最終更新日:2025/3/31

公益社団法人国民健康保険中央会

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • 公益・特殊・独立行政法人
  • 情報処理

基本情報

本社
東京都

取材情報

事業について伝えたい

国民健康保険制度の運営支援を通し、日本が世界に誇る「国民皆保険制度」を支える

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全国47都道府県にある国民健康保険団体連合会の中央団体

いつでもどこでも誰でもが等しく医療機関などを受診できる日本の「国民皆保険制度」。会社員以外の人が加入する「国民健康保険」はその最後の砦といわれている。この制度を支えているのが国民健康保険中央会だ。

国民健康保険、後期高齢者医療、介護保険、障害者総合支援といった多くの社会保障制度を支えている国民健康保険中央会。その仕事のキーマンとなる3人に、同会が担う役割や、仕事のやりがいなどについて聞いた。

■S理事 システム担当 2016年就任(写真中央)
■K課長 医療保険部共同処理業務課 2012年入社(写真右)
■K係長 保健福祉部保健事業課 2007年入社(写真左)

私のプロフィール

金融機関のシステム開発経験を活かし、転職したというS理事。「パソコンの前に座っていることが多いので、休日はアウトドアで気分転換しています」
国保連合会から国保中央会に移り、厚生労働省への出向経験もあるK課長は一貫してシステム関係の仕事に携わってきた。「趣味はクロスバイクでひたすら走ること」
ジョブローテーションでさまざまな部署を経験し、現部署は2年目のK係長。「ここ5年ほどは週末ランニングをして汗をかいてからビールを飲むことが楽しみです」

国民健康保険を中心に、日本の社会保障制度を下支えするシステムを構築する【S理事】

日本には会社にお勤めの方が加入する「健康保険」と、自営業の方などが加入する「国民健康保険」があります。後者の「国民健康保険」は保険者(市区町村と国保組合)によって運営されていますが、そこから委託された業務を行うのが「国民健康保険団体連合会」(国保連合会)です。国保連合会は47都道府県に1団体ずつ設置されています。この国保連合会が会員となっている中央団体が私たち「国民健康保険中央会」(国保中央会)です。

皆さんが医療機関を受診した際、窓口で支払うのは(原則)3割ですが、残りの7割は、国保連合会が医療費の明細書(「診療報酬明細書」(レセプト))を確認したうえで保険者に請求し、医療機関などへ支払います。つまり、国民健康保険の仕組みにおいて、重要な役割を担っているのが各都道府県にある国保連合会です。しかし、医療制度は複雑で、制度が変更されたり、2年に1度、診療報酬の改定が行われるなど、膨大な作業を支えるシステムは常に改修が必要になります。これを47都道府県が別々に行っていたのでは費用面はもちろん、効率も悪い。そこで、国保中央会が一括してシステムを構築し、国保連合会に提供しています。これによって費用の負担軽減やシステムの標準化が可能になります。また、皆さんが全国どこの都道府県で受診しても、面倒な手続きを行うことなく窓口負担だけで済むのは、国保中央会が全国決済の仕組みをつくっているからです。

国保中央会では国民健康保険だけではなく、後期高齢者医療、介護保険、障害者総合支援も行っており、日本の社会保障制度を支えています。現在は国からの要請もあり、予防接種の仕組みや介護情報の基盤づくりにも着手。国が進める「医療DX」を支援し、医療、健康、介護、福祉と総合的な役割を担う機関として期待されています。知名度は高くありませんが、担っている役割はとても重要で幅広く、また、社会貢献度も高いやりがいのある仕事です。国保中央会の業務内容を調べていただき、関心を持ってくださったら、ぜひトライしていただきたいですね。

医療制度の変更を理解し、どのようにシステムを改修するか。創造力が求められる【K課長】

私が所属している医療保険部共同処理業務課は、「国保総合システム」をつくっている部署です。このシステムには2つの重要な機能があります。1つは医療機関から請求されるレセプトに過剰請求がなく、適性であるかどうかを審査し、保険者に請求し、医療機関に支払いをすること。2つ目は、被保険者の資格情報を管理し、請求されたレセプトに対して資格の確認、高額療育費の計算処理など、保険者事務をすることです。これらの作業を円滑に進めるための基幹システムをつくり、全国47国保連合会に提供しています。

「システムをつくる」といってもシステムの構築(開発)は専門のIT会社に依頼しているので、実際にコーディングをするようなことはありません。私達、国保中央会職員は厚生労働省など関係機関の方と話をして、医療制度の変更や2年に1度の診療報酬の改定を正しく理解し、それを既存のシステムにどう反映していくか。そのための要件整理が大きな役割になります。関係省庁や関係部署、システムの改修を担当する外部の会社というような、関係機関との調整能力とコミュニケーション能力が最も重要になります。

最初から社会保険制度に精通している学生さんは少ないと思いますが、関係機関とのやりとりの中で知識を蓄え「どういった改修をすれば、使いやすいシステムになるのか」というクリエイティブな気持ちがあれば、とてもおもしろい仕事だと思います。また、実際に使用するユーザーの声を聞く機会もあり、自分が思い描いたシステムがどう受け止められているか、どういったサービスを提供すればより効率的に使用してもらえるか。それらを実現する楽しさもありますね。

