強力に推進しており、産業用ロボットの世界最大の市場となっている。国際ロボット連盟のリリースによれば、世界の産業用ロボット稼動台数推定(マニピュレーティングロボットのみ)は、前年比8.9%増の466.3万台。そのうち、43.5%を占める202.7万台が中国で稼働している(2位は45万台の日本、3位は39.4万台のアメリカ、4位は39.2万台の韓国)。
中国では大きな人口を抱え、新しいユニークなアイデアが新事業として創出されており、しっかりとキャッチアップしておくことが必要だ。一方で、中国企業の技術は、あらゆる業界で急速に進化していることは忘れてはならない。期待の大きいインドやベトナム、大きな市場であるアメリカやヨーロッパなどとのバランスを見極めながらのかじ取りが重要になる。
期待が高まるフィジカルAI
ChatGPTなどに代表されるAI(生成AI)は、膨大な情報を学習した上で、デジタル空間(サイバー空間)で文章や画像、映像などのデジタルコンテンツを出力していた。将来的に大きな市場拡大が期待できるフィジカルAIでは、AIが頭脳となりセンサーやカメラなどから得た情報を解析・判断し、その結果に基づいて物理的な動きをすることが大きな特徴だ。必ずしも人間のような2足歩行である必要はない。自動運転を可能にする自動車や自立飛行するドローン、工場での活躍が期待できるロボットアームなど、特定の形状にこだわることなく幅広い機器で活躍することを想定している。中でも製造現場では、工場がこれまでの自動化(オートメーション)から、さらに進んで自立化(オートノミー)する起爆剤として大いに注目されている。
現状では米国や中国が先行していると見られているが、市場が成熟しているわけではなく、日本企業にも巻き返しは可能だ。手や指に相当する細やかな動きを機械で再現する技術は、日本企業が得意とするところでもあり、既存の技術を応用することも可能だ。物流、建設、医療、介護、災害対応など複雑な作業を求める現場での活躍と同時に、人手不足の解消も期待されている。
フィジカルAIは機械業界にとどまらず、電気・電子、半導体、自動車などさまざまな業界に好影響をもたらすと考えられている。言語・画像中心のAI開発を進める米中に対して、日本は製造業や医療、物流などの現場データを活用し、ロボットや工場が自律的に動く物理世界のAIで差別化を図ることで、大きな経済効果を目指している。
業界関連⽤語
ロボットスーツ
体に装着して、動作の補助や筋力の向上などを図る機器(ロボット)で、パワードスーツやパワーアシストスーツなどとも呼ばれる。民生用、軍事用、アミューズメント用などさまざまな用途でロボットスーツの開発が進行している。04年に国内で設立されたサイバーダイン社のロボットスーツ「HAL」は、脳から神経を通じて筋肉に信号が伝わった際に体表に漏れ出る微弱な「生体電位信号」を、装着者の皮膚に貼ったセンサーで検出、筋肉の動きに合わせてモーターを駆動し、動作をアシストする。すでに、医療や介護の現場への導入が進んでいる。
ブレーン・マシン・インターフェース(Brain-machine Interface:BMI)
脳信号の読み取りや脳へ刺激を与えることで、脳と外部の機械を結び情報伝達を行うプログラムや機器の総称。人間の脳神経を流れる微弱な信号を検知・解析、その意図を読み取るので、手足を動かしたりすることなく機器を操作できる。自分が動きたい方向を思い浮かべれば乗り物が動き、テレビの電源をオフにしたいと考えるだけで消せるといったことが可能になる。
また、映像や音楽を目や耳からではなく、脳でダイレクトに楽しめるといわれている。
機械受注統計
内閣府が毎月公表しているデータで、主要メーカーを対象に、各産業セクターから1カ月間にどれだけ受注があったかを集計してはじき出す。
各企業が設備投資のための機械をメーカーに発注する段階の数字が反映されるため、6~9カ月先の設備投資の動向を示すとされ、景気の先行きを読むための指標としても注目されている。
ロボティック・プロセス・オートメーション(Robotic Process Automation: RPA)
仮想知的労働者(デジタルレイバー)ともいわれ、これまで人の手で行ってきた知的な事務処理業務を、AIの機械学習やディープラーニング、認知技術の活用などによって、自動化するソフトウエアやシステムのこと。人が時間をかけて行ってきた作業手順をコンピューターに学習させることで、よりスピーディーで確実に処理することができるため、人手不足を解消し、なおかつ作業能率を高める技術として期待されている。
多関節ロボット
産業用ロボットの中で、複数の関節(軸)を持ち、人間の腕と同じような複雑な動きを実現するのが多関節ロボット。JIS規格では、三つ以上の関節(軸)を持つロボットと定義されている。関節(軸)が多いほど、複雑な動きが可能になり、角度まで考慮して先端部を任意の空間上の位置に運ぶためには、原理的には最低六つの関節が必要とされている。アーム部分が垂直に動く垂直多関節ロボットと、水平に動く水平多関節ロボットに大別される。近年は八つの関節を持つ8軸の産業用ロボットも登場している。
ターンキー
機械業界では、システムも含めて生産ライン一式を納品することも多く、「鍵を回せばすぐに設備が稼働する」という意味で使われる。発電所やプラント設備、半導体製造設備、新交通システムなど大型の機械設備もあれば、コピー機やパソコンなど小型のものまでさまざまな製品がある。個人が購入する自動車やスマホも同様だ。
協働ロボット
従来の産業用ロボットは、高速で大きな部品を動かして組み立てを行っていた。人と同じ空間で協働作業ができず、安全柵の設置など大きなスペースが必要なため、導入が困難なケースもあった。そこで、開発が進んでいるのが協働ロボット。通常は従来通り高速で稼働するが、人が近くにいる場面では、安全なスピードとパワーで稼働、万が一の接触時も安全に停止するなどの機能の搭載が特徴。
配膳ロボット
飲食店などで厨房から座席まで料理やドリンクなどを運ぶサービスロボット。新型コロナウイルス感染症の流行以降に急速に普及した。近年は、ファミリーレストランなどのチェーン店で見かけることが多くなっている。ホテルで出前の部屋への配送に利用されたり、工場で部品の運搬に使われたりと、飲食店以外での利用も拡大している。
どんな仕事があるの︖
機械業界の主な仕事
営業
自社商品を、顧客である企業や卸会社に提案・販売。顧客の要望を聞き出し、製品の改善や新製品づくりに役立てる。
資材調達・購買
世界各地の製造工場からのニーズを取りまとめて、国内外から材料となる素材や部品を仕入れる。
商品開発
既存商品を改善するほか、新商品の企画を立てて、試作や開発を行う。
基礎研究
次世代向け製品に役立てるため、最先端技術の研究を行う。
生産管理
製作現場の全工程を理解し、品質、コスト、時間を管理する。品質管理と効率面のコントロールが重要な仕事。
機械業界の企業情報
※原稿作成期間は2025年12月10日〜2026年3月31日です。