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新しいものをつくるために必要なのは、
たしかな技術力と知識量

カスケードを主軸に、幅広い航空機部品を手掛ける日機装。CFRPを用いた主翼構成部品やエンジンナセル(エンジンを格納する筒状の部分)部品、金属複合材を使ったエンジン部品など、さまざまな航空機部品を製造しています。その中で製品の立ち上げ業務を担当する石田さんは、現在2つのプロジェクトを担当しています。
動翼に使われる部品の素材について伺うと「CFRP製ではなく、アルミです」と話す石田さん。命を運ぶ航空機だからこそ、使用される素材には厳しいルールがあると言います。

石田
CFRP製のカスケードが認められたのは偉業ともいえるケースで、アルミ合金等の金属でしか作れない部品もたくさんあります。簡単には代用品が生まれないほど、航空機部品の世界は厳しいんです。
さらに、航空機に関わるものづくりの現場では、些細な要素により成果が左右されることがあると言葉を続けました。

石田
接着剤一つにしても、その選定には細かな判断が必要です。接着剤に含まれる繊維の有無や形状など、考慮すべき要素は多岐にわたります。数ある選択肢の中から最適なものを選び、適切に配置・配合するためには、技術的な手腕だけでなく、素材の知識も欠かせません。
会議も日常会話も英語。苦手意識があっても身に付いた語学力
今でこそチームを牽引するリーダーとして存在感を発揮する石田さんですが、プロジェクト発足当初は苦労も多かったと言います。

石田
日機装には宮崎とベトナムに航空部品の生産拠点があります。プロジェクトを進めるには、ベトナム工場との連携が必要になるのですが、私は英語が得意ではなくて。会議はもちろん、日常のコミュニケーションも英語なので、最初は本当に苦労しました。当時は、崖に落とされたような感覚だったのを覚えています。
理系出身で、学生時代は電気分野を専攻していた石田さん。語学の必要性を感じたのは、このときが初めてだったそうです。不安を抱えながらも、自分なりの方法でコミュニケーションのコツをつかんでいきました。

石田
苦手意識があっても、逃げずに数を重ねることでだんだんと身についてきました。自分が日機装で語学力を伸ばせることになるとは、学生時代には想像もしていなかったですね。
自分の壁を壊すきっかけになった、というこの経験は、グローバル市場で活躍する日機装だからこそ得られたものなのかもしれません。
胸が熱くなるのは、プロジェクトが動き出す瞬間
ものづくりの最大のやりがいは「完成品をつくること」だと多くの人は考えるでしょう。しかし、石田さんの言葉から、それとは異なるやりがいがあることに気付かされます。

石田
完成品を目にした瞬間にも達成感はありますが、それ以上に、自分の考えが認められたときにやりがいを感じます。必死になって考えた意見が、お客さまやメンバーに賛同してもらえて、プロジェクトが動き出す瞬間はすごく胸が熱くなる。ものづくりの楽しさは、目に見えるゴールだけではないと思うんです。
なぜ、臆せずに自分の意見を言えるのか。入社からこれまでの思いを振り返りながら、その理由を教えてくれました。


石田
若手のうちから意見を言えるのは、チャレンジを後押しする文化が根付いているからだと思います。日機装の航空宇宙事業本部には、ニッチ領域で圧倒的なシェアを誇るカスケードという大きな柱があります。だからこそ、出る杭を伸ばそうとする風土が生まれている。成功に満足せず、常に次の挑戦に向かっていくのが日機装の精神だと思います。
1.0mmの誤差も許されない世界で、ものづくりの本質と向き合う
激しい気圧の変化や強風といった過酷な環境下で、空を飛び続ける航空機。その機体は、厳しい国際基準に合格した300万点におよぶ部品で構成されています。「飛行の安全を守るために、航空業界は1mmの誤差も許されない世界なんです」と、石田さんは話します。

石田
行動のすべてが、人の命につながる仕事だと思っています。はたから見たら、たかが1mmと感じるかもしれませんが、航空機に携わる者にとっての1mmは、本当に大きい。たとえ高い要求であっても、基準を満たせるように何度もトライします。
航空機に必要不可欠な部品をつくるうえで、一切の妥協を許さない。その誇りと責任感は、業界を牽引するグローバルニッチトップ企業だからこそ、醸成されたのかもしれません。

