エントリーシート（ES）

ES作成準備

ESは応募する企業各社がそれぞれ設定するもので、その質問に対する自分の考えを記入します。大体は似たような設問が多いのですが、完全に同じではありません。

ESの2大ポイントは「自己PR」と「志望動機」です。
この２つをしっかり書ければ、他の設問はこの2大ポイントに沿って答えることができます。またこの2大ポイントはESだけでなく面接でも有効で、就活全体を通じて柱となります。

ESと面接は独立したものではなく連動しています。どちらも採用選考の中心で、就職活動には、ほかにもWEBテスト、適性検査などがあるにしろ、ESと面接で評価されずに採用されることはありません。逆に他の出来が今一つでも、ESと面接で逆転した例は毎年発生します。

2大ポイントを押さえるには自己分析と企業研究でしっかりした準備が必要です。とくに初めて書くESは考えもまとまらず、また書き方のコツや勘も養われていないため、完成度が低いのが普通です。最初から完璧なESを書ける人はいませんので、出来が悪くとも繰り返し書き続ける過程で、適切なフィードバックを受ければみるみる上達することでしょう。焦らず、順番通りに準備を進めるのが結局早くて効率的なES作成法です。

文章を書くのが苦手で、つい箇条書きになってしまうという理系学生もいますが、文理を問わず、その会社の用意したフォーマットに従って記入することが大原則です。以下の点についても注意しましょう。

ES作成の基本

その1　「まず結論から」

「まず結論から」書きましょう。前置きや前提条件は後回しで、文字数に余裕があれば入れる程度でよいのです。
「まず結論から」はビジネスコミュニケーションの原則で、面接でも絶対的に有効なので、この機会に身に付けておきましょう。

その２　少な過ぎず、多過ぎず

文字数制限は絶対です。少な過ぎず、多過ぎず、指定通りに書きましょう（例：400字指定なら380字以上、200字なら180字以上書く）。

その３　企業のメリットの視点で書く

自分目線の都合や要求・希望ばかりでなく、企業への貢献を忘れないようにしましょう（志望動機は自分の希望や要望を書くのではなく、自分を採用した場合に企業が得るメリットを企業視点で書く） 。

その4　「近い」「長い」ことが説得力

自己PRは、（時間的に）「近い」「長い」ことが説得力を持ちます。（高校時代の文化祭委員のような昔＆短期間のものほど説得力がない）

その５　エピソードは盛らない

ほかにマネできないような特殊な経験談で採用されることはありません。無駄に「盛った」エピソードは面接まで進む前に、落とされることもあります。
一般的なESの書き方についてはマイナビ2026の解説も参考にしてください。
その上で理系学生が留意すべき点を以下に説明します。

一般例（文系）との違い

文系と理系ではその専門分野で取り組んでいる勉強の位置付けが違います。そのため、研究や実験などで多忙な理系学生が、文系学生が書くような自己PRを無理に用意する必要はありません。無理に用意しようとしても、それほど真摯に取り組んでこなかったサークルやアルバイトの経験を基に自己PRを書いてしまうようなことになりかねません。それでは、選考過程で最も伝えなければならない「採用判断の説得材料」の役目を果たす自己PRをまとめるのが、難しくなってしまう恐れがあります。

理系学生が、自己PRをまとめるうえで忘れてはならないのは、「理系のメリット」を踏まえることです。理系学生だからこそ、長い時間をかけて取り組んできたことがあるのではないでしょうか。研究のこと、ゼミのこと、実験のことをテーマにして自己PRを書くことができないか、まずはそれを考えてみましょう。

ES実例

自己PR

「自己PRを記入してください」（400字）」SIer（システムインテグレーター）・SE／私大理学部生物学科3年生

評価

１）質問に対し、まず結論から答えている。
２）自分の希望や都合より「相手（＝企業）」の立場で書かれている。
３）企業はリーダーや成功者だけで構成されるわけではない。結果に至るまでの努力や苦労が書かれている。さらにその後で「学んだもの」を表現している。

学生時代に力を入れたこと

「学生時代に力を入れたことは何ですか？」（400字）
自動車部品メーカー・研究開発／国立大情報学研究科情報システム専攻修士1年生

評価

１）修士学生なので、無理に学部時代のサークル話やアルバイトなどを持ってくるのでなく、日々の生活の中心＝力を入れたこととして研究を語るのはよい。
２）「研究している」だけでは当たり前すぎて説得力が無いので、必ず具体例を入れる。
３）「力を入れた結果分かったこと」が具体的で実践的なので、研究を題材にしてもしっかりした体験談になっている。

志望動機

「当社を志望した理由は何ですか？（200字）」上場化学会社・生産管理／私大理工学部化学科3年生

評価

１）「まず結論から」の原則で、即座に質問に答えている。またその会社のCMと指定することで、その会社（＝「当社」）を志望した理由をストレートに答えている。
２）その会社の事業案内などで、その会社で行っている事業から例を挙げていることで企業研究をしているアピールにもなっている。
３）自分の希望や都合ではなく、企業目線で書かれている。