教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

準備と経験を重ねれば
常に平常心を持てるようになる
卓球経験者である両親のもとに生まれ、5歳のときに父親が代表を務める豊田町卓球スポーツ少年団(静岡県磐田市)の1期生として卓球を始めた水谷隼さん。そこから、みるみる頭角を現し、14歳という若さでのドイツへの単身留学を経て、全日本卓球選手権ジュニアの部で史上最年少優勝。その後、中国、ロシアと新しい環境に飛び込み、めきめき力をつけ、4度の五輪に出場し日本卓球史上初の金メダルを獲得。新しい環境に踏み出した覚悟や慣れない土地での不自由さの解消法、困難なときの乗り越え方、常に実力を発揮する方法など、水谷さんが向き合ってきたさまざまな経験をお話しいただきました。


水谷 隼さん
Jun Mizutani
卓球/元プロ卓球選手
“かっこいい”という思いだけで不安を払拭
中学2年生のとき、日本のジュニアナショナルチームのコーチからドイツ留学のオファーを受けました。そのときは不安以上に、海外でチャレンジしたい気持ちが大きかったため、ほとんど迷うことなく留学を決意しました。
当時は日本の卓球もまだ世界レベルでの実績が少なく「このままでは強くなれない」「もっと強くなって世界で勝ちたい」と考えて新しい環境に飛び込むことを決めたのです。
とはいえ「五輪でメダルを取りたい」といった具体的な目標よりも、先に留学をした先輩たちが親元を離れ、海外で生活しながらプロリーグで試合をする姿に憧れる気持ちの方が強く、「海外でチャレンジする」というかっこよさが大きなモチベーションだったと思います。

苦難を抱えたときこそ目標を明確に
ところが、実際にドイツに渡ると、言葉も通じないし、食事は最低限のもので外食ばかり。身体が資本となるアスリートの生活と言えるものではありませんでした。
今のようにスマホもなく、何か1つ調べるにしても、とても不便な生活でした。その上、1LDKの部屋で日本人選手4人が共同生活をする暮らし。
自分は、4人の中で一番年下だったので入浴や洗濯などの順番も最後でしたし、先輩に気を遣いながらの毎日は中学生年代としては相当しんどかったです。
ストレスが多い留学生活でしたが、それでもモチベーションを下げずに競技に集中できたのは、「毎月更新される世界ランキングを上げる」という明確な目標があったからです。
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1
自分がやりたい仕事や志望先などの目標を明確にする
モチベーションが下がっているときは、失敗に対する不安や環境面への不満などネガティブな要素に目が行きがちです。そのようなときは原点に立ち返ることが大切。何のために自分は努力するのか、どんな仕事に就きたいのか、その仕事に就いたら何をしたいのか、自分の目標が明確になればモチベーションも湧いてくる。
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2
就活準備に取り組む他の学生と話をして情報共有する
就職活動を頑張っている他の学生と、近況報告をかねて、自分の現状を話してみよう。人に話すことで自分を客観視でき、今の自分に何が足りないのか、どんなことをすべきかが見えてくる。また、一生懸命に取り組んでいる友人がいれば刺激にもなる。
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3
企業で働く社会人の先輩に話を聞く
実際に働いている先輩に話を聞き、自分が社会人になった姿を想像してみよう。どんなやりがいを感じているのか、何が楽しいのか、想像していた社会人像とはギャップがあるのかなどを聞いて参考にしよう。
就活準備においてモチベーションを高める方法
「コミュニケーション=フレンドリーになること」ではない
ドイツ留学でまず直面したのは「言葉の壁」でした。自分の考えていることが言葉にできず、上手にコミュニケーションが取れないストレスは相当なものだったと思います。

当時、自分にとっての最優先事項は「卓球がうまくなること」でした。弱い選手のままでは何を言っても聞く耳を持ってもらえないので、まずは自分が卓球で強くなって自信を持ちコミュニケーションできるようになろうと考えたのです。
面接やグループディスカッションにおける
コミュニケーションのポイント
分かりやすく
伝える力
自分の意思や気持ちを言語化して、専門用語などの難しい言葉ではなく、分かりやすく伝えることが大切。
相手の話を聞く
姿勢・理解する力
ただ話を聞くということではなく、相手の話の背景には何があるのか、どのような感情であるのかを想像して理解する。
空気を読む力
コミュニケーションを取る中で、話をする相手が伝えたいことに対して、自分はどんな態度を示すべきかを感じ取る。
日本と海外、両方を知ることは大きな収穫に
ドイツ留学を経験して良かったことは、卓球における日本とドイツのやり方を知ったことです。これは「どちらがいいか」ということではなく、「どれが自分に合っているか」という選択肢を増やす意味で収穫でした。
日本のチームは規律に厳しく、練習時間も長い。時間厳守で皆が同じ行動をすることでチームの統率を図っています。一方、ドイツを含めた海外のチームは、選手が集合時間に遅れてくることもあり、自分のタイミングで練習に取り組んでいます。練習内容も皆で同じものをこなすのではなく、個々にメニューが組まれ、それぞれが自分の長所や短所と向き合いながら練習をするため、“個”が重要視されます。
日本とドイツの違いを知ることで、自分の中に選択肢が増え、卓球に向き合う最善の方法を見つけられました。こうした考え方は就活準備に取り組む学生にも共通しているでしょう。自分にはどういう仕事、環境、業種が合っているか、インターンシップ&キャリアなどの機会を活用していろいろな業界にチャレンジすれば、自分の選択肢も増えるので、その中で優先順位を決めていけばいいと思います。
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