理系学生の生きる道

POINT3
専門を生かした就職? 専門外への就職?

専門分野の延長上の業界に就職するのは、理系ならではの進路選択です。しかし必ずしも専門分野が業界と直結するとは限りません。極めて限られた業界や職種にしかつながらない専門分野もあります。その一方で、専門に勉強した分野とは別の領域で知識を生かせるのも理系の特質です。

INDEX

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専門を生かした就職

「専門分野の業界に進むのが当然」「企業は専門性を評価する」「専門と呼べるほど自信がない」…さまざまな考え方や思いがある中、就職先を選ぶ視点を検証してみましょう。

専門を生かした仕事を探す

専門分野の学習や研究の内容と直結し、卒業生が多数就職している企業は、採用において有利な場合があります。ただし有利であることは採用を保証するものではなく、あくまで選考は個人の資質と適性によって決まります。学校推薦であっても不採用になる人がいるように、過去の採用実績があっても油断することなく、しっかり志望動機や自己PRを準備して臨むことが大切です。これまで行ってきた勉強や研究の内容に加え、学校生活で身に付いたスキルやセールスポイントなどをアピールしましょう。

専門分野以外に進むのは不利?

専門と直結した業界に進んだとしても、実際の仕事において100%その専門分野を業務にできるとは限りません。ビジネスの環境は常に変化し、企業もそれに合わせて進歩しますから、全く畑違いの業務に配置されることも珍しくはないのです。
また、意図して専門外分野に進み、活躍する人もいます。そこでは専門知識だけでなく、論理思考や課題、改善の点を発見する地道な観察など、理想的な取り組みによって身に付けた応用力が、ビジネスの世界で役立ちます。その能力が専門外のビジネス分野でも応用できることをしっかりアピールしましょう。

就職に不利な専門?

自分の専門とする分野が業界に直結する人もいれば、「自分の専門分野がビジネスと結び付かないのでは?」と考えたり、「具体的に世の中に役立つ分野ではない・・・」と不安になったりする人もいます。しかし、大学の勉強と仕事は同じではありません。学生の立場で会社の業務やビジネスの多様性などを知るのには限界があり、「役に立たない」という判断を下すのは早計に過ぎます。
理系学生の多くは、知識や経験そのものだけでなく、知識を身に付ける過程や研究などの経験でぶつかった問題、それを克服した発想や学びを通じ、知性を磨いてきたのです。これこそさまざまなビジネスの課題解決においても役に立つ汎用的な能力といえます。

ライバルは同じ専門性を持つ学生と心得よう

専門分野が業界に結び付きやすいということは、他大学の同じ分野の学生も同じ条件だと考えられます。「○○が専門なので」という事実のみをアピールしても、それだけでは他大学の競争相手と差が付かず、採用の決め手にならない可能性があります。そのため、自分なりの視点や、研究や勉強で直面した困難、そして、それをどうやって克服したかという経験や気付きを伝えることが大切です。企業は実験で成功したかどうかなど過去の成果だけを確かめているのではなく、自社に入っても仕事上の課題をこなせるのか、難しい局面でどんな行動を取るのかといった個人の可能性を見ています。

CHOICE2
専門外への就職

社会には数多くの企業があります。仮に同じ業界であっても一つひとつの会社が取り扱う仕事は幅が広く、社員の職務も多種多様です。もはや、専門性の高い理系学生であっても自ら専門外分野を志望したり、入社後に専門外分野の仕事を担当したりすることは当たり前の時代です。そのため、専門外の就職はどの理系学生にも可能性のある選択といえます。

院卒で専門外に就職するのは不利?

理系では大学院進学率が文系に比べて高い傾向があります。ですから、理系学生の採用実績がある企業であれば専門の分野外でも、院生採用は十分あり得ます。また、企業によっては理系学生なら専門分野を問わず採用対象とする会社もあります。専門分野で学んだ知識以上に、大学院の研究を通じて養った高度な思考能力や課題解決能力といった点が評価されます。ただし、専門分野外の企業の選考を受ける場合は専門外の人に分かりやすく研究内容を説明できるよう、準備を工夫して臨みましょう。

理系にはさまざまな道が開かれている

理系ならではの論理的思考力や分析力を生かし、金融業界やコンサルティング業界、マーケティング業界に就職する人もいます。また、メーカーの営業職で、文系出身者にはない専門知識を武器に活躍している人もいます。理系学生は一般的に基礎学力を高く評価され、文系領域の職種でも大いに歓迎されます。ただ、どんな仕事であってもチームで働くことが要求されますから、コミュニケーション力などの面で、苦手意識がある人は改善する努力をしておきましょう。

研究や勉強と就活を両立するために

理系は研究や勉強に忙しく、就活に割く時間も限られる点で不利だという意見もありますが、理系職を志望するのであれば条件はみな同じです。会社説明会やセミナーなども、企業によっては土日や平日の遅い時間に行う場合もあります。参加がどうしても難しいときは、黙って辞退するのではなく、参加できない事情をきちんと会社に説明してはどうでしょう。理系学生の採用実績がある会社であれば、特別な対処をしてくれる場合もあります。マイナビ2026には「マイナビTV」というPC・スマホから視聴できるWEBセミナーも行っており、企業説明会から就活ノウハウまで、理系学生向けコンテンツが充実しています。ぜひ有効活用してください。

専門外分野応募でのアピール

専門外分野の企業に応募する場合、自分の勉学や研究内容だけでなく、それが応募した企業においてどう役立つのか、転用や応用はできるのか、それが難しければ個人の能力として企業貢献できるのかといった説明ができるように準備する必要があります。とくに応用や転用、基礎研究の実用への結び付きなどは、自ら可能性を狭めるような否定的な態度を取らず、できる限り大きな視点と長い時間軸でポジティブに説明すべきです。競争相手が文系学生となる応募先の場合、理系の勉強で培った汎用能力は分かりやすい差別化になります。授業を受け、報告をまとめ、実験準備や後始末、さらに卒論や修論のネタ探しも行うといった複数同時進行の進め方は、ビジネスの世界でマルチタスクと呼び、高く評価される能力です。能力評価の実証にも使えると考えてはどうでしょう。

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