最終更新日:2025/4/23

(株)宮城県食肉流通公社

  • 正社員
  • 既卒可

業種

  • 食品
  • 農林・水産

基本情報

本社
宮城県

取材情報

仕事・キャリアパスについて伝えたい

経験ゼロからのチャレンジ。若手社員の成長の軌跡

PHOTO

職人技というべき「と畜」技術を身につけるために

■高橋 美奈さん
原料部 原料一課
芸術学部美術科日本画コース卒
2022年入社

と畜や食肉加工に取り組んでいる宮城県食肉流通公社では、学部学科不問で人材を登用した上で、技術の習得を全面的にサポートしている。大学では美術を学んできたという高橋さんに、この業界をめざしたきっかけ、実際に業務に取り組んで感じるやりがいなどについてうかがった。

高橋さんの横顔

プライベートでは狩猟免許も取得。命に向き合う仕事を通して、高橋さんは視野を大きく広げることができたと振り返る。
枝肉を加工する工程は職人技が求められるが、高橋さんは先輩たちから教えを受けながら一歩ずつ成長を遂げている。
仕事道具であるナイフは、やすりをかけながら使い続けていくことになる。上手に使いこなすまでは10年の歳月がかかるという。

と畜への小さな興味がきっかけとなり、思い切って飛び込んでみた

高校時代から美術科で学んできた私は、大学では日本画を専攻して創作活動に取り組んでいました。同級生はデザイン会社やゲーム会社志望の人が多く、私も最初は例に漏れず、ゲームやアニメーション制作会社で絵を描く仕事を想定していました。しかし、業界研究がてらに就職情報サイトで仕事内容を調べていくと、ゲームやアニメに対する自分の熱量がそこまで大きくないことに気づき、ならば全く違った道を探った方がいいのではないかと考えるようになりました。

そんな中で思いついたのが“と畜”の世界。実は学生時代、動物を題材に日本画を描いており、モチーフの一つとしてと畜された動物を採用したいと、別の食肉卸市場を見学したことがあったんです。その際、「と畜の仕事には興味がないの?」と声をかけていただき、改めて仕事としてイメージしてみると、技術が身に付く面白そうな世界だと感じるようになりました。そこで正社員を募集中の会社を探していたところ、出会ったのが宮城県食肉流通公社でした。

面接では常務と話をしたのですが、社風の温かさが伝わってきて、自然と心魅かれる自分がいました。ただ、ネックになったのは登米市という立地でした。地元は仙台なのですが、実家から通勤するとなると1時間半~2時間かかるため現実的ではないと感じ、どうしようか迷っていたんです。そんな不安を正直に話したところ、常務がスピーディに対応してくれて、新たに家賃手当を拡充する制度を新設してくださいました。現在は合計3万円の家賃補助が支給されており、家賃面で不安を感じることはありません。働く人間のことを本気で考えてくれる社風にも心動かされるものがありましたね。

以来、一貫してと畜の実務に携わっています。ナイフを持ってラインに入り、豚の生体から皮や頭、足などを取り除き、「枝肉」という加工する前の原型にまでもっていくのが役割。ちなみに枝肉にしてからは一度冷蔵保存した後、次の工程の部署が骨を抜き、お肉屋さんで取り扱っているようなブロック肉、あるいはスーパーで売られているようなパック肉の形に仕上げていくことになります。

命に向き合う重要な仕事だからこそ、真摯な姿勢を忘れない

新人時代、最初に担当したのは豚のお尻の皮を剥く工程でした。機械では対応できない作業でもあるので、いずれの作業も手作業で進めていくのですが、思ったようにナイフを扱えないのが最初の大きな壁となりました。逐一、ナイフにやすりをかけているものの、研ぎ方がなっていないとすぐに切れなくなり、作業が滞ってしまっています。一人で悩んでいても仕方ないので、どうすれば長持ちする研ぎ方になるのか、先輩に逐一、アドバイスを受けるのを心がけてきました。周囲のみなさんが何でも話を聞いてくれて、細かくサポートしてくれるのが非常にありがたかったですね。

ようやく形になり始めたのは、入社後3か月から半年くらいのこと。まだまだ課題があったとはいえ、作業自体は様になってきたので、段階的におなかの皮をむいたり、足や首を落としたりといった工程を担当するようになりました。足を切り落とす工程では、関節にナイフを入れる技術が必要で、作業の難易度は格段に上がりました。先輩を見ていると、力業だと思っていた作業もちょっとしたテクニックを駆使して力を入れずに作業していることに気づきました。私はパワーがあまりなかったので、先輩に技術を習いながら新しい部位に対応していきました。

