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第3回
個別支援計画の書き方

介護実習におけるハイライトともいえるのが、アセスメント→計画立案→実施→評価という一連のプロセスを経験できる「介護過程の展開」でしょう。ここでは、どんな支援を行うかを記載する「個別支援計画」の作成について、押さえておきたいポイントをお伝えします。

先生方や実習指導者への相談を忘れずに

介護過程の展開には、介護職としての総合的なスキルが求められます。対象者のアセスメントをもとに計画を立て、実際にケアを実施して振り返るという流れの中で、考える力を養うことができる重要な取り組みだといえるでしょう。個別支援計画の立案・実施においては、担当の先生方や実習指導者とコミュニケーションを図ることが大切です。実習では介護過程の展開以外にも行うべきことがありますし、実習先の状況によってできることも変わってくるからです。

実習中、個別支援計画を実施するための時間があらかじめ確保されているなら、その時間をありがたく活用させてもらいましょう。毎日、同じくらいの時間帯で計画を実施できれば、データの収集や計画の見直しもしやすくなります。実習先によっては十分な時間を取りづらいケースがあるかもしれませんが、実習指導者と相談しながら積極的に時間の確保に努めましょう。必ずしも理想通りに進められるとは限らないので、柔軟性を持って展開できるよう個別支援計画を練っておくことも大切です。

スケジュールを把握して実施期間を確保する

限りある時間を最大限に活用して学びを深めるためにも、書類作成には計画的に取り組んでください。計画に基づいた支援内容を何日間くらい実施したいのか考え、そこから逆算してアセスメントや計画立案にかかる時間を確保する必要があります。結果的に、いつまでに対象者を決定して情報収集を行うべきなのかも見えてくるはずです。

短い実習期間では限界があるとはいえ、できるだけ長い実施期間を確保し、より信頼性の高い結果(利用者さんの変化など)を残せるといいですね。特に数値などのデータを収集する場合は、1週間くらいの実施期間があると理想的です。ある程度の長さの実施期間があれば、「最初に立てた計画を修正・変更して実施する」といった経験ができる可能性もあります。

「いつ」「どこで」「何を」したいか明示する

個別支援計画には、対象者に関する長期目標と短期目標、そして支援内容を中心に記載します。長期目標は、アセスメント表などの情報から見出した生活課題やニーズをもとに作成します。その実現に一歩でも近付くために、実習期間中に達成しうる具体的な内容を短期目標として設定します。そして、短期目標を実際の支援内容として落とし込んでいくわけです。短期目標が複数ある場合は、それぞれについて支援内容を考えていくと分かりやすいでしょう。

支援内容を実施する日時(または頻度)や実施場所を、書類に記載しておくことも大切です(あくまでも予定でかまいません)。この点を明確にすることで計画の実現性がアップする上、誰が読んでも実施方法が明らかになるからです。結果として、実習指導者や他のスタッフからフォローしてもらえる場面が増えるかもしれません。「いつ」「どこで」「何を」したいか分かりやすく示しておくことは、周囲の協力を仰いでより良いケアを行うためにも有効なのです。

援助内容は「多め」に考えておこう

実習中は、想定通りに物ごとが運ぶとは限りません。考えていた支援内容が1つしかなければ、不測の事態があったときに「できることが何もない」という状況に陥ってしまいます。それを避けるため、支援内容はできるだけ多めに設定しておくと安心です。そして、書類の書式にもよりますが、それぞれの支援内容に「優先度」を明示しておくとなおよしでしょう。実習先での状況や与えられた時間に応じて、何からどのように取り組むべきかを整理できるからです。

また、複数の支援内容を立案することには、より多面的な関わりを実現するという意義もあります。例えば、「気分転換を図る」という1つの短期目標についても、「散歩へ行く」「会話する」「映像や本を楽しむ」「制作物に取り組む」など、たくさんの方向性があるはずです。対象者のアセスメントをベースにしながら、どのような関わり方ができるか広い視野で考えることも大切です。

「利用者さん本位」の援助内容になっている?

これまでの学びを生かして現場で実践を重ねることには、大きなやりがいがあるはずです。しかし、実習生の思いばかりが先行し、協力いただく対象者への配慮が欠けることは絶対に避けなければなりません。具体的な支援内容を考えるとき、「自分がやってみたいこと・経験しておきたいこと」ばかりになっていないでしょうか。何よりも大切なのは、個別支援計画の対象者にとって意義があり、関心・意欲を持ってもらえるような内容にすることです。

また、せっかく力を入れて作成した個別支援計画ですから、できるだけ予定通りに実施したいと思うのは当然のことです。しかし、対象者の体調に懸念点がないか確認することはもちろん、本人の「やりたくない」という意思を無視してはなりません。特に、疾患などの影響で意思の伝達がスムーズでない方に対しては、相手の真意をとらえるために細心の注意を払う必要があります。計画通りに実施できないケースが多いなら、そもそもの支援計画に問題がなかったか見直してみましょう。

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