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卒業生インタビュー

「東日本を元気にしたい」という思いを胸に
鉄道会社の総合力を生かした地域活性化に挑む

今井 俊克 Imai Toshikatsu
東日本旅客鉄道株式会社
政治経済学部 2014年卒

キャリア観形成に資する情報の提供を目的としているものであり、
早稲田大学キャリアセンターが掲載企業への就職を推奨しているわけではありません。

「東日本を元気にしたい」という思いを胸に東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)に入社した今井俊克さん。現在はマーケティング本部に所属し、ホテル事業などを通して東日本の地域活性化に尽力しているそうです。はたして、今井さんはどのような思いとスタンスで地域活性化に取り組んでいるのでしょうか。これまでの歩みとあわせて伺いました。

Profile

2014年早稲田大学政治経済学部卒業。同年東日本旅客鉄道株式会社入社。研修を経て、同年10月から日本ホテル株式会社に出向。その後、盛岡駅(駅係員、サービスマネージャー)や盛岡支社事業課(駅や駅周辺のまちづくり、地域活性化イベント、商品開発などを担当)での勤務を経て、2020年より本社マーケティング本部に配属。現在はホテル事業全体の企画・立案・開発や地方における新規事業の開発などに注力している。

東日本大震災を機に「東日本」に注目
JR東日本の多彩な事業に興味を持つように

 私が就職先を考えるにあたって、大きな転機になったのは2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。私自身は千葉県出身なのですが、母親が東北地方(三陸沿岸)で生まれ育ったこともあり、そのときから漠然と「東北をはじめとした東日本を元気にする仕事がしたい」「困っている人たちの支えになれるような仕事がしたい」と考えるようになったのです。ちなみに、東日本大震災の被災地には発生から約1年後に足を運びましたが、そのときのショックはかなりのものでした。母が通っていたという小学校が津波で流されてしまっていたのを目の当たりにし、「東日本を元気にしたい」という思いをさらに強くしました。
 それからというもの、私は「東日本」や「インフラ」というキーワードで企業研究に励むようになったわけですが、JR東日本に注目するようになったのは企業説明会に参加したのがきっかけでした。JR東日本といえば鉄道事業というイメージが強かったのですが、それ以外にもホテル・観光、不動産、小売など幅広い事業を展開していること、そして新規事業へのチャレンジ精神が旺盛なことを知り、ますます関心を持つようになったのです。ちなみに、その頃のJR東日本は「地域再発見プロジェクト」と題して、一次・二次・三次産業を鉄道のネットワークを活用しながら掛け合わせる「六次産業化」などに取り組んでいました。こうした事業も東日本の活性化につながると直感し、面接時には「ぜひこのプロジェクトに参加したい」と伝えましたね。

ホテル事業で培った経営者視点を活用し
東日本のまちづくりやプロジェクトに奔走

 地域再発見プロジェクトを希望していた私でしたが、研修を経て配属されたのはホテル事業でした。グループ会社である日本ホテル(株)に3年間出向し、最初の1年半は接客などのフロント業務、そしてその後の1年半で首都圏のホテルの新規開発やリニューアルに取り組み、ホテルをリニューアルする際の事業計画書を作成したり、どのくらいで投資回収できるかといったシミュレーションをしたりしました。また、都内のホテルの事業企画に携わる機会もあり、年間の事業計画にもとづいて経営改善に取り組んだり、企画を練ったりするなかで、経営者視点を培うことができたように思います。
 出向が終わった後は鉄道事業に携わることになり、盛岡駅(岩手県盛岡市)に配属となりました。実際に駅係員として働くことで、あらためて自分が鉄道会社の社員だということ、そして鉄道が地方における重要なインフラであることを実感することができました。
 その後は盛岡支社事業課の配属となり、駅や駅周辺のまちづくり・くらしづくりに携わることに。行政や地域住民の皆さんとさまざまなコミュニケーションを取りながら、地域活性化の議論を重ねていくのはとても刺激的でしたね。また、岩手県遠野市の地域活性化事業を担当したときのことも印象に残っています。遠野の特産品であるホップ(ビールの主原料のひとつ)をフックに地域活性化に取り組むプロジェクトでは、地域の事業者の皆さんからたくさんのことを学ばせていただいたと同時に、ひとつひとつの取り組みを具体化していく作業はとても楽しく、達成感がありましたね。
 そのほか、JR東日本にはグループ内のネットワークとしてショッピングセンター「ルミネ」「アトレ」やコンビニエンスストアの「NewDays」、エキナカの「ecute」など多様な販路があるので、今後はこういった販路も活用しながら地域活性化に取り組んでいきたいと考えています。

