

「ダシが利いてるね」。美味を堪能した褒め言葉にも使われる「出汁」とは、昆布や煮干し、かつお節の煮出し汁のこと。食材の旨みを活かし、味わいを一段と深くする「日本食の要」は、世界中のシェフからも注目の的だが、元々は関西が発祥の地だ。いや、出汁だけではない。「sake」の名で通用する日本酒や「粉もん」のお好み焼やたこ焼きなど、様々な日本の食文化が関西で誕生し、全国や世界へと広がりを見せている。
古来から、山・海・里の「旬の幸」に恵まれてきた関西。北前船で全国からも多彩な食材が集まるようになった江戸時代、その食文化はさらに大輪の花を咲かせていく。戦後も食文化の西洋化に即応した関西の食品メーカーは、特徴ある新製品を次々と世に送り出し、多くのロングセラー商品を誕生させてきた。全国屈指の「味にうるさい(厳しい)」消費者に鍛えられながら、いつの時代も「おいしさ」を発信し続ける関西には今も、伝統と革新にしのぎを削る「食の担い手」たちがいる。