最終更新日:2025/6/24

東京食肉市場(株)

業種

  • 財団・社団・その他団体
  • 商社(食品・農林・水産)
  • 食品
  • 農林・水産

基本情報

本社
東京都

取材情報

先輩達の”キャリアアップ”

食肉の“せり”が事業の中心。現場での経験を生かして他部門の業務で活躍

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生産者と購買者から信頼される、食肉卸売のプロ集団を育成

日本の食肉流通を支える東京食肉市場。生産者と購買者をつなぐ営業職としての経験や知見を生かしながら、同社の事業を支える多様な部門の業務に寄与し、活躍している3人の先輩にキャリアについて語ってもらった。

■澤田 秀一さん(中央)
総務部 総務課 課長
経済学部 経済学科卒業/1997年入社

■前田 剛史さん(左)
牛肉営業部 営業課 調査役
経済学部 商業学科卒業/2004年入社

■梅澤 太寛さん(右)
品質管理室 副調査役
酪農学部 食品流通学科卒業/2005年入社

食肉の魅力や特徴を購買者に伝え、販売する営業。その営業が安心して働ける制度を考えています

現在は総務部で業務にあたっていますが、このポジションに至るまでには牛肉営業部、受託部といった現場の仕事も長く経験してきました。14年ほど在籍していた牛肉営業部では、せり人として農家の方々が手間暇かけて育ててきた牛を、より高く購買者へと販売できるように尽力することが業務の中心。農家と牛肉の購買者との架け橋となる役割です。

せりを担当する牛肉の魅力や特徴を事前に購買者に情報提供し、品質を評価していただいた上で、適切な価格で販売していくことを大切に仕事をしてきました。農家の皆さんが一生懸命育ててきたものを、最大限に評価してもらう。それにはせり人として蓄積された経験や、農家と購買者双方からの情報収集・コミュニケーションが欠かせません。想定よりも高い金額で販売されたとき、農家の方から「ありがとう」と言われること、そして購入した購買者から「いい肉だった」と言われることは、自分の仕事が多くの人の役に立っていると思える瞬間です。両者にとって信頼に値するせり人であるべく、常に知見を深めてきました。

その後配属となった受託部は、農家から生体の牛や豚を預かり、管理する窓口。預かった生体を食肉へと加工するまで、事故を起こさず、健康を維持していられるよう管理しなければなりません。商品価値が下がらないようにすることが大切なのです。以前せり人として肉の価格が決まる最前線にいたからこそ、このプロセスの大切さを実感しながら仕事ができたと思います。部署は変わっても業務はつながっている、そのことを深く理解する経験となりました。

そしてこれらの現場経験を経て、2020年には総務部として人事や労務、庶務一般を担当。総務部に異動となった年は、コロナ対策に試行錯誤した年でもあります。当社は食品を扱う企業として、厳密に衛生管理をしていかなければなりません。しかし、コロナ対策をはじめとした社内ルールの変更は、営業など現場を担当する社員に対して、業務上の負担を強いることにもなります。自分自身が現場にいたという経験をもとに、彼らの仕事や想いに寄り添い、会社としての考えと現場の取り組みとの間をつなぐことを心掛けてきました。

もし私たちの業務がストップするなら、社会に肉を提供できなくなります。そんな問題が起きないように、これからも社員一同で意見を出し合いながら事業を継続していくことに使命を感じています。
【澤田秀一さん】

東京食肉市場の仕事の魅力

「スーパーに並ぶ食肉も、パッケージに記載の個体識別番号で産地や流通経路を確認できます。農家から食卓までの一連の過程に大きく貢献できることが喜びです」(澤田さん)

社内システム構築の視点と営業の視点の両方を生かし、働きやすい職場づくりに取り組んでいます

東京食肉市場は東京都が半分出資をしている半官半民の組織です。その安定した環境や市場という組織ならではの、「朝早く仕事が始まり、早い時間に仕事が終わる」という働き方が魅力的に思えて興味を持ったのが、入社のきっかけとなりました。

