医療技術・リハビリ職特集

全国の医療技術・リハビリ職の推移

INDEX

はじめに

ここで紹介する医療技術・リハビリ職は、いずれも医療現場などで欠かせない国家資格者として養成され、毎年現場に入職しています。とはいえ、職種により需要と供給はまちまちで、一概に語ることはできません。職種ごとに人数的なボリュームとその推移を紹介するので参考にしてください。

臨床検査技師の推移

臨床検査技師の常勤換算従事者数は、2020年の時点で5万5169.8人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。検査機器の進歩により検査の自動化が進み、特に病院では臨床検査技師の需要が下がっているとの指摘もあります。臨床検査技師は医療技術・リハビリ職の中では数が多いだけに、今後の需要と供給のバランスには注意が必要かもしれませんが、2015年から臨床検査技師の業務範囲が拡大(採血以外の検体採取など)されたことは追い風だといえるでしょう。

図1 臨床検査技師の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

臨床工学技士の推移

臨床工学技士の常勤換算従事者数は、2020年の時点で2万2653.7人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。臨床工学技士が国家資格となったのは1987年で比較的近年のことですが、需要の急拡大(主に人工透析を必要とする患者さんの増加)を受けて人数が伸びている状況ではあります。しかし、日本臨床工学技士教育施設協議会 によれば、透析患者5人に対して臨床工学技士1人が必要で、そこから計算すると現状でも約7万人の臨床工学技士が必要であるとされており、まだまだ人数が足りないことになります。

図2 臨床工学技士の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

診療放射線技師の推移

診療放射線技師の常勤換算従事者数は、2020年の時点で4万5177.0人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。人数の伸び率が高いとは言いにくいものの、年を経るごとに着実に増えていることは間違いありません。近年では病気の早期発見・早期治療の重要性が広く認知されるようになり、CT検査、X線撮影、MRIなどを駆使する診療放射線技師のますますの活躍が望まれます。また、女性の乳がん検診の啓発が進んだこともあり、マンモグラフィーを扱う女性の診療放射線技師のニーズも高まっています。

図3 診療放射線技師の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

理学療法士の推移

理学療法士の常勤換算従事者数は、2020年の時点で8万4459.3人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士需給分科会 」(2019年)では、「PT・OTの供給数は、現時点においては、需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍となる」と指摘されています。一方で、急性期医療や精神科医療の領域では理学療法士が足りていないという現場からの指摘もあり、今後は領域による人数の偏りが調整されるフェーズに入るのかもしれません。回復期以外のリハビリテーションにも対応できる知識とスキルを磨いておくことは、決して損にはならないでしょう。

図4 理学療法士の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

作業療法士の推移

作業療法士の常勤換算従事者数は、2020年の時点で4万7853.9人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会 理学療法士・作業療法士需給分科会 」(2019年)では、「PT・OTの供給数は、現時点においては、需要数を上回っており、2040年頃には供給数が需要数の約1.5倍となる」と指摘されています。その通りであれば人材の需給バランスが大きく崩れた状態になるため、国は何らかの方法で養成者数を調整することになるかもしれません。そうした中でも、個々の作業療法士としては知識とスキルを磨き続け、目の前の相手に必要とされることが大切だといえるでしょう。

図5 作業療法士の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

言語聴覚士の推移

言語聴覚士の常勤換算従事者数は、2020年の時点で1万6799.0人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。1997年に国家資格となった比較的歴史の浅い職種であるため、理学療法士や作業療法士より数が少ないのは当然だといえます。2016年、四病院団体協議会が会員病院に療法士の人員確保状況を質問したところ、言語聴覚士について「募集しても応募が少ない」との回答が58.5%に上り、理学療法士の32.9%を引き離す結果となりました(「理学療法士・作業療法士・言語聴覚士需給調査」 )。供給過多が見込まれる理学療法士や作業療法士と違い、言語聴覚士の需要は引き続き高くなりそうです。

図6 言語聴覚士の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

視能訓練士の推移

視能訓練士の常勤換算従事者数は、2020年の時点で4586.3人です(「令和2年医療施設調査・病院報告 」)。1971年に国家試験が行われて以来、少しずつ有資格者を増やしてきましたが、それでも他のほとんどの医療系国家資格に比べて大幅に数が劣る状況となっています。ただし、視能訓練士の養成対象は初期のころは女性に限られていたので、そのことも人数の少なさに影響していると考えられます。近年では視能訓練士の業務範囲が広がったこともあり、男性の割合が年々上昇しています。

図7 視能訓練士の常勤換算従事者数
(厚生労働省「医療施設調査・病院報告」より作成)

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