最終更新日:2025/5/7

(株)服部建築事務所

  • 正社員

業種

  • 建築設計
  • 空間デザイン・ディスプレイ

基本情報

本社
大阪府

取材情報

事業について伝えたい

創立50余年の総合建築事務所。少数精鋭のメンバーで大規模プロジェクトに挑む。

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半世紀の歴史をつむいできた服部建築事務所の強み

服部建築事務所は、創立から半世紀を超える総合建築事務所だ。数多くの設計事務所が存在する中で、どうして同社が生き残り成長を遂げることができたのか。経営層に話を聞くと、その答えが明確に見えてきた。

白野孝明 代表取締役(写真中)
山口晃弘 取締役設計部長(写真左)
南博之 常務取締役(写真右)

経営層からのメッセージ

「建物は人が使う器ですから、時代が変わっても不要になることはありません。それゆえ社会には必ず設計の仕事を担う技術者が求められるのです」(白野代表取締役)
「これからは人にしかできない仕事がますます重要になります。お客様の細かいニュアンスを読み取るなど、人だからできることはたくさんあります」(山口取締役設計部長)
「自分が本当にやりたいことがあるなら簡単に妥協せずに追い求めてください。好きな仕事に思いきり打ち込める人生はきっと幸せです」(南常務取締役)

コンパクトな組織ならではの強みを生かして成長。

当社は、1972年に社員数わずか3名で出発しました。建築業界には大小さまざまな企業が存在して淘汰が激しい中、当社は50年以上にわたり成長を続け、今日までに1000件を超えるプロジェクトに関わってきました。今も社員25名ほどと小規模な企業ですが、そのコンパクトな組織ならではの強みを生かすことで、工場や学校を中心として福祉施設や集合住宅、ホテルといった大型の建築物を多く手がけています。

当社の事業の特長として、プロジェクトのほとんどがクライアントとの直接契約であることがあげられます。一部の工程を請け負うケースとは異なり、企画やマーケティングといった上流工程から携われるため、クライアントの意向を深くとらえることが可能です。その利点を最大限に生かすためにも、プロジェクトの初期から竣工まで1人の担当者が責任を持ってクライアントに対応する体制を整えています。そして、プロジェクトの各工程では、意匠設計や構造設計、設備設計といった担当者がチームを構成してフラットな関係で意見を交わし合いながら業務を進めていきます。技術者にとっては、ごく一部の切り離されたタスクをこなすのではなく、常にプロジェクト全体の流れを意識しながら自分の担当業務に取り組むことができるため、技術が身に付くだけでなく問題解決力などが高まって成長しやすく、また仕事のやりがいを感じやすい環境といえるでしょう。

近い将来、AI技術の進化などによる社会変化にどう対応していくかは、建築業界全体に突き付けられたテーマです。しかし設計とは、人と人が深く関わって作り上げていく仕事であることは、この先も変わりません。AIをはじめとしたテクノロジーを上手に活用しつつ、【クリエイティビティ(創造性)】【ホスピタリティ(気遣い)】【マネジメント・アビリティ(管理能力)】など、機械よりも人間が優位な能力を大切にして、人の思いを丁寧にカタチにする企業であり続けたいと考えています。そのためにも、こうした資質・能力を備える一流の技術者を育てることを大切にしていきます。
《白野孝明 代表取締役》

一流の設計者が育つ環境が整っている。

当社では幅広い建築物を手がけていますが、特に最先端の工場の設計に強みを持っています。工場の設計においては、「人や設備はどこに配置されるのか」「材料はどのようなプロセスで加工されて組み立てられるのか」など、生産工程に対する様々な理解が欠かせません。そこに、当社が長年にわたり培ってきたノウハウが生かされます。一方で、当社には集合住宅やホテルなどの設計に携わってきた実績があります。そのノウハウを工場設計に生かすことで、工場としての機能性や安全性のみならず、デザイン性や居住性などを兼ね備えた空間をプロデュースできることも高い評価につながっています。設計には多くの分野がありますが、こうした工場設計は非常に奥が深く、設計者として面白さの尽きない仕事だと感じますね。

設計の仕事に求められるのは、決められた通りに図面を描く能力だけではありません。プロジェクトごとに様々な課題があり、それらを設計のスキルを使ってどのように解決していくかを思考する力が何より大切です。また、いつでもスムーズに業務が進むとはかぎらず、どれだけ素晴らしい提案ができたと感じても、クライアントに納得していただけないと先には進めません。その意味では忍耐強く物事に取り組む力も不可欠でしょう。生みの苦しみの大きい仕事ですが、その分だけ、実際にカタチになってクライアントに喜ばれた時のうれしさは格別です。最初は設計の一部しか担当できなかったのに、しだいに大きな仕事を任されるようになる過程で、設計者としての自身の成長を実感できることも大きな喜びとなります。

当社では開設以来、一流の設計者を育てることを何より大切にして個の力を高めてきました。個人差はありますが、5~10年くらいで一通りの仕事を身に付けられる環境を整えています。ただし、どれだけ成長できたと思っても学ぶべきことは尽きないのがこの仕事です。私自身を含めて全ての社員が学び合いながら、より高みをめざしています。
《山口晃弘 取締役設計部長》

