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最終更新日:2025/2/12
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部署名ビジネスエンジニアリング本部
私は現在、大手消費財メーカーA社の商品企画業務改革プロジェクトを担当しています。企業にとって商品は、売上を計上して存続するための唯一の手段であり、社会に価値を実現する唯一の手段です。その商品を新たに生み出す商品企画業務は、企業の存続・拡大にとって未来を決する重要な仕事です。
一般に商品企画の仕事は、少数精鋭のチームを組み、様々な関係者と知見を交換しながら新たなアイディアを生み出す、自由でクリエイティブな仕事というイメージを持たれています。しかし実際には、商品企画には大変多くの乗り越えるべき制約があります。一人ひとりのクリエイターが約半年という期間で数十の商品を担当し、高いブランドイメージ・デザイン性・機能性を追求しつつ、耐久性や安全性も追求し、量産品としての規格化も実現しなければならない。当然、コストの制約もある。これらの制約を乗り越え、新たな商品を生み出す為に、当の商品企画部門はもとより、営業、製造技術部門、資材開発・調達部門、生産管理部門など様々な部門が関わって構想・試作・試験を繰り返す、大変難しい仕事です。
このような難しさに対し、A社は試行錯誤を経て、組織体制・役割分担・スケジュール・会議体・業務プロセス・情報システム等、「仕事の仕組み」を精緻に作りこんできました。この仕組みがA社の商品を生み出す力の源・基盤となっています。質の高い商品を武器に市場を拡大し、新たなブランド・販売形態等を追加していく過程で、さらにこの業務の仕組みを拡充させてきました。しかし、この拡充の過程で、力の源である仕組みが新たな発展の阻害・制約となっていきます。各ブランドの特性に応じて構築された業務プロセスと情報システムが、高度に整備され続けた結果、業務に関する考え方や手順、あるいは、用語がブランド別に独自の進化を遂げます。ブランドを超えた人材交流はほぼ不可能になり、情報交換も限定的になりました。それと共に、企画部門の社員全体に、責任範囲を限定する思考習慣がいつの間にか身についてしまっていました。A社は無自覚のうちに、少しずつ商品企画の力、特に新たな情報を組織で生み出す力を落としています。改革せねばならない状況です。
改革の狙いは、「組織思考力の向上」です。人間で言えば、脳神経系に相当する「情報を行き渡らせる仕組み」を築き、情報が組織全体に行き渡るようにすること。更には無自覚的な思考の枠組み(当然と思い込んでいる思考の前提)を取り払い、飛び交う情報を豊かに・質高くする事で新たな情報が生まれる状態をつくる事です。
この商品企画業務改革プロジェクトの中で、これまで様々な活動を進めてきています。業務の全体把握に始まり、関係部門間での業務の意味の問い直しとプロセスの見直し、業務上扱う用語や情報の統合と情報システムの統合、といった様々な活動を進めてきています。これらを推進する過程で、商品企画にかかわる様々な方々に直接働きかけ、変化させる事が重要となります。各部門の責任範囲を広げ「新たな商品を生み出す」という目的に向け、必要な情報は何でも発信・共有しようとする。動きや情報を重ねていこうとする。客観的根拠のない情報も検討の俎上に載せる。議論を前に進めるリーダーシップを全員・全部門が発揮する。長らく生産性向上に取り組んできたこのメーカーの中に、一見無駄とも見える情報の重ね合いを仕事場面のいたるところに生んでいくことによって、商品企画に新たな風を吹き込んでいます。