実は前処理工程に女性社員が入るのは社内でも初めてのことでした。と畜について学んだとき、前処理に興味を持ったので思い切って手を挙げてみたのですが、希望通りに作業させてもらえているのは光栄なことだと思っています。前処理工程に送られてくるのは、血を抜かれた豚です。ほんの1分前までは生きていた豚が、食べ物に変わっていくその瞬間に携わっているからこそ、命に対して真摯に向き合う姿勢を貫いているつもりです。仮に私がミスをしてしまえば、豚の命を取りこぼすことになるだけに、技術はとことん磨いてきたつもりですし、美しく形を整えて次の工程に送ることができたときの達成感は非常に大きいと感じています。

狩猟免許も取得。と畜にとことん向き合い続けたい

プライベートでは先日、狩猟免許を取得しました。大学時代、絵を描く一環で、山に入って動物の足跡や痕跡を追いかけるために一度狩猟免許を取っていたのですが、使う余裕がなくて失効していました。就職してから自分でクルマを持つようになり、行動範囲が大きく広がったので、もう一度取得してみた次第です。仕事で学んだと畜の技術は、仕留めた動物の解体で生かすことができますから、シーズンがやってきたら近くの山に入ってみたいと思っています。

振り返ると、大学で学んできた「絵画」、これから新たに挑戦する「狩猟」、そして仕事で身につけた「と畜」技術は、まったく関係ないように思える人もいるかもしれませんが、私の中では人生を設計するためにすべてが繋がっているという感覚を覚えています。どれか一つに依存するのではなく、これらのすべてに目を向けながら、今後の人生を面白くしていきたいです。

仕事の目標としては、より多くの技術を身につけることで、当社の業務に還元していくつもりです。今は前工程のラインに入っていますが、新たな挑戦として仕上げにも携わっていこうとしており、ちょうど基礎的な学びを開始したところです。ゆくゆくは全工程で知らないところがない状態となり、ラインを広く見通して行動できるようになりたいですね。

将来的には総務などの事務方というキャリアも考えられますが、常務には「現場にいたいです!」と主張しています。やってみたいこと、挑戦したいことを言いやすい風通しのいい環境ですので、働き心地という意味でも満足しています。現場の仕事は作業量も多いだけに大変な日もありますが、残業は必要最低限ですし、有給休暇も取りやすいですからメリハリをつけて働くことができています。福利厚生面が整っているのも当社の自慢です。

学生の方へメッセージ

企業のことを知るためには、ネットの情報だけでは見えてこない部分も多いもの。インターンシップなどのチャンスを利用して直接訪問してみたり、オンライン会議や電話でもいいので、生の声を聞くことをおすすめします。特に当社のような食肉流通公社などは学生の皆さんにとっては全く想像ができない業態だと思います。社員や人事担当者の声を聞いて、イメージを膨らませてほしいですね。

私の場合は、美術専攻ながら異分野に挑戦したので、軸がぶれているように見えるかもしれません。しかし、私の中では美術もと畜もしっかりと繋がっていたので、その部分を人に説明できるだけの言葉をまとめておくようにしていました。伝えるべきものを伝えるために、今のうちから思いを言葉にする準備をしておきましょう。

専攻外の分野に視野を広げるのもおすすめです。私自身、と畜業界の施設見学を通して見聞を広めたおかげで、今この場で働くことができています。ぜひ自分の可能性を限定せず、広い視野を持っていただけたらうれしいですね。

PHOTO
技術や知識に関しては先輩が丁寧に教えてくれる。真摯に学んでいく姿勢を貫けば、未経験者も大きく成長を遂げられるはずだ。

マイナビ編集部から

1979年の創業以来、豚を中心とする家畜のと畜解体、内臓処理、部分肉加工などを手掛けてきた宮城県食肉流通公社は、食肉の安全と安心を担うべく、品質の高い生産体制の構築に力を尽くしている。現在は年間24万頭を扱っており、取引先には全国規模の大手メーカーも含まれているというから、その影響力の大きさがうかがえる。

今回取材した高橋さんは、農業や畜産は専門外だったが、情熱をもって技術を磨き続け、今や同社に欠かせない存在として成長を遂げている。一人前になるまで10年かかるといわれる職人の世界ではあるが、ゼロからでもトライする気持ちがあれば大きく羽ばたけるというのは高橋さんの存在が証明している。困ったときに何かと面倒を見てくれる人柄のいい社員がそろっているのも、右も左もわからない新人にとっては心強いところだろう。

社員同士がつながる場所も多数用意されており、旅行やボウリング大会、地域の食肉センター全体のバレーボール大会と、イベントごとも盛りだくさん。年間休日も124日と多く、自分のための時間もたっぷりと取れる。公社という安定した環境のもと、メリハリをつけて働けるのも同社のセールスポイントだと感じた。

PHOTO
宮城県や周辺自治体、農業団体などの出資によって立ち上がり、今も民間資本は入っていない。公共性の強い会社だけに、社会貢献というところに全力を注ぐことができる。

トップへ

  1. トップ
  2. (株)宮城県食肉流通公社の取材情報