PROJECT STORY
[第二章]
井之上翔悟

三井ホーム鹿児島株式会社 営業部
2014年入社 法学部卒

営業と建築現場の
二刀流で得た、自信と絆。

営業としての焦り

慣れない環境にもかかわらず懸命に働く井之上の姿に、平瀬はとても感心していた。
「週に3日営業をして、2日現場に来るというのは、なかなか大変な状況です。それでも仕事に一生懸命取り組み、ちょっと手が空けば進んでホウキを持ってあたりを掃除しているんです。自ら仕事を探す姿勢はとても立派なものでしたよ」
周りの人間にはそんな姿を見せていた井之上だが、その心中は焦りでいっぱいだったという。
「営業として、何の成果も残せていなかったんです。現場に入るようになって3ヶ月が経ち9月頃になると、『同期の誰々が初受注を上げた』というニュースがどんどん入ってくるようになりました。それなのに、自分は満足にお客様のフォローもできていない。同期の仲間と飲みに行って、思わず愚痴をこぼしたこともありました」
そんな井之上を変えたのは、仲間たちが言った何気ない一言だった。

「お前は俺たちに無い武器(経験)を 手に入れているよ」

その言葉を聞いた時、井之上はハッと気づいたという。
「現場ではすごい技術を持った職人さんたちが、真剣に建物づくりに取り組んでいます。三井ホームの家はこの人たちが魂を込めてつくっている。これをお客様にしっかり伝えていくことができるのは、現場を知っている自分にしかできないことだと気づいたんです。それからは『もっと職人さんと仲良くなろう』『もっときれいに掃除して仕事に集中してもらえる現場にしよう』と思えるようになりました。そして自分は仕事の効率をさらに上げて、お客様のフォローに使える時間を少しでも確保するようにすれば良いと気付いたんです。その頃から次第にいろいろなことが上手くまわるようになりました」

初受注

「秋頃から井之上の仕事に対する姿勢がより積極的なものへと変わっていったのがわかりました」と、平瀬は井之上の変化を敏感に感じ取っていた。井之上は以前にも増して職人さんの仕事ぶりに注目し、頻繁に声をかけるようになっていた。「一つひとつの仕事の効率を上げるので、空いた時間にお客様へ電話をかけることを許可して欲しい」という依頼も出してきていた。
「井之上の真面目さは職人さんたちもよくわかっていたので、みんな応援していましたね。かといって甘やかしはしませんでしたけど」と、平瀬は当時を振り返って笑った。

その頃から、井之上が営業としてお客様に説明する内容も変わり始めていた。自分が現場に入って仕事もしているということ。そこで改めて知ることになった職人さんの技術力の高さ。そして 関わる職人さん一人ひとりが持つ『三井ホームの家を建てる』ことへの責任感 と真摯な姿勢。現場で自分が実感していることを語る井之上の言葉は、静かにお客様の心へと届いていった。

「井之上さん、私の家をあなたにお願いしたい」

年の瀬も押し迫った12月。お客様から初めていただいたこの言葉に 、井之上の目からは思わず涙がこぼれ落ちた。初受注を上げたのは、現場で仕事を始めてから半年が過ぎようとしていた頃だった。

一緒につくり上げた建物だよ

年が明けて1月。特別養護老人ホームは無事完成した。竣工式を迎え、堂々とできあがった建物を目にして、感慨と同時に、「果たして自分はこの現場で何かの役に立てていたのだろうか?」という不安も感じたと井之上は言う。
「そんなことを考えていた時に、ある職人さんに『この建物はお前も一緒につくったんだぞ。良い現場だったな』と声をかけてもらったんです。ものすごく感動しました」

現場を離れ、営業の仕事一本に戻った後の井之上の活躍は、今も語り草になっている。あれほど初受注に苦しんだことが嘘のように、その後は順調に受注を重ね、3年目には年次別ランキングで全国3位を獲得した。現場で井之上をずっと見てきた平瀬は言う。
「私も気にかけていたので注目していましたが、営業成績はずっと右肩上がりの急カーブを描いています。顔を合わせる度に『現場での経験が活きています』と言ってくれるんですが、すべて井之上の努力の賜物です。あの時の現場経験が少しでも役に立ってくれているのであれば、本当にうれしいですね」

井之上は、自分のお客様の家の建築現場には必ず差し入れを持って顔を出している。そこにはすっかり馴染みになった職人さんがいることが多く、『井之上くんの現場なら精一杯がんばらなくちゃいかんな』と懐かしく声をかけられる。それが何より頼もしく、そして嬉しいと井之上は言う。

「鹿児島に生まれ育って27年です。ここが大好きで離れたくないんですよね。大好きな鹿児島に、自信を持って薦められる三井ホームの家を一軒でも多く建ててもらえるように仕事をする。それが営業の仕事の醍醐味です」と井之上は言う。 自分が家を建てる時には、平瀬の監督で、馴染みの職人さんを集めて建ててもらいたいとお願いしている井之上。
「もちろん。任せておけ」
平瀬は笑顔でそう応えると、井之上の肩をポンと叩いた。

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