コロナ禍のホテル事業の全体最適化をはかりながら
無人駅を活用した物流システムの立ち上げにも挑戦

 現在は本社のマーケティング本部で「くらしづくり」や「地方創生」に関する施策に携わっています。主な担当はホテル事業全体に関する戦略の企画・立案です。かつて日本ホテル(株)に出向していたときはホテル単体の事業計画や収益構造をチェックしていましたが、現在の業務は当時とは規模が大きく異なります。当社グループのホテル「JR東日本ホテルズ」は2022年8月1日時点で国内外に57軒あります。加えて、この2年はコロナ禍でホテル事業はかつてないほどの苦境に立たされています。私が出向していた頃はインバウンドの盛況もあって右肩上がりの成長を遂げていましたが、今は業界全体でこれまでの「ホテル」の在り方が見直される状況になりました。鉄道や観光との親和性も高いホテル事業のポテンシャルに期待しながら、一方ではデータにもとづいた客観的な分析を重視し、事業の全体最適をはかっていきたいと考えています。すべてのホテルの状況を把握し、適切な施策を講じていくのはかなりの難題ですが、これまでの経験を生かし、何とかやり遂げたいと思います。
 またホテル事業の一方で、地方創生に関する新規事業にも引きつづき取り組ませてもらっています。その一環として、現在は地方の無人駅を生産者の集荷場として活用し、鉄道輸送を含めた効率的な物流システムを構築する取り組みに関わっています。一部商品についてはローカル線や特急列車を活用して、首都圏にスピーディにお届けできる仕組みを目指しています。これが実現すれば、地方の無人駅を単なる「交通の拠点」から、生産者が集まる「くらしの拠点」へレベルアップし、生産者・消費者双方にとってメリットのある取り組みとできるはずです。はじめてのことばかりで戸惑うこともありますが、それ以上にゼロベースからビジネスモデルを立ち上げるのは実にやりがいがあるので、毎日、ワクワクしながら仕事に臨むことができています。

東日本の地方創生に貢献するために
地域特性を生かしたホテルを立ち上げたい

 仕事をする上で学生時代の勉強が何か具体的に役立ったということはないかもしれませんが、そのときに得た知識や教養、また学生時代の友人たちのユニークな考え方などは、何気ないコミュニケーションのなかで何度となく生かされましたね。とくに地方創生の現場では多様な方々とコミュニケーションを取る機会があるので、そういったある種の〝幅〟を持っていることが強みのひとつになったように思います。
 今後の目標としては、ひとりでも多くの人に東日本を好きになってもらうような取り組みを推進するとともに、関係人口の増加にも貢献したいと考えています。その点、ホテル事業は地方創生との親和性が高く、ビジネスとしてのポテンシャルも高い分野だと思うので、引きつづきホテル・観光のプロフェッショナルを目指すことを軸にしながら、新規事業などを通じて、東日本の活性化に努めたいと思います。
 なかでもいつか挑戦したいと思っているのがホテルの開発です。これまでリニューアルのシミュレーションや既存ホテルの運営には携わってきましたが、ゼロから企画を練り上げて建設・開発を行い、新規開業に臨んだことはないので、地域特性を最大限に生かしたホテルづくりにチャレンジしてみたいですね。

早稲田大学の好きなところは?

早稲田キャンパスの4号館前にあるベンチがお気に入りで、天気の良い日は友だちと弁当を食べたりしていました。そんな友だちをはじめ、とにかく「いろいろな人がいる」のが早稲田の魅力です。授業だけでなく、サークルや友だち、先輩・後輩との交流を通じて、考え方の〝引き出し〟を増やすことができたように思います。
大学だけでなく、塾講師のアルバイトに没頭したのも良い経験になりました。「算数」の先生としてかなり真剣に取り組んだこともあり、保護者面談や保護者会でのプレゼンなども任せていただき、社会人としてのコミュニケーションやビジネスの一端を学ぶことができました。学生時代の学びといえば、授業やサークル活動という人たちが大半かと思いますが、私は授業もほどほどでしたし、サークルにも入っていませんでした。しかし、この塾講師のアルバイトに夢中になることができたからこそ、多くの学びを得られたわけです。学生の皆さんのなかには授業にもサークル活動にも身が入らず、ちょっとしたコンプレックスを抱いている方がいるかもしれません。しかし、気にすることはありません。遊びでもアルバイトでもいいから、何かひとつでも夢中になれることがあれば、そこから多くの学びを得られるはずです。ぜひ〝今〟を全力で楽しんでください。

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