
“将来は、電気関係の仕事に就きたい”という思いを持ち入社。現在は大規模工場において、新設される設備や施設の電気工事の施工管理を任される大坊さん。大坊さんがこの職種を選んだ原点、それは工業高校時代の電気回路を製作する授業での体験にある。
「作ったのは、スイッチを入れると電気が灯るという単純な電気回路でした。でも、配線や回路をつなぎ合わせ、無事電気が通った時の感動は今も忘れられないんです」
入社後に配属されたのは、浄水場建設現場。何も分からない中、先輩社員の下で工事のイロハから徹底して指導を受け、経験を積み重ねていった。
「現場では、建築系電気工事とプラント系電気工事の両方を学ぶことができました。施工管理の仕事は、技術的なことだけでなく、お客様との交渉や現場の安全管理、スタッフのマネジメントなど、覚えることは多く大変でした」
1年後、浄水場の工事は完成。現場を後にする時、自分の手がけた施設が、これから何万、何十万という人々の生活に役立っていく。そんな思いが込み上げ、感慨深かったという。


2年目には、リサイクル工場の現場へ赴任。焼却設備や破砕設備など、一基が十数メートルを超える巨大設備の配線や敷地内事務所の照明施工に関わった。
施工管理の仕事では、監理者の知識・経験も大事だが、お客様の声はもちろん、現場の声をまとめるバランス感覚も重要だということを知ったのもこの時期。
「現場の職人さんとコミュニケーションを取り、色々なアイデアをもらって反映することで、お客様からの難しい要望をクリアできたことが多々ありました。現場の視点が大事だと気づけたことは貴重な経験ですね」
以降、現場の意見・知恵を吸収し、顧客への提案にも活かしていくのが基本スタンスとなった。
“この仕事の魅力は?”という問いに、
「一人ではなく、多くの人の力と知恵が合わさって、何もないところから形ができあがる。工事が終わり現場を引き上げる時、それを思い出します」と語ってくれた大坊さん。人と人との出会いが生み出すモノの大きさに、確かな手応えを感じているようだ。
―終わらない工事は、ない―。これは、困難な工事で行き詰まっている時、大坊さんの心に浮かぶ言葉だ。現在、配属されている大規模工場の現場は、生産ラインを止めずに工事をして欲しい、急遽仕様を変更して欲しい、というように一つひとつ避けがたい課題が多い。
「くじけそうになる時、妥協しそうになる時、『終わらない工事は、ない』という言葉を思い出しています。この言葉は、一緒に仕事をした大先輩に教えてもらったもの。一つずつ課題を乗り越えていくことの大切さを学びました。それと、納得したら技術者は終わり。常に上を目指すことの大切さ。技術の追求に終わりはないということも教わりましたね」
大坊さんが、仕事はもちろん、その中での人との出会いを通して得た成長は、実に大きく価値のあるものだということが、この言葉が物語っている。
