独自の集中戦略で、IT業界の中での存在感を際立たせる 日本事務処理サービス株式会社代表取締役 山下久雄 食品メーカーを経て、1997年に入社。当初は開発の現場を知るために一般社員として従事。代表取締役に就任後、従来の基幹システム運用業務から事業拡大し、Webシステム開発業務に新たな道を拓く。社内から賛同者を募り、お互いに知識や技術を習得しながらの新規事業スタートであった。メーカー時代に培ったマーケティングの経験を生かし、「小さな会社」ならではの集中戦略として、特化した分野でのシステム開発、及び、新規開拓よりも長期的視野に立った顧客アプローチというスタンスで事業を推進。かたくなに守り続けるそのスタイルが、今や紛れもなく同社の強みとなっている。

マイナビ掲載ページ

技術偏重型ではない、顧客志向の人間力向上こそが全員の共通認識

代表取締役 山下久雄当社は1988年創業にて今年で27年目を迎えます。四半世紀超ということでソフトウェア・情報処理サービス業界の中では結構「老舗」の部類に入るかもしれませんね。
私が経営に関与しはじめた頃、色々と野望はあったものの、生活を営む人の集合体である会社はまず「継続企業(ゴーイング・コンサーン)」であるべきだと考え、世の中における当社の存在意義をマーケティング思考で追求してきたつもりです。つまり、ソフトウェア・情報処理サービス業界で常に社会に必要とされる確固たる存在を目指すために、フルラインのITサービスを出来るだけ多くの顧客に提供しようとするスタンスではなく、経営資源を特定分野業務に集中させ、一定顧客の支持を得ようとする所謂「セグメント戦略」をとってきました。それが業務分野でいえば創業以来続く企業向けの「基幹システム運用」と、ここ10年程の「業務系Webシステム開発」の2つの業務です。
またお取引先もむやみに拡大はせず、一度ここと決めた顧客には長期的視点でアプローチをし、信用・信頼を獲得していくことに注力しています。結局はとてもシンプルな経営形態だと思います。

しかし、以上の舵取りをしても、業務の実践は社員一人ひとりにかかっています。一般的には技術系の会社と言われますが、私にはそのような意識はほとんどありません。決して技術偏重型にはならず、古参から若手まで社員全員が「顧客志向」の考えのもとここまで頑張ってきてくれています。技術は一つのツールに過ぎないという考えで、総合的な知見を備えたバランスがとれた人としての魅力を磨き、それを大きな付加価値として顧客と真摯に向き合い、会社も社員も常に成長していきたいと考えています。

BtoC分野を視野に、新たな事業展開を図っていく

代表取締役 山下久雄この先、日本はますます少子高齢化が進行し、労働力人口が減少していくことになります。そういった時代に業務を滞りなく遂行していくには、やはり一層のIT化は必要となってくるでしょう。現代の高齢者層はコンピュータになじみのない人が多いけれど、10年20年先、今の現役世代が高齢者になる頃は、コンピュータに対するニーズや、コンピュータを介してのつながりは、社会的にも増えていく。そんな中で当社としては、BtoC分野に本格的に踏み出したいと考えています。 もちろん既存の業務を堅調に伸ばしていくことは必要です。既存業務はBtoB、企業向けサービスとしてしっかりと地固めをしながら、プラスαとして一般消費者向けのサービスを確立したい。そこで何を消費者に提供していくのか、そのアイデアを出すのが難しいところ。現在も試行錯誤している最中です。

現在は最大公約数のユーザーに向けたtwitterやfacebookなどが支持されていますが、当社が目指すのはそうした大きな層ではありません。ある程度ターゲットを絞り込み、マーケティングリサーチをして企画を立案し、仮説を立てて実行・検証するといったRPDCサイクルを回しながら、新しい個人向けのWebサービスを模索していこうと考えます。そしてその事業を担うのは若い感性を持った社員たちです。若い人たちに求めるものは、まずは人間的魅力、対人関係を構築するスキル、次いでITの技術力。そして今やっている業務をきっちりやり遂げること。そこに変わりはありません。その上で、創造力を発揮してプランニングをやってみたいという人は、新事業に投入していきたいと思います。

学生へのメッセージ

この仕事は自分に向いている・向いていない、という基準で判断する人が多いと思いますが、大変もったいないと感じています。学生の皆さんには、簡単に自分の適性を決め込まないでほしいですね。 例えばIT業界に興味はあるけれど、プログラムは難しそう、技術的なことはできないかも…そうした先入観を抱いてしまうことは本当にもったいない。逆に、向いてなさそうだからこそ新しい自分を開拓してみよう、もしかしたらそこに自分の能力を発揮できる舞台があるかもしれない、そう前向きに考えて、少しでも興味があるのならぜひトライしてほしいと思います。 実際に、当社にもそういった社員がいます。文学部出身の彼女は小説を書くのが好きで、ネットで公開するなどWebに興味がありました。だけど就職となると無理かもしれない、そんな壁を持ちながらも当社の採用試験を受けたのです。話してみると、しっかりとした論理的思考力を持っていました。結果、入社に至り、今では食品メーカーを担当するSEとして大活躍しています。 どうか自分の可能性を閉じこめず、興味があればドアを叩いてみてください。本当の適性が花開くことが、往々にしてあるものです。

一覧へ戻る

前のインタビューを読む

次のインタビューを読む