教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

ライフプランの立て方
結婚と出産で変わることへの不安
かつては私も25歳くらいで選手寿命を迎えて、引退、結婚、やがては出産ということになるのかなと漠然と考えていました。
ただ実際は25歳でロンドン五輪に出場し金メダルを獲り、体もまだまだ動ける状態だったのです。目標としてきた世界一の立場になれたことで、気持ちに変化が生まれました。

これからは「夢をかなえた先のモチベーションをどう保つか」ということを伝えられるような選手になりたいと思ったのです。
夢のかなえ方や実現の仕方を説いた本はあっても、かなえた先のことを書いているものってあまりないですよね。ですから私はそれを体現できるように、リオ五輪への出場を次の目標に掲げました。
そしてリオ五輪に出場を果たした後に、結婚。このとき、29歳でした。20代のうちに出産をしたいと思っていたので、「子どもができなければ引退、子どもができたらその子のために東京五輪を目指そう」と決めていました。
しかし出産をすると、心も体も環境も変わります。果たして出産しても思い通り柔道を続けて、五輪を目指すことはできるのか、という不安はありました。
学事や部活動のスケジュールを早めに把握しよう
充実した人生を送るためにライフプランが重要なように、就活を納得する形で終えるためには、きちんとスケジュールを立てて進めていく必要がある。
特に体育会系の学生は、学校の授業や学事のほかに部活動の練習や合宿、大会など把握しておかなければいけない予定が多いもの。志望する企業のインターンシップ&キャリア、説明会などの日程も早めにチェックして、計画的に進めていこう。
スケジュールを立てるために役立つコンテンツはこちら!
体育会系学生の就活スケジュールロンドンとリオは両親、そして東京は子どものために

「子どものために東京五輪へ」という希望はあったものの、選手として出産に対する不安もあったので社長に相談したところ、「まずは結婚して子供を作りたかったら作ったらいいし、それから次を考えたらいい」と。その言葉に背中を押してもらい、結婚し、子どもをつくり、出産することにしました。
そもそも、自分が柔道を続けるための軸は何かと考えたとき、子どもの頃に母と交わした約束を思い出したのです。
海外遠征に出掛けるときに母から「薫はいろんな国へ行けていいね」と声を掛けられることがありました。そんな母に「お母さんは私が海外に連れて行くね」と答え、その約束を両親のために果たすことが私の目標となり、いつしか柔道を続ける軸となっていたのです。
両親との約束は果たすことができたので、それならば今度は「子どものために東京五輪を目指して頑張ろう」と決意しました。
しかし子育てをしながら競技生活を送るのは想定とは違っていました。子どもとの時間が増え、自分が大事に思うものの優先順位が入れ替わっていったのでしょう。自分が母親として子に接する生活がベースになる中で、まさに「野獣」のような気迫で柔道に取り組む自分を維持することが難しくなっていったのです。そうした実感が、私を引退へと導きました。
自分の尺度を知ること
ライフプランを考えるうえで大切なのは、自分の「ものさし」を知っておくということです。
私は現役時代に全く勝てない時期がありました。その頃は余計に柔道のことばかりを考え、追い込み過ぎて自分を壊してしまったのです。
そんなとき先輩が飲みに誘ってくれたおかげで、自然と柔道から離れられて少し心にゆとりが生まれました。思考の転換ができ、一つのことしか見えなかった状態から解放されたのです。その飲み会のおかげで、その後は試合にも勝つことができました。
子どもとの距離間も同じです。いくら子どもが好きでも、四六時中べったり一緒にいて自分に自由がない状態ではストレスがたまることもあるでしょう。だから仕事をしながら子育てをするのが、私にとってはちょうどいい距離なのです。
子どもと過ごす時間が全くないほど、柔道のトレーニングを続けていたらストレスになりますし、反対に仕事をせずに1日中子どもの世話だけに集中していたら自分が壊れてしまいます。
スポーツをやっている人は、ついつい気負ったり、頑張り過ぎたりしてしまう傾向があるのではないかと思います。何をするにしても、こうした自分なりの尺度を知ったうえで、人や物事に対する距離間を保つようにすると、人生が少し楽になると思います。

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STEP 1
やりたいことを洗い出す
会社でこんな業務に就きたい、資格を取りたい、やがては友達と起業したい、自分でお店を持ちたいなど、どんな些細なことでもいいので、将来やってみたいことをリストアップする。
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STEP 2
いつまでに実現したいかを考える
STEP1のやりたいことを実現したいタイミングや時期を考える。例えば何歳までに、企業で何年間経験を積んでから、結婚してから、もしくは出産後、子どもが小学校に入ってからなど、思いのままに考えてみる。
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STEP 3
働き方を考える
やりたいことをどのタイミングでするかを考えたら、どういう働き方をしていれば実現可能なのかを模索する。学校に通いながらスキルを高める、子育てをしながら無理のない範囲で働くなど自分の人生の長いスパンでキャリアを具体的に想像してみよう。
ライフプランやキャリアパスを考えてみよう
スポーツと食と文化をつなげたい
結婚、出産、引退を経て、私のセカンドキャリアは、スポーツと食と文化をつなげたいという進路に向かっています。スポーツの記憶を食とセットにすることで、より楽しい思い出に変えられたらと思っています。
私が子どもの頃に出ていた試合では、出場すると紅白饅頭をもらえました。試合自体は嫌いでしたが、それが嬉しい記憶となり、いまだにこの思い出は色あせていません。
現在、地元の石川県で開催する松本薫杯という小学生の柔道大会には、私の会社のアイスクリームを提供させてもらっています。子どもたちには試合を頑張り、おいしいアイスクリームを食べて笑顔で帰ってほしい、そんな気持ちでいます。将来的に、このアイスクリームを世界各国の人にも届けたいというのが、今の夢ですね。
一貫性や具体性が選考突破のカギとなる
松本さんのように自分のやりたいことや目標が、自身の経験に基づいたものであれば、一貫性や具体性を帯びてくる。エントリーシートや面接で伝える志望動機、学生時代に力を入れたこと、自己PRなどでは、そうした点に注意してみよう。企業はその内容から、学生の就業に対する意欲や業務における目標を見極めようとしている。自己分析の中で、きちんと過去を振り返り、言葉に嘘のないように心掛けよう。
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