教えて!
「仕事」と「スポーツ」の
関係

体育会系と自分の競技ならではの
2つの強みがある
やり切る力は体育会系学生の共通の強み
どんなスポーツであれ、長年、取り組んできた人は粘り強さや負けても食らいつく性質、1つのことにまっすぐに向き合える性質を持っていると思います。
毎日同じような練習をしていたら、飽きてしまうのが普通です。それでも勝つためには、ブレずに練習を続け、投げ出さず、どうしたら勝てるのかを考え、軌道修正をしながら競技や練習に向き合う必要があるという、スポーツならではの経験がそうした性質を育んでいるからでしょう。これは一朝一夕に身につけられる長所ではなく、長年続けてきたからこその強みです。

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体育会系学生向け 自己PRかんたん作成術自分が取り組む競技での強みは自分を語る上で最強
体育会系学生の強みはたくさんあります。スポーツ全般にいえることもありますが、競技の特性によってもそれぞれ違いがあると思います。
例えば、チームスポーツであるラグビーはよく営業に向いているといわれます。チームでしっかりコミュニケーションを取り、相手の出方に合わせて、強固な連携を築いていくのがこのスポーツの特徴だからだと思います。
卓球のような対人スポーツであれば、相手が嫌なことはどんなことなのか、相手がしたいことは何かと、いち早く相手の気持ちを察する能力に長けていると思います。
競技ごとに特性があるので磨かれる強みもそれぞれ。自分が取り組んできた競技ならではの特長を、強みとして自己PRなどのエピソードに盛り込めると大きな武器になると思います。
スポーツを通じて得た
経験を生かす
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柔道・レスリング・ボクシング相手の動きを鋭く観察して分析し、瞬時に対応することが求められる競技。その場の雰囲気や相手の考えを読む力、それによって迅速に行動できる力を持っている。
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陸上(短距離)コンマ1秒を縮めるのに、何年も忍耐強く競技に向き合い、走るだけでなく筋トレなど多角的なトレーニングで向上を目指す競技。地道に努力ができ、さまざまな視点から物事を分析できる力、また本番で能力を発揮する強い集中力が備わっている。
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陸上(長距離)長時間、忍耐強く戦える力を持っている。また長時間の競技だからこそ、どこが自分の頑張りどころかの駆け引きもうまい。コツコツと仕事に向き合い、計画的に物事を進められる能力を持っている。
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バレー、バスケットボール、
サッカー個の技を磨くことを大切にしつつ、仲間をどう生かせば勝てるのか考えることを求められる競技。自己主張ばかりが強いのではなく、仲間の強みを生かすために、自分自身がどう動くのかが分かっていることは、社会に出てチームで動く仕事で大きな強みになる。 -
体操繰り返し技を磨き、できない理由やできた要因を常に分析することが求められる競技。さらに、それを試合までに間に合わせなくてはならない。物事を分析する力、ゴールに向かって照準を合わせる計画を立てる力に長けている。
難しいことは面白いことだと思い、どんどんチャレンジしてほしい
仕事には、多かれ少なかれ、難しさがつきまといます。ただ、それは挑戦しがいがあるということだと私は考えます。これはスポーツも同じ。
難しい技や自分には高すぎるかもしれない壁があっても、それに挑む努力をしてきたのが体育会系の学生。つらいと感じる状態を越えれば、それ以上の「楽しい」や「うれしい」が待っていることも、よく知っているのではないでしょうか。つらい、苦しい、楽しい、うれしい、幸せなどと、感情が揺れ動く挑戦にどんどん飛び込んでいってほしいと思います。

水谷 隼(みずたに じゅん)
1989年生まれ、静岡県出身。両親の影響で5歳から卓球を始める。中学2年生のときにドイツ・ブンデスリーガへ卓球留学。2007年に当時史上最年少となる17歳で、全日本卓球選手権優勝。2019年に同大会において、前人未到の通算10回目の優勝を果たす。2008年から北京、ロンドン、リオデジャネイロ、東京と4大会連続で五輪出場。2016年のリオデジャネイロ五輪では、男子団体銀メダル、男女を通じて日本人初となるシングルスで銅メダルを獲得。2021年の東京五輪では、混合ダブルスで日本卓球史上初の金メダルを、男子団体では銅メダルを獲得。同年に現役を引退し、現在はタレント、スポーツキャスター、卓球解説、講演活動、卓球イベントなど多方面で活動中。

今回の教訓
新しい挑戦や環境などは常に困難がつきもの。水谷さんのお話を基に、困難を乗り越え、新しい環境で自分らしさを失わない方法を考えてみよう。
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1
困難を抱えているときこそ目標を見失わない
困難を抱えた状況では、そればかりに気を取られてネガティブな感情になってしまう。だからこそ原点に返って「何のためにこの困難なことを乗り越えないといけないのか」など、今一度、自分の目標を思い出してみよう。
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2
常に平常心を心掛ける
平常心を持つことは簡単なようで案外難しい。何かの壁にぶつかったときは、とにかくもがき、力技で乗り越えようと肩に力が入ってしまう。そんなときこそ、いつも通りでいいと自分に言い聞かせるトレーニングをしよう。
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3
準備を怠らない
想定外のことが起こると動揺するのは誰でも同じ。その動揺の幅を小さくするためには準備を怠らないこと。どんなことが起こるのかを想定しながら準備をすると、さまざまな状況に対応できる力がつく。
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