銀行・証券(都銀)業界の「現在」と「未来」
4メガバンク体制に。日銀は都銀を5行に分類
都市銀行(都銀)とは、大都市に本店を置いて全国展開している銀行を指し、このうち特に大規模な都銀をメガバンクと称し、現在4グループある。
都銀はピーク時には15行あったが、バブル経済崩壊に伴う不良債権問題などにより、現在の4メガバンクに再編された。日本銀行の定義は、3メガバンクにりそな銀行、埼玉りそな銀行を加えて5行を都銀に分類。さらに、ゆうちょ銀行、かつての長期信用銀行から転じた新生銀行、あおぞら銀行を都銀に含めることもある。
2020年度の貸出金5.3%増。店舗、ATMは削減方針
全国銀行協会によると、2020年度の都銀の貸出金は前年度より10兆8,126億円、5.3%増加した。ただ、貸出金拡大に伴い、融資先の倒産などに備えた与信関係費用が大幅に増え、利益の圧迫要因ともなっている。
デジタル化への対応も課題だ。インターネットバンキングの普及により、振り込みや入金手続きなどはネット経由が増加。これに伴い、支店やATMの運用コスト負担が相対的に上昇している。このため、店舗やATMの削減や、資産運用などの相談窓口を中心にした小型店舗化などの方針が打ち出されている。
フィンテック対応進む。カギ握るオープンAPI
フィンテックへの対応も課題だ。フィンテックとは金融と技術を組み合わせた造語。すでに銀行口座と連動した家計簿アプリやITを駆使した資産運用、モバイル決済端末などのサービスが登場している。これらのサービスには外部のIT事業者との連携が必要で、カギとなるのがオープンAPI。銀行がシステムへの接続仕様を外部事業者に公開して新たなサービスを開発する。オープンAPIを利用する決済代行業者は登録制で、顧客のIDやパスワードを預けることなくサービスを実現できるため、今後も新サービスが増えそうだ。