入社して5年間は経理部経理課として社内システムの整備に従事。私が入った年は、古いシステムを新しく入れ替えるタイミングでした。市場内での人の動き、関わる人数、システムを使用する時間帯の波などを調査しながら、全社員にとって使いやすいシステムを検討するところから仕事がスタート。そして、当社の販売データを管理するプログラム一式を更新していきました。

システムを新しくするということは、現場が便利にならなければいけません。社員たちが何を「便利」に感じるかを調査・ヒアリングし、せりの現場に同行することもありました。システムの構成を考え、現場に相談し、また考える、という過程を経て、少しずつ使用できるシステムを拡大。その中でもシステム内の情報検索機能を充実させたことで、過去の履歴が見やすくなったという声が多く寄せられました。現場に最適化した環境を作ることができた、という手応えが得られてうれしかったですね。

営業の現場担当者の中には、システムやパソコンの扱いが苦手だという社員もいます。そんな彼らをサポートする目的と、私自身の視野を広げるために2009年からは牛肉営業部に異動。今度は牛肉のせりを担当することになりました。パソコンやデータを扱っていた仕事から生産者や購買者など人と向き合う業務にガラリと変わり、戸惑いがあったのも事実。せりは産地と消費者をつなぎ、話すことが仕事。人と話すことが苦手だった自分が今ではこんなに人と話すことができるようになったのかと驚くこともあります。

ここで営業の仕事を知り、何を難しいと感じ、何が変わると仕事がしやすくなるのかを見聞きすることも増えました。現在の職場で、現場の声を取り入れた新しい開発ができるであろうという手応えを感じています。

現在は営業部で調査役という立場になり、管理職と現場をつなぐ役割も担っています。自分がやりたいことを実現するにはキャリアアップすることが必要不可欠。DXに着手したいという思いもあり、働きやすい職場づくりのための発言力を得ていくことが今の目標の一つです。
【前田剛史】

東京食肉市場の仕事の魅力

「労働組合が組織されているので、働き方に課題があれば会社に交渉できる制度があります。働く人と会社が意見を交わしながら理想の環境を追求できます」(前田さん)

世界に向けて日本の食肉を輸出するために、国際基準の食品安全保証を現場に取り入れています

学生時代に学んだ食品に関する知識を生かしたいと思っていたところ、大学の教授に勧められたのが当社でした。牛や豚を農家の方から預かり、と畜されたものを枝肉(四肢や頭部、内臓を取り除き、骨がついたままの肉)として購買者へ仲介するという事業は、ほかにはない世界。みんながやっていないことにチャレンジしたい、そう思って入社を決めました。

最初に配属された営業部では、牛肉担当と豚肉担当を経験。当社の営業部はあくまでも農家の方が育てた牛や豚を一時的に預かる部門です。生産者が30カ月かけて育ててきた時間、そして卸売業者から小売店などへの流通。その両方のためにも、商品価値を下げることがないように丁寧に扱うことを心掛けていました。

肉にはそれぞれにストーリーがあります。それは、珍しい品種だったり、変わった育成方法だったり、どんな生産者が育ててきたかということだったり。そんな多様な背景と生産者の思いを、購買者である卸売業者の担当者に伝えていくことが私たちの役割だと思いながら、仕事に向き合ってきました。

特に印象に残っているのは、東日本大震災後の福島県産の食肉に対する市場の動きです。産地のイメージで価格を下げられるということがないように、安全性や生産の背景を伝え、それを理解した上で評価してほしいとアプローチをしました。その結果、年に一度の大きな品評会で、関わった福島県産の豚を高値で購入していただくことができ、その正当な評価を生産者の皆さんにも見せることができたのです。このときはせりを担当して良かったと心から思いました。

せりの現場経験を経て、現在は品質管理室に所属し、日本の食肉を国際的に流通させるための取り組みに携わっています。輸出各国の基準に対応できるよう、食品安全保証の国際基準であるHACCPを導入し、施設や業務の改良を検討しています。とはいえ、現場には現場の考えがあり、新たな制限や作業が増えることに対してストレスもあると思います。自分が営業として現場にいた時に感じていたことをもとにしながら、小さなことから改革を進めています。