とはいえ、国保連合会が保険者から徴収し、医療機関に支払う医療費は年間約29兆円にものぼります。国保中央会の私たちが提供しているシステムがうまく稼動しないと、この支払いが滞ってしまい、社会的な問題になります。日本の国民皆保険制度の一翼を担い、支える公益社団法人として、スケールとやりがいのある大きな仕事だと思います。

自分と家族の幸せにつながる保健事業を支援する【K係長】

保健福祉部保健事業課では、地域の住民が健やかに暮らせるように保険者の取り組みを国保連合会とともに支援します。その1つとして国保データベースシステム(KDBシステム)があります。このKDBシステムは健康診査、医療、介護の情報を結びつけていて、地域ごとの特徴や個人の状況を可視化することにより、効果的な健康づくりを支援します。

実際に保険者の健康づくりを支援するのは47都道府県の国保連合会ですが、その国保連合会を支援するのが国保中央会です。KDBシステムに蓄積されたデータを活用すれば、地域の健康状況を把握したり、重点課題がより明確になります。その課題に向けて事業計画を策定し、効果的かつ効率的な保健事業を実施することができます。たとえば、糖尿病予備軍の住民が多いということがデータ上から把握できれば、砂糖の消費量が多い、といった地域特性を踏まえて、糖尿病に重点を置いたアプローチの仕方が考えられます。

私たちは、国の最新の動向を国保連合会に伝えたり、研究者の先生方の講演会を企画したり、全国の保健事業の成功例を広めるための会議や研修を企画・実施するといった活動を行っています。一般の方には見えにくい仕事ではありますが、私たちの仕事は日本の地域住民のための仕事であり、それは自分や自分の家族の健康のための活動でもあります。その地域で健康で長生きできることは、誰もが願うことです。つまり自分たちの幸せにつながっている活動であるということが、やりがいの1つです。生活習慣病の発症や重症化を防ぎ、特定健診・保健指導を効果的に実施する保険者の取り組みを支援し、保健事業の全国的なレベルアップを図っていくこと。それが医療費の適正化にもつながり、日本の保険制度の維持にも貢献します。部署や役割は違っても、人々の健康につながる仕事に関心があれば、国保中央会には必ず自分を活かせる場所があると思います。

学生の方へメッセージ

私たち国保中央会は、ダムを造ったり、橋を架けるような目に見える社会インフラの仕事ではありません。しかし、医療保険制度を支える事業支援や、より効率的に業務を行うシステム開発などを担い、国民健康保険制度を下支えし、それが日本の国民皆保険制度にもつながっています。そういう意味で、非常に公共性が高く、スケールの大きな仕事です。

とはいえ、社会インフラの一部で、縁の下の力持ち的存在で、できて当たり前の仕事でもあります。それでも社会に貢献したいという熱い想いを持った方に来ていただきたいですね。

S理事やK課長のようなシステム開発部門の仕事もありますので、理系が有利であるように思われるかもしれませんが、本当に必要なのは新しい制度や法律を理解し、それをベンダーさんなどにわかりやすく伝えられる力ですから、文系の方も歓迎します。また、人と関わることが多いので、受け身にならず、自分から積極的に動ける人が活躍できると思います。

「こうしたら世の中がもっと良くなる」「こうしたら皆が喜んでくれる」という自由度はあります。自分で制度をつくってみたいとか、制度にもっと深く関与してみたいという人、より良い社会を築きたいという想いのある人をお待ちしております。(採用担当者一同)

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国保中央会の魅力を語ってくれた採用担当者の皆さん。実際に海外で医療機関を受診することになり、日本の国民皆保険制度の素晴らしさを改めて認識したという人も。

マイナビ編集部から

海外取材に出かける際、必ず保険に入ってから飛行機に乗るようにしている。理由は万が一、滞在先でケガをしたり病気になったとき、日本のようにわずかな自己負担で受診できる国とは限らないからだ。いつでもどこでも誰でもが、少額の窓口負担で受診できる「国民皆保険制度」は、日本が世界に誇れる制度である。これを支えているのが国民健康保険中央会である。会社や団体勤務の人をのぞき、自営業などの人が加入する国民健康保険。その実務を支えているのが国保連合会で、その中央団体が国保中央会である。K課長の話にあったように、国保中央会が提供するシステムが万が一稼働しなければ、年間29兆円(医療費の6割)もの医療機関への支払いが滞る。それでは医療機関が立ち行かなくなる。一般には知られていないが、国保中央会はそれほど重要な役割を果たしているのだ。加えて国保中央会は後期高齢者医療、介護保険、障害者総合支援と、関わる領域も広がっている。

筆者は「お堅い」というイメージを持って取材にのぞんだが、取材に応じてくれた皆さんは明るくフランクな印象で、キャリアもさまざまであることがわかった。社会保障は最も重要なインフラの1つである。これほど大切な仕事を担う同社の存在は、もっと広く知られていいと思う。同時に、公共性の高い仕事という意味で、仕事で利益を追求するのではなく、社会に貢献したいという人には見逃せない法人である。

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保険と関わりの深い厚生労働省をはじめ、システム構築のためのベンダーなど、社内外を問わず関わる人が多いので、自然にコミュニケーション能力も磨かれることが多い。
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