U・Iターン就職の基本知識

U・Iターン就職の企業選択のポイント

「やりたいこと」「できること」が実現できる企業を探す

ミーティングの風景
(画像素材:PIXTA)

仕事選びをするうえで大切なのは、「やりたいこと」「できること」が実現できる企業を探すことです。これはU・Iターン就職であっても変わりません。自分は何がしたいのか、何ができるのか。自己分析を深めて、それが実現できる企業を探しましょう。

たとえ大都市に本社を構えていたとしても、地方に工場や研究所などの出先機関を持っている企業は数多くあります。世界中でその地方にしかない優れた技術を持っている優良企業や、ある分野でトップシェアを誇る会社も少なくありません。あなたが「やりたいこと」「できること」は、実は地方の企業に就職することによって実現できるかもしれないのです。

そういう企業と出会うために必要なのは、やはり情報収集です。「U・Iターン特集」に掲載されている企業情報はもちろん、合同説明会や学内の企業セミナー、企業や地域のオウンドメディアなどを活用して幅広く情報を集め、業界&企業研究をきちんとすること。また、OB・OG訪問など、実際にその会社で働いている先輩に会って話を聞くことが大切です。

「企業研究」プラス「地域研究」も必要

U・Iターン就職をする場合には、企業研究だけでなく、志望企業のある地域の研究をしておくことも重要です。「U・Iターン就職のメリット・デメリット」でも触れたように、地方にはその地域特有の行事や生活習慣があります。

地方企業に就職する際には、その土地柄や風土をきちんと調べて把握しておきましょう。地域の風習に馴染むことができるかどうかも、U・Iターン就職を成功させるための大事なポイントです。企業研究に加え地域研究も行い, 「暮らしの全体」を視野に入れて考えましょう。

注意すべきポイントは、ミスマッチを避けること

地方企業の特徴として、社員に求めるものが細分化されてないという傾向があります。例えば、事務職の採用であっても、仕事の内容には経理・財務・広報・調達などの業務が含まれていたり、場合によってはITや情報システムまで含まれていたりする会社があります。

都会型の企業では、これらを細分化して募集している場合が多いのですが、地方企業では一括りになっていることがあるため、あなたの「やりたいこと」「できること」とミスマッチが生じる可能性があります。これはU・Iターン就職における注意すべきポイントです。

例えば、「エンジニア」という職種には、アプリケーション・エンジニア、WEBエンジニア、ネットワーク・エンジニア、サーバーサイド・エンジニアなど、さまざまな種類があり、それぞれ仕事内容が異なります。ところが、地方企業の求人情報には「情報システム部」の募集としか書かれていないようなケースがあるのです。

それに気づかず入社してしまうと、自分の「やりたいこと」「できること」とミスマッチが生じて、あなたにとっても、企業にとっても、不本意な結果になってしまいます。そういう事態を避けるためには、企業研究はもちろんですが、会社説明会や面接などできちんと仕事内容を確かめることが大切です。

面接では、自分が「やりたいこと」「できること」を丁寧に説明する

就職とは、採用側と応募側、両者のニーズをマッチングさせることです。あなたが一方的に選ばれるわけではなく、採用する側もあなたに選ばれたいと思っているのです。

面接では、あなたの「やりたいこと」「できること」も丁寧に説明することが大切です。希望する職種や仕事内容をきちんと伝えることができれば、ミスマッチを避けられます。東京の大手企業を受けるとき以上に、自分は何がやりたいのか、何ができるのかをしっかりと言語化して、丁寧なコミュニケーションを心掛け、ミスマッチを防ぎましょう。

いち早く責任のある仕事を任せてもらえるチャンスも

地方の企業が、大都市の企業ほど仕事や職種が細分化されていない傾向があるというのは、別の見方をすればチャンスでもあります。自分のやりたいことが、まだ明確ではなく、漠然と「事務職」や「エンジニア」などと考えている人は、まずは詳しい話を聞いてみましょう。

広い範囲で仕事を任せてもらうことができれば、東京の企業で働くよりも成長のスピードが速くなり、より多くの豊かな経験が積めるかもしれません。それによって、いち早く責任のある仕事や大きな権限を持たせてもらえる可能性も高くなります。

「やりたいこと」「できること」が具体的な職種として明確ではなく、社風や土地柄などに魅力を感じて地方企業を志望する場合には、会社訪問や面接の際に、その企業が求めているものを具体的に聞きましょう。それがあなたにとっての「やりたいこと」「できること」になるかもしれません。しっかりと話を聞くこと。これが就活を成功させる重要なポイントです。

監修者プロフィール

沢渡 あまね(さわたり あまね)
作家/ワークスタイル&組織開発専門家。『組織変革Lab』主宰。DX白書2023有識者委員。あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/浜松ワークスタイルLab所長/国内大手企業人事部門顧問ほか。日産自動車,NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で,働き方改革,組織変革,マネジメント変革の伴走・講演および執筆・メディア出演をおこなう。著書は『職場の問題地図』『新時代を生き抜く越境思考』『どこでも成果を出す技術』『バリューサイクル・マネジメント』『仕事ごっこ』『業務デザインの発想法』(技術評論社)ほか多数。
沢渡 あまね

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