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ニッチな「ものづくり」で世界へ挑戦。
日本が誇る日機装の技術力

経済産業省が選定した「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」の中に、航空業界の常識を覆した企業があります。それが、工業メーカーの日機装です。鋳鉄やアルミ合金など、重金属でつくるのが当たり前だった航空機部品「カスケード」の素材を、軽くて強い新素材「CFRP」(炭素繊維強化プラスチック)に転換させ、業界に新たなスタンダードを確立したのです。
現在では、多くの機体に日機装のCFRP製カスケードが活用され、その市場シェアは95%以上。航空機メーカーにとってなくてはならないパートナーとして、世界的に存在感を示しています。
今回は、日機装の航空宇宙事業本部で、最先端技術の開発に携わる石田和也さんにインタビュー。世界から高い評価を受ける日機装の技術力や、ものづくりの現場ならではのやりがいと展望を教えていただきました。
現在では、多くの機体に日機装のCFRP製カスケードが活用され、その市場シェアは95%以上。航空機メーカーにとってなくてはならないパートナーとして、世界的に存在感を示しています。
今回は、日機装の航空宇宙事業本部で、最先端技術の開発に携わる石田和也さんにインタビュー。世界から高い評価を受ける日機装の技術力や、ものづくりの現場ならではのやりがいと展望を教えていただきました。
プロフィール

石田 和也
日機装株式会社
航空宇宙事業本部
航空宇宙技術センター 技術第一部
製造技術グループ
2018年入社
製品立ち上げ担当として、航空機部品の工程設計や客先認定対応に従事。また、ベトナム工場で進行中の内装品開発プロジェクトではリーダーを務め、設計、仕様変更、改善対応など、出荷までに発生する社内外の調整業務を行っている。
航空機のブレーキシステムを担う
カスケードの役割
カスケードとは、航空機が着陸する際に減速を安全に行うための部品です。航空機の着陸時には、200トン以上の重量を持つ機体が時速250kmものスピードで滑走路に進入します。そのため、効果的に減速させるには、複数のブレーキシステムが連携して機能する必要があり、カスケードもその一翼を担っています。

石田
車はブレーキペダルを踏むことで速度が落ちますが、航空機はブレーキペダルだけでは安全に減速できません。ジェット気流のコントロールや、翼に取り付けられた部品の角度調整など、3つのブレーキシステムを連動させることでスピードを調整しています。
航空機を減速するための3つのブレーキシステム

上記の3つのブレーキシステムのうち、カスケードはエンジンの気流を逆噴射させるための部品。飛行中のジェットエンジンは、前方から吸い込んだ空気を後方に排出していますが、着陸時には、ブロッカードアと呼ばれるパネルが張り出し気流をブロック。せき止められた気流は、カスケードによって向きがコントロールされ、前方へと誘導されます。
逆噴射の仕組み

加工が難しいCFRP製カスケードを独自の技術で製品化
以前は、カスケードをはじめとする航空機部品は、高い耐腐食性と耐疲労性が求められるため金属を用いるのが一般的でした。しかし、金属は重く、エンジンに余計な負荷をかけてしまう課題がありました。そこで日機装は、軽さと強さが特長の「CFRP」に着目したのです。

石田
CFRPは、カーボンファイバーと樹脂の複合材です。「軽くて強い」という特性を持っていますが、加工が難しく、成形する際には適切な温度を保ちながら、型の隅々まで均一に圧力をかけなくてはいけません。こういったハードルの高さから、他社はCFRPでの航空機部品製造に取り組まなかったんです。
それに日機装はチャレンジし、技術力を駆使してCFRP製カスケードの製品化にこぎつけました。他社が簡単には真似のできない成形方法による製品を生み出したことで、当社のカスケードは世界中の航空機メーカーから支持を得ています。
それに日機装はチャレンジし、技術力を駆使してCFRP製カスケードの製品化にこぎつけました。他社が簡単には真似のできない成形方法による製品を生み出したことで、当社のカスケードは世界中の航空機メーカーから支持を得ています。
カスケードの累計出荷数

1983年、日機装は世界初のCFRP製カスケードを開発し、供給を開始。世界的な航空機メーカーの主要機種に採用され、世界シェアの95%以上を占めるに至りました。さらに、2022年には累計出荷数が70万個を突破し、製造したカスケードの形状は200種類以上に及びます。

石田
当社のカスケードがこれほどまでに広く採用されているのは、日機装で製品設計から製品製造、品質評価までを一貫して担えることが背景にあります。仕様の決定、開発、検査、試験に至るまで、すべてのフェーズを自社で対応できるからこそ、お客さまの要求を満たした製品を提供できるんです。これこそが、他社に負けない優位性であり、日機装の強みだと感じています。
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