石田
たとえば、金属同士を接合するための接着剤の厚みには細かい基準が設けられています。基準を満たしているか確認するために、2mほどの製品を短冊状に切り出して、約250個の試験片を作成し、すべての膜厚を測定しました。すると、そのうちのいくつかは0.03mmほど厚みが足りていないことが分かったんです。すぐに原因を分析し解決策を考えますが、どうしても自社だけでは対処できない課題もあります。その場合は、お客さまと議論を重ねながら、新たな角度から技術的な提案を進めていきます。
安全を最優先するからこそ、首を縦に振れない場面もあると言います。石田さんが目指しているのは「お客さまと同じゴールを描きながら、経済性と高品質なものづくりを両立させること」でした。

石田
できることなら、お客さまからの要求すべてに応えたいと思っています。しかし、品質管理の観点ではそうもいかない場面もあって。たとえば、製造工程で想定されるリスクの対処法を提案したときのこと。リスクを全て洗い出し、一つ一つ対策を提示しましたが、お客さまからは100を超える追加施策を求められたこともありました。
そんなときに考えなくてはいけないのは、経済性と品質追求のバランスです。すべての要求に対処すると、コストがかかりリードタイムも伸びてしまいます。安全を最優先しているからこそ「今、本当にすべきことは何か」を常に念頭に置いて、最適な解決策を模索する必要があるんです。
そんなときに考えなくてはいけないのは、経済性と品質追求のバランスです。すべての要求に対処すると、コストがかかりリードタイムも伸びてしまいます。安全を最優先しているからこそ「今、本当にすべきことは何か」を常に念頭に置いて、最適な解決策を模索する必要があるんです。
こうした試行錯誤の中で製品が完成し、チームメンバーと喜びを分かち合う時間は格別だと、顔をほころばせながら教えてくれました。
グローバル市場の最前線で、必要不可欠な存在であり続けたい
カスケードと共に歩んできた日機装の航空宇宙事業部の歴史。1981年から始まった新素材の開発は、40年以上のときを経て、世界中から「なくてはならない存在」として引き合いを受けるまでになりました。その背景には、製品の開発プロセスをワンストップで行う技術力とコスト意識の浸透があります。
カスケードの実績に満足せず、日機装はさらなる進化を追求しています。
カスケードの実績に満足せず、日機装はさらなる進化を追求しています。


石田
日機装では、CFRP製カスケードで得た知識や実績を基盤に、新たな航空機部品の開発を目指しています。私が参画している動翼や内装品のプロジェクトもまさにその一つ。「カスケードメーカー」から「航空機部品メーカー」としてさらに裾野を広げることが今後の展望でもあります。
その先には、石田さんが描く未来がありました。

石田
技術者としてより成長して、さらに大きなプロジェクトに関わることが目標です。胸を張って家族や同僚に自分が担当した製品を紹介したいですし、「石田くんなら任せられる」と頼られる存在になりたいです。グローバル市場で開発の最前線に立っているという誇りがあるので、今ここでしか感じられない日機装の醍醐味を最大限に味わいたいです。
ベトナム工場との言葉の壁、お客さまとの技術討論、さまざまな挑戦を乗り越えて、前へ進み続ける石田さん。その姿は、日機装の目指す姿を体現しているようにも見えます。カスケードの存在を追い風にして、石田さんの歴史はまだ始まったばかりです。
会社紹介 | 「2020年版グローバルニッチトップ企業100選」に選ばれた日機装。CFRP製カスケードを世界で初めて開発した。日機装のカスケードは世界的な航空機メーカーの主要機種に採用され、2024年現在、世界シェアの95%以上を占める。 |
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仕事内容 | カスケードを主軸に幅広い航空機部品を手掛ける日機装で、製品の立ち上げ業務を担当する石田さん。航空機の内装品や動翼の開発プロジェクトを担当する。航空機の開発品は国や専門機関の認定が必要なものも多く、その認定プロセスの管理も行う。 |
仕事のやりがい | 自分の意見がお客さまやメンバーに賛同され、プロジェクトが動き出す瞬間。ニッチ領域で成功した事例があるからこそ、出る杭を伸ばそうとする風土が日機装にはある。 |
今後の目標 |
「カスケードメーカー」から「航空機部品メーカー」へと、さらなる飛躍を目指す日機装。CFRP製カスケードで得た知識や実績を基盤に、新たな航空機部品の開発・提供を進めている。
石田さんの目標は、技術者としてより成長し、さらに大きなプロジェクトに関わること。グローバル市場で開発の最前線に立てる日機装という環境で活躍の幅を広げたい。 |
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もう1つは航空機の動翼の開発プロジェクトです。動翼とは、離着陸時に翼から展開し、パタパタと揚力を調整する部分のこと。私は、生産技術メンバーとして工程設計やそれに伴う課題解決を担当しています。航空機で使われる開発品は国や専門機関の認定が必要なものも多いので、作って終わりではなく、認定プロセス全体の管理も行います。