最終更新日:2025/5/8

一般財団法人 材料科学技術振興財団(MST)

  • 正社員

業種

  • 財団・社団・その他団体
  • サービス(その他)
  • 化学
  • シンクタンク・マーケティング・調査
  • 半導体・電子・電気機器

基本情報

本社
東京都
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  • 5年目以内
  • 化学系
  • 技術・研究系

理論計算から「見えない」物性を見る

  • K.K
  • 2023年入団
  • 東京大学大学院 
  • 理学系研究科 化学専攻 卒業
  • 分析評価部ISG/OFMG
  • 計算シミュレーション担当

就職活動について

選考を受けた主な業界
  • 化学・石油
  • 鉄鋼・金属・鉱業
  • 官公庁・公社・団体

会社・仕事について

ワークスタイル
  • 最先端技術に触れる仕事
  • 高品質・高性能にこだわる仕事
  • チームワークを活かす仕事
現在の仕事
  • 部署名分析評価部ISG/OFMG

  • 勤務地東京都

  • 仕事内容計算シミュレーション担当

これまでの経験

会員限定コンテンツ

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1日のスケジュール
8:40~

出勤。メールチェックや、前日からの計算ジョブの結果確認、やることや連絡事項の確認。

9:00~

計算結果を受けた次の計算入力ファイル作成や実行、文献調査、資料作成、プログラミングetc.

10:00~

お客様とのWeb打ち合わせ

12:30~

昼休憩、昼食

13:30~

チーム内の打合せ
計算やプログラミングの続き

16:00~

退勤までにやることの確認と、不在中に走らせておく計算インプットの準備

18:30~

一日最後の計算投入、メールチェック、退勤

量子化学計算と分子動力学法計算から化学特性に迫る

計算シミュレーションの部門では、大規模な並列計算機を駆使し、計算科学手法によって実測データを解析したり、実測が困難な物性の予測を行うことを主な業務としています。
私は現在、シュレーディンガー方程式の求解を行い、電子構造に支配される物性値を予測する量子化学計算と、古典力学的に原子の運動を計算して熱・統計力学的な物性値などを予測する分子動力学計算に取り組んでいます。例えば、化学結合エネルギーの定量評価や分光学的なスペクトルの計算を行う際には量子化学計算を用います。これはXPSなどの分光分析データの予測などに活用できます。また、物質の相転移や多数分子の化学反応シミュレーションを行う際には分子動力学計算を用います。化学反応プロセスの予測に活用することで、お客様の効率的な研究開発を後押しすることができます。
ご依頼は類似文献が少ない特殊な内容も多く、計算そのもののみならず文献調査や出力結果の解析・考察、報告書作成、お客様とのディスカッションも行っています。


領域横断

現在の仕事の面白いと感じるところは、分野の枠にとらわれず、様々な材料・物性を扱い、バーチャルに試行錯誤できるところです。
MSTでは、幅広い分野のお客様から問い合わせをいただきます。それゆえ、部署にもよりますが世間一般のR&Dと異なり、限られた製品分野の限られたテーマをひたすら追求するというよりも、製品分野、素材分野に応じた分析手法の適用可能性を追求していくことになります。MSTでは、扱う素材や分析目的、解析する物性も様々なため、それぞれの課題ごとに適切な方法を選ぶことが重要なポイントです。そのための基礎となる知識が必要で、文献調査などを通して常に学びながら業務に取り組んでいます。
計算シミュレーションは一見コンピュータに向かい合うばかりに見えるかもしれませんが、妥当な手法を見極めてやりきること、そして考えて結論を導くということにやりがいを感じています。シミュレーションは、実測に比べ試行錯誤することも沢山あります。難しいことも多くありますが、一方で興味が尽きることはありません。知的好奇心を刺激される仕事ではないでしょうか。


プログラミングをゼロから覚え、解析コードを書く

学生時代はほとんど取り扱っていなかったプログラミングを覚え、データ・計算結果の処理や数理最適化を行うプログラムなどを作成したことは、成長を実感したことの一つです。
チーム内での前例もない内容に着手したときは「本当に自分にできるんだろうか」と不安や戸惑いもありましたが、≪課題を分割して実現できる内容に帰着して計画的に進める≫≪後からの整備性も考えつつ確実に動くコードを組み合わせる≫≪自信のないものは出力既知の入力を与えチェックする≫といった過程を通して期間内にやりきりました。このような経験を通してプログラミングへの理解度や、初見の課題に対応する自信も高まり、数々の教訓も得ました。他のチームメンバーとも協力してプログラムを作成した経験から、他の人が確認しやすいように仕事をする(コードを書く)、何より1か月後の自分が見て戸惑わないように整理するといった、仕事全般に共通する学びも得ることができました。


確かな根拠を持つ

計算シミュレーションの性質、また、細かい手法選択という意味でも、根拠を持って実行し、その判断を後から確認できる形で残すことが重要だと考えています。
機器による実測であれば、出力された値は少なくとも「物理現象としては」真実です。(もちろん、条件設定の妥当性や不確かさ等がありますので、「得たい値」として確からしいか?は議論の余地があります。)一方、計算シミュレーションにおいては大半の場合インプットを設定した時点で(真の結果は未知であるとはいえ)、本質的には結果が決まります。誤ったインプットを与えれば非物理的、要は現実においてはあり得ない値が得られる場合があるのが怖いところです。従って、基本原理や文献の記述と照らしながら結果の妥当性とその確からしさを確認し、後の検証、再計算、お客様への報告などのプロセスで適切に対応できるよう、記録を残すことが大事だと思います。また、うまくいかない計算やプログラミングなどで、闇雲に手法を選択したり、また安易に放棄したりすると泥沼にはまります。計算を進める上での思考プロセスをを後から確認できる形で残すことも、色々な仕事において大事なことだと感じています。


受託分析という仕事もある

就職活動は様々な意味で迷うこと、悩むことが多いとは思いますが、案外それまで知らなかった企業について知ることもあります。実際、企業相手に事業を展開するBtoB企業の方が、一般顧客相手のBtoC企業よりも多いと言われています。柔軟に検討してみると良いかと思います。
また、学生時代の勉強というのは、思っていた以上に就職してからも重要だと実感しています。自分の研究内容とまったく同じような仕事をするということはどこの企業に行ってもあまりなく、大抵はそれなりに違う内容をすることにはなりますが、私の場合、研究において取り扱った機器分析が現在の仕事で実測部門との共同の案件で役に立ったり、また計算機での計算の事前事後の考察に大学院までに学んだ化学、物理学、数学の知見、考え方を活用するなど、結構大学、大学院での経験を活かす場所はあります。
個人的な感覚ですが、興味の幅が広い人にとっては様々なお客様からの課題に向き合うMSTでの受託分析という仕事はやりがいが高いように感じます。


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