一般財団法人 材料科学技術振興財団（MST）

私はLC/MS（液体クロマトグラフィー質量分析法）を用いて液体サンプル中の有機成分を定性する仕事を行っています。有機成分と聞くと食品や植物の抽出物などを分析しているのかと思うかもしれませんが、その他にも、黄変してしまった布から黄変成分を抽出して原因を調べてほしい、試薬が劣化して物性が変化してしまったので新品と比較して原因を調べてほしい、プラスチック製品中に含まれる添加剤を調査して欲しいなど、様々な依頼を頂きます。そのため、測定対象となる成分もとても幅広いです。具体的な仕事の流れとしては、1)サンプル前処理(サンプルが固体である場合、目的の成分に応じて抽出方法を検討する)　2)測定(目的の成分に応じて適した測定条件で測定を行う)　3)解析(取得したデータを確認し、定性分析を行う)　4)結果の報告(お客様の目的に沿ってデータをまとめる。必要があれば打合せ)　となります。案件の担当となったら、依頼を受けてから測定、報告までを一貫して行います。

MSTの分析、特に有機の分析では食品系から化学製品、工業製品まで多種多様なサンプルを頂きます。そのため、分析経験のないサンプルを扱うこともよくあります。その度に文献などで調査を行い勉強することで、知らなかった分野の知識が身についていくことが楽しいです。また世の中の有機化合物の種類は無限ではないかと思うほど多く存在します。その中で成分を特定することはとても難しく、何時間も悩むこともありますが、自分が取得したデータでお客様の問題を解決できた時に大きなやりがいを感じます。

私が就職活動を行っていた時、仕事内容と並んで重要視していたのが職場の雰囲気でした。インターンシップの座談会で話した先輩や採用担当の方がとてもフレンドリーで困ったことがあっても相談しやすかったですし、MSTの雰囲気が自分に合っていると感じました。そして今でも、この時の自分の感覚は間違っていなかったなと思います。仕事で大変なことはもちろん多々ありますが、先輩や上司は親身になって相談にのってくれるので、個人的にはとても働きやすい環境であると思っています。

会社近くの寮に住んでいますが、家賃が安いため入団当時のお金のない時期はとても助かりましたし、毎月貯金もできています。また、会社から近い場所にあるので通勤時間を短縮できるだけでなく、混雑した電車やバスで疲れてしまうことはありません。本を読んだり音楽を聴いたりと趣味の時間も持てますし、朝の時間に余裕があるので十分な睡眠時間も確保できています。コロナ禍になる前は同期とクリスマスパーティーを開催したり、先輩とご飯を食べに行ったりしていました。同僚と気軽に交流を深められたのが嬉しいポイントでした。

学生時代の私にとって社会人はできればなりたくない存在でした。しかし今は、仕事内容は興味深く、新しいことを学ぶ楽しさを感じながら仕事をしています。また、交友関係も広がり、休日も含めて充実した毎日を過ごしています。もちろん大変なこともありますが、乗り越えた時には成長したな！という達成感も得られています。いろんな職種に興味をもって、自分が働いている姿をイメージして、仕事内容に興味が持てるか？やりがいを感じられそうか？ということを考えてみるといいと思います。納得のいく就活ができるよう、応援しています。