また、品質管理室での仕事を通して、現場時代には知ることができなかった“会社としての視点”を学んでいるところです。自分の提案や働きかけが、会社がより良い方向に進んでいくための力になればと思っています。
【梅澤太寛さん】

東京食肉市場の仕事の魅力

「世間的にはあまり知られていない仕事ですが、ここにしかない面白さがあると感じています。社員の経歴も多種多様で日々刺激を受けながら仕事ができます」(梅澤さん)

企業研究のポイント

当社は食肉市場の卸売会社として、東京都との共同資本で、食肉の安定供給と公正な取引価格の形成、食肉流通の合理化を図ることを大きな目的とした組織。生産者と購買者をつなぐ架け橋として、食肉に関するプロフェッショナル集団でありつづけたい、その思いを持って事業に取り組んでいます。

学生の皆さんにとっては普段あまり目にすることのない仕事かもしれませんが、食品の安心・安全への関心の高まりや国産食肉の海外展開などの課題もあり、これまでメインとしてきた牛や豚の枝肉のせり販売だけに留まらない、新規事業の展開を模索していることにも注目してほしいですね。

もちろん食の安全を支えるのに欠かせない衛生管理にも力を入れています。食品を扱う企業であるという意識を磨き、徹底した身だしなみやHACCPをベースにした作業手順の変更、環境整備を積極的に実施。

また、社員がそれぞれの業務を全うし、活躍できる職場づくりも推進。そのための設備・システムの導入も進んでいます。社員の成長が企業全体の成長につながり、それが畜産業界全体への貢献になるという考えを持ち、制度の設計を行っています。

さらに、若い人たちのアイデアで、新たなビジネスモデルへのチャレンジをしていくことも考えています。
企業研究する際は、世の中の出来事に関心を持ち、自分の意見を言葉にしていける力を磨く時間にしてもらえるといいと思います。

【総務部 人事担当者】

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「食肉製造販売の現場は機械化が進んでいるとはいえ、人の力や目による作業もまだまだあります。そのため体力が必要となる場面も多々あります」と人事担当者。

マイナビ編集部から

安定的かつ安全な食肉の供給を行うことを使命として事業を展開している東京食肉市場株式会社。食肉市場の卸売会社として、全国で生産された牛や豚を集め、枝肉となった状態で購買者へと販売を行ってきた。ここで販売された食肉は、購買者からスーパーマーケットや飲食店などに卸され、家庭や飲食店のテーブルに上る料理となっていくのだ。長い時間をかけて牛や豚を育ててきた生産者と購買者の架け橋となり、そのリレーを食卓へとつないでいく。その流通のスタート地点を担ってきた。

同社の営業は“せり”で食肉を販売するという、他業界の営業とは異なるスタイル。しかし、せりであっても購買者に食肉の魅力を伝えるなど、コミュニケーションの時間は多い。会話の中で間違いのない情報、先回りした情報をしっかり伝えていくことは、適正な価格で食肉を販売することにつながっていくと、取材に登場した3人が語っていた。また、食の安全を守るだけでなく、生産者の事業を守ることにも重要な役割を果たすのが同社の事業ということだ。

近年では国内での食肉流通だけでなく、海外への輸出に向けた準備も進めている同社。食に関わる“なくならない仕事”という位置付けに甘んじることなく、新たなビジネスにも果敢にチャレンジしようとする社風がある。安定と挑戦、その両方を経験しながらキャリアを重ねていきたい、という意欲のある人が活躍できる企業といえるだろう。

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社員のキャリアアップを支援するため、通信講座や研修への参加も費用を会社が負担し推奨している。地方の牧場で生産現場の見学なども実施し、視野の広い社員を育てていく。

会社概要に記載されている内容はマイナビ2026に掲載されている内容を一部抜粋しているものであり、2027年卒向けの採用情報ではありません。企業研究や業界研究にお役立てください。

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