一級建築士などの資格取得も全力でバックアップ。

設計は、ゴールのない仕事です。そこに仕事の面白さがある半面、より良いものを作ろうとすると、どこまでも追求できてしまうのです。当社ではそうした働き方を大きく見直して、残業時間を管理するなど働きやすい環境づくりに取り組んできました。仕事時間が減少したからといって、アウトプットの妥協をするわけではありません。近年、AIをはじめとしたツールの進化はめざましく、業務に上手く取り入れることで大幅な効率化や省力化が望めます。当社ではこうしたテクノロジーを積極的に活用して、これまでと同じか、それ以上のレベルのものを提供することをめざしています。以前と働き方は変わっても、クライアントの思いを実現するパートナーとして、お客様の期待以上のものを提案してカタチにしていく姿勢は変わらないのです。

こうした設計の仕事には、この上ない喜びがともないます。私が若い頃、学校の設計を担当して竣工後、地図が書き換った時の感動を今も忘れません。学校ですから長く地域に存在し続け、ここで子どもたちが学び育つのだと未来に思いを馳せて、ゼロからものを作り出すこの仕事の意義をあらためて実感することができました。

当社に入社する社員のほとんどは一級建築士をめざしており、20代での合格が1つの目安となっています。会社としても資格取得に向けた支援は惜しみません。一級建築士は国家試験の中でも指折りの難しさといわれ、近年はスクールに通って受験するケースが一般的です。スクールにかかる費用は無期限・無利子で貸与するほか、合格時の臨時ボーナスや資格手当の支給、昇進などによって社員の頑張りに報いています。当社はもともと数名の社員でスタートした企業であり、今もベースには社員が支え合う温かく家庭的な雰囲気があります。若い社員にとっては、知識や経験が豊富な先輩社員からのアドバイスも、スキルアップや資格取得に向けた大きな支えとなるでしょう。
《南博之 常務取締役》

学生の方へメッセージ

社会に出てから1~2年間は何でも吸収できる大切な時期です。この期間に有意義な経験を積めないとしたら、成長の機会をみすみす逃すことになりかねません。昔と違って今は転職をしやすい社会環境が整いつつありますが、だからといって「自分に合わなければ、すぐにやめればいいや」などと安易に考えず、企業研究は多角的な視点を持って真剣に取り組んでいただきたいと思います。

建築業界の企業研究では、まずその会社がどのような建築物をプロデュースしているかが気になるでしょう。それも大切な情報ですが、一見、同じような建築物を作っていても、企業としての価値観や仕事の進め方、働く環境などは大きく異なるものです。そのため、もう少し深い視点をもち、「どのようなプロセスで仕事を進めているか」「どういった雰囲気や人間関係の中で働くことになるか」などを調べてみましょう。実際に企業を訪れて仕事を体験できる機会があれば、より良い判断材料が得られるはずです。

また当社にも言えますが、建築業界には小規模な組織にもかかわらず大規模な案件を手がける企業がたくさんあります。そうした企業は大手に比べると、大々的に情報を発信していない場合もあります。つねにアンテナを高く張るように心がけると、目立たないけど良い仕事をしている企業に巡り合いやすくなるはずです。
(南博之 常務取締役)

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チームの中で各担当者が意見を交わし合ってアウトプットの質を高めていく。気心の知れたメンバーでチームを構成するからこそ議論は深まりやすい。

マイナビ編集部から

マンションの一室に数名の社員でスタートした建築事務所は、なぜ競争の激しい業界を生き残れたのか。そんなテーマで経営層にお話を聞くうちに、同社の根本にあると強く感じたのがクライアント第一主義の企業姿勢だ。「常にお客様の視点で」をモットーに掲げ、1人の担当者がプロジェクトを通して担当する体制により、クライアントの意向を正確に把握してきめ細やかな対応を心がける。その過程では、コンパクトな組織の強みを生かして担当者間で情報共有やコミュニケーションを密に行い、デザイン性だけでなく、快適性や安全性、コスト面などを考慮した最適な提案を行う。こうした対応がクライアントとの信頼を育て、受注のリピート率が高いことが安定的な成長をもたらしてきた。

さらに、社員一人ひとりを一流の技術者に育て少数精鋭の組織を作り上げることも重視する方針だ。若い技術者はチーム内でベテラン設計者によるフォローのもと、チャレンジの機会を多く与えられ、大小の成功体験を積み重ねて成長を遂げていく。こうして個の力が高まると、その集合体であるチームの力はさらに向上する。このような技術継承を繰り返すことで、小規模だが強い組織を作り上げてきた。

服部建築事務所は2021年に創立50周年を迎え、次の50年に向かって走り出している。長年にわたり培った確かな技術力と豊富な実績に基づく信頼はさらなる成長への大きな支えとなると取材を通して感じた。

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設計の仕事は奥が深く、どこまでも学び続ける姿勢が大切になる。コンパクトな組織ゆえに社員の仲間意識が強く、ともに学び合える関係があることが成長の支えになる。

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