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薬学生の業界研究 ドラッグストアで働く
Introduction

セルフメディケーションの機運が高まる中、ドラッグストアにおける薬剤師の役割が広がりを見せています。病気を抱える人にとっても健康な人にとっても身近で頼れる存在となるために、さらに進化していくドラッグストア業界について理解を深めましょう。

Index

ドラッグストアの最新動向

今後の展望

ドラッグストア薬剤師の仕事

就職活動&キャリアパス

ドラッグストアの最新動向

幅広い商品が魅力的な、健康管理の拠点

「2020年度版 日本のドラッグストア実態調査」(日本チェーンドラッグストア協会)によれば、全国のドラッグストア総店舗数は2万店超、総売上高は8兆円超となっています。コロナ禍にあってもホームケア用品を中心に強さを見せ、市場規模の拡大がますます進むと予測されています。近年は、ドラッグストアにおける調剤額も大きく増加する傾向にあり、2020年度には初めて1兆円を突破しました。

そもそもドラッグストアでは、取扱商品のうち食品や日用品の占める割合が高く、医薬品(調剤、OTC医薬品)の割合は2~3割程度といわれてきました。スーパーのように多様な商品を安く販売してお客さんを呼び込み、利幅の大きい医薬品にも興味を持ってもらうという戦略です。一方で、医薬分業の進展を背景に、近年では「調剤併設型ドラッグストア」も増えつつあります。いわゆる調剤薬局との垣根が低くなり、調剤医薬品の存在感が今後さらに高まっていく可能性も低くありません。

今後の展望

「予防医療」の立役者として期待が集まる

日本人の平均寿命は、男女ともに世界トップクラスです。しかし、これからの時代は単純な寿命の長さを追い求めるよりも、健康寿命(闘病や要介護状態のために日常生活が制限されていない人生の期間)をいかに伸ばすかが重要だと考えられています。そこで注目を集めているのが予防医療です。特に生活習慣病に関しては、特定健診・特定保健指導により病気の発症や重症化を防ぐことが期待され、薬剤師にも従来以上の役割が求められるように。こうした取り組みは、一人ひとりのQOLを向上させることはもちろん、国家の財政を圧迫する国民医療費の抑制という観点からも大切だと考えられています。

2017年にセルフメディケーション税制が導入されたことも後押しとなり、OTC医薬品や健康食品などを通した健康増進・疾病予防への関心はますます高まっています。日常的に地域住民と接点を持つドラッグストアが人々のセルフメディケーションをサポートし、予防医療における立役者として活躍することは、地域包括ケアという枠組みにおいても重要だといえるでしょう。

ドラッグストア薬剤師の仕事

医薬品関連の業務と小売店としての業務を両立

調剤併設型の店舗では、処方箋に基づいて医薬品を渡して服薬指導を行う、必要に応じて疑義照会するといった、一般的な薬剤師としての業務が主軸となるでしょう。OTC医薬品のみを取り扱う店舗でも、処方薬との飲み合わせを検討したり、症状によっては受診を勧めたりして、お客さんのセルフメディケーションを支えていきます。近年では、気軽に健康相談できるようなイベントや独自の取り組みを展開するドラッグストアも多くなり、自分のアイディアを形にできる機会があるかもしれません。ただし、こうした医薬品・健康関連の業務だけに従事すればいいというわけではなく、商品の陳列や品出し、仕入れ、レジ打ちといった小売店としての業務に貢献することも必要です。

就職活動&キャリアパス

就職活動のポイント

各社の特徴を踏まえた志望動機を練り上げよう

一口にドラッグストアと言っても、その実態は多様です。地域のニーズをくみ取りながら戦略を練り、同業他社としのぎを削る各社には、それぞれ考え方や事業内容に特徴があるはず。「なぜ、ドラッグストアで働きたいか」を突き詰めておくことはもちろん、「なぜ、その企業を志望したのか」まで説明できることが重要です。例えば、「地域住民の健康を支えたい」と考えているなら、具体的な企業の理念や取り組みにひも付けて、自分が実現したいことを話せるようにしておきましょう。

また、ドラッグストアでの仕事はサービス業としての側面が強いこともあり、コミュニケーション能力や社会人としてのマナーが重視されることも多いようです。「薬剤師資格があれば何とかなる」と油断せず、入念な対策をしてから就職活動に臨みましょう。

キャリアパス

若いうちから責任ある立場で活躍できることも

薬剤師として店頭で経験を積んだ後、医薬品管理などの責任者である管理薬剤師や、店舗を統括する店長をめざすルートが一般的です。まだ若いうちから、複数の店舗をマネジメントするエリアマネージャーなどを任されるケースも珍しくなく、早期のキャリアアップを狙いやすい業界だといえます。

また、現場を離れて本社で活躍することも考えられます。店舗システムや教育制度、広報戦略、人事、プライベートブランドの商品開発といった仕事に取り組める可能性もあり、努力次第で多彩なキャリアパスが望めるでしょう。なお、全国でチェーン展開しているようなドラッグストアでは、転勤があるケースも少なくありません。転勤を望まない場合は、勤務地域を限定した採用枠に応募したり、一定の範囲に出店地域が絞られている企業を選んだりすることも一案です。

向いている人

「薬剤師&ビジネスパーソン」を楽しめる人

多くのお客さんにとって、ドラッグストアの薬剤師は「健康に関する最も身近な相談相手」です。さまざまな年代や背景の人と接することに抵抗がなく、薬学の専門知識を生かしながら親身になってアドバイスしたいと思える人に向いているでしょう。一方で、小売業としての目線を忘れないことも大切です。医薬品に限定せず取扱商品に関する幅広い知識を持ち、接遇のレベルアップや魅力的な店舗づくり、マーケティングなどを実践して、売上アップに貢献する姿勢を持つことが求められます。