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卒業生インタビュー

「会計×IT」の〝ハイブリッド人材〟として
監査とブロックチェーンの未来を切り拓く

市川 義人 Ichikawa Yoshito
EY新日本有限責任監査法人
早稲田大学大学院会計研究科 2013年修了

キャリア観形成に資する情報の提供を目的としているものであり、
早稲田大学キャリアセンターが掲載企業への就職を推奨しているわけではありません。

EY新日本有限責任監査法人(以下、EY新日本)のアシュアランスイノベーション本部・金融事業部に所属する市川義人さんは、2018年に入社して以来、大学院時代に学んだ会計の知識とIT系のコンサルティングファームで培ってきた知見を生かし、ブロックチェーン関連の監査ツールの開発や暗号資産交換業者の監査などに従事しています。こうした先進的な事業に取り組む市川さんは、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。現在のお仕事ぶりとあわせて聞いてみました。

Profile

2011年早稲田大学スポーツ科学部医科学科卒業。2013年早稲田大学大学院会計研究科を修了し、IT系のコンサルティングファームに入社。2018年にEY新日本に入社し、金融事業部とDigitalAudit推進部(現・アシュアランスイノベーション本部)に配属。以来、ブロックチェーン関連の監査ツールの開発や暗号資産交換業者の監査などに従事している。

「会計×IT」を強みとして
監査法人の先進領域にチャレンジ

 中高生の頃は本気で野球に取り組んでいたのですが、ケガで断念することになってしまい、大学ではなぜケガをしてしまったのかを知るためにスポーツ科学部に進学しました。ところが、在学中に会計実務論という授業を受けたのを機に会計に興味を持つようになり、早稲田大学大学院会計研究科に進学。修士課程を修了してからはその知識を生かしつつ、会計以外の知見も身につけたいと考え、IT系のコンサルティングファームに入社。最初の数年はがむしゃらに働きました。
 システム開発における上流から下流、アプリ・インフラと一通り経験した後に、公認会計士試験に関する勉強も再開、2017年に合格することができました。その後、私はIT系のコンサルティングファームで一定の経験を積み、ある日、監査法人で働いている会計大学院時代の友人から「監査の世界はまだまだIT化が進んでいない」という話を耳にし、自身のあらたな可能性に目を向けるようになりました。
 大学院で会計の基礎を学び、IT業界で研鑽を積んできた自分であれば、監査業務の高度化・効率化に貢献できるかもしれないと思い立ち、2018年にEY新日本に転職しました。
 数ある監査法人のなかからEY新日本を選んだ背景には、会計士の方が監査業務に関する監査ツールの開発に注力していたことがあります。なお、その先陣を切っている会計士は私が所属している部門のリーダーであり、これまでに開発してきたツールで特許も取得しています。私は会計士であってもITに関する知見は深めていく必要があると考えており、会計士もシステム開発に積極的に関与する姿勢に大いに惹かれました。

ブロックチェーンの仕組みを学びながら
海外スタッフとツール開発に全力投球

 入社後は金融事業部とDigitalAudit推進部(現・アシュアランスイノベーション本部)の配属となり、ブロックチェーン関連の案件に関与することになりました。その業務内容は「EY Blockchain Analyzer」という当社のオリジナルツールの開発で、暗号資産交換業者等がブロックチェーン上で所有する暗号資産の残高やブロックチェーン上の取引内容・履歴を検証するというものです。
 ブロックチェーンは未知の領域でしたが、今後欠かせない技術になると感じ、また非常に興味のある分野であったため、みずから手を挙げて参画することになりました。
 実際に業務を推進していくにあたっては、まず自分自身がブロックチェーンの仕組みを把握する必要があったので、ビットコインの原論文を読むなど、インターネットや書籍で基本的な技術を学びながら、
 実際にブロックチェーン上のデータを取得してみるなどして、知見を深めていきました。EY新日本としてもブロックチェーンに関する監査ツールの開発は初めての取り組みでしたし、海外のEYのメンバーとも協力しながらの作業だったので非常にやりがいもありました。開発部隊の方々がスペインから来日し、約2カ月一緒にプログラミングなど開発に携わりましたが、とても刺激的な日々でした。

監査業界のDXとともに広がる
〝ハイブリッド人材〟の必要性

 その一方で公認会計士として監査業務にも携わり、1年目は暗号資産交換業者の他にもファンド、一般事業会社の監査にも従事しました。そして、2年目以降は徐々にブロックチェーン関連企業の比重が高くなり、今は主に暗号資産交換業者を担当しています。日本での暗号資産交換業者の数はすでに30社を超えており、金融庁の登録が必要なことに加え、財務諸表監査も必須となっているのでプロフェッショナルとしてしっかりと向き合っていきたいと思います。
 今後、ITと会計など、複数の領域の知見を保有する❝ハイブリッド人材❞は、当社にとっても業界にとってもますます必要になってくることが予想されます。
 グローバルな活躍が期待される領域でもあるので、会計だけでなく、IT・グローバルといったところに興味がある方にはぜひとも参画していただきたいと思います。

幅広い業界に貢献するために
ブロックチェーンの可能性を模索する

 ブロックチェーンにはまだまだ多くの可能性があるので、今後もさらに深掘りしていくことで、監査業務の高度化・効率化に貢献していきたいと考えています。今は暗号資産の監査が中心ですが、過去の取引履歴などを正確に示すことができるブロックチェーンは監査業務との親和性が高く、いずれブロックチェーンと監査は切り離せないものになるかもしれません。また、その活用には幅広い業界が期待を寄せており、実際、クライアントの一部でははやくも業務のなかにブロックチェーンを取り入れようとしているなどの動きが出はじめています。そういったITや監査のトレンドを逐次キャッチアップしながら、新たな技術開発にしっかりと落とし込んでいきたいと思っています。
 入社して改めて気づいたのですが、EY新日本には大学院時代の仲間はもちろん、中高時代や大学時代の同期もいたりと、私にとって気軽にさまざまな情報交換ができる環境があります。
 こうした利点を生かし、自分が知らない業界の特性や課題を把握していくことで、EY新日本におけるIT活用の可能性をさらに拡大していきたいです。

早稲田大学の好きなところは?

スポーツ科学部のキャンパスは埼玉県所沢市にあるのですが、早稲田キャンパスと比べて周辺に飲食店などがあまりなく、キャンパス内ですごしていた印象のほうが圧倒的に強く残っています。とくに学生食堂は広くて使い勝手が良く、学科の同期などと一緒に楽しい時間を過ごすことができました。
一方でキャンパスを問わず、情熱的な学生が多いのが早稲田大学の特徴であり、好きなところです。
とくに所沢キャンパスにはスポーツ推薦で入学している友人や知人がたくさんいたので、彼らの活躍ぶりにはいつも感心させられていました。また、学部時代に友だちと早稲田祭に出かけたことがあるのですが、ダンスチアをはじめ、多くの学生が真剣にさまざまなパフォーマンスに取り組んでいる姿にも感銘を受けました。
何かに本気になって打ち込めるのは素晴らしいことですし、そのときに得られる友情や感性は何ものにも代えがたい財産になるはずです。学生の皆さんには何でもいいので、自分が本気になれるものを見つけていただきたいですね。