

大胆な金融・経済政策を起点に企業の設備投資を拡大し、世界をリードするモノづくり大国として、持続的な成長軌道を描き続けていく――。日本の国家戦略の重点分野に位置づけられるモノづくり産業において、そのけん引役を担うのが人口約2,171万人、GDPは約9,710億ドル、韓国(世界第15位)に匹敵する経済規模を誇る関西エリアの製造業です。「最新・最先端のナレッジに触れてみたい」「イノベーションを、自らの手で起こしたい」。そんな志を持つ学生の皆さんに、「知っているようで、知らない」関西のモノづくりの強みと魅力をご紹介します。

空
路は関西国際空港、海路は国際コンテナ戦略港湾の阪神港。アジアと世界を結ぶ玄関口となる産業基盤のインフラが充実し、大学や研究機関も集積する関西エリアには、電気機器・一般機械(家電、原動機、建設用・農業用機械)・化学・鉄鋼・医薬品など、多様な分野で世界的なモノづくり企業が存在しています。
関西に本社を置く製造業の特徴は、加工組立型や生活関連型よりも、モノづくり大国・日本を支える重要な役割を果たす「基礎素材型」が多いことです。また、環境先進地域として「バッテリー」「スマートコミュニティ」など6分野が、関西イノベーション国際戦略総合特区に選定。環境・エネルギー分野の優れた技術・製品で、次世代へとつながる経済発展と環境保護に貢献しています。
近年は、アジアを中心とする成長市場の旺盛な需要をチャンスに変えようと、生産能力と競争力の向上に向け、海外拠点にも積極的な設備投資を進めています。一方、国内拠点では技術・商品開発のイノベーション力、多品種・小ロット・短納期を可能にする高い生産力を強みに新たな価値や高付加価値を創出し、海外拠点のマザー工場にもなっています。さらに、そうした持続的な成長ポテンシャルに注目した外資系企業の進出が相次ぐなど、関西のモノづくり力には世界から期待が集まっています。


ナンバーワンに、オンリーワン。世界に通用する固有技術を活かし、堅実な経営を続ける関西のモノづくり産業で今後、さらなる成長を見込まれるのが、環境・エネルギー関連の電池・部材・装置メーカーの開発・生産プラットフォームになるグリーン・イノベーション(GI)です。

GIの機械・電子系分野は大学との産学連携も活発で、全国シェアの60%超を占めるリチウムイオン電池や太陽電池モジュールなど、オンリーワン&トップシェア企業が集積。熾烈なグローバル競争にも、先進的な「夢の技術」に意欲的に挑戦して新製品の開発に注力し、大きな存在感を発揮しています。また、国内外の積極的な投資に伴う量産設備の新規立ち上げなど、設備設計や施工管理を主導する機電系技術者の活躍の場は増え続けています。
また、スマート社会やIoT時代の到来とともに、従来はないデータ利活用やAI(人工知能)による戦略的な情報テクノロジーの構築が、弛みないイノベーションと新たな価値創造を可能にしています。経営のトップマネジメントから生産現場まで、情報系技術者への期待は高まる一方ですし、その醍醐味は未来予測を現実に変えていくモノづくり産業ならではです。
さらに関西は、通信・動力・ナノテクを含めた最先端技術の集大成であるロボットテクノロジーの最先端エリアでもあります。次世代産業の研究開発と事業化が波及するモノづくりの裾野は幅広く、機電系と情報系、どちらの技術者もその活躍フィールドは無限の可能性を秘めています。

方から世界へ」をテーマにいま、日本の経済産業戦略は中小企業の経営力強化と活性化、地域未来投資に力を入れています。特に関西には元気な中小企業が多く、リーダーシップに優れた経営トップが陣頭指揮に立ち、得意分野を伸ばそうと自社独自の技術・製品の開発に力を入れています。
本気になれば中小企業でも、最先端の技術をいち早く導入できる時代です。また、意思決定が早く組織的にも小回りが利くため、革新的な技術・製品を生み出しやすいのも大きなメリットです。経営トップと互いに顔を突き合わせる近い距離感で、モノづくりの一翼を担っていく手応えと充実感を味わうこともできます。
そんな魅力もチャンスもある関西の製造業ですが、就職活動で大切なのは「自分が何を、どうしたいのか」です。まずは先入観を持たずに大企業から中堅・中小企業まで、数多くの出会いを心がけてみてください。聞いたことのない社名でも優良企業は多いですし、「こんなスゴイ企業があったのか」と驚くような、小さくてもキラリと光る企業を知る、思わぬ発見もあるはずです。
技術者としての学びを活かし、志を高く伸ばしていくために――。事業内容や企業風土、仕事環境など、あなたらしさを忘れないマッチングが、楽しみな未来を切り拓く第一歩へとつながっていくことでしょう。
