兄の学校見学について行ったことがきっかけで、高橋さんは小山工業高等専門学校に進学。物質工学科で床ずれ防止に役立つ摩擦の研究に携わりながら、さまざまな課外活動を通して人間的にも大きく成長できたようです。「高専生の就職活動は特殊なので、有益な情報を得ることが難しかった」と振り返りながらも、早い段階から先生と二人三脚で準備を進めてきたおかげで、第一志望の会社の内定を獲得しました。そんな高橋さんに、就職活動当時のことを振り返ってもらいました。
内定者インタビュー Vol.01

小山工業高等専門学校
物質工学科
高橋 美羽さん
在学中に一番力を入れていたことは何ですか?

もっとも力を入れていたのは、課外活動です。部活動では、ハンドベル部に所属していました。先輩が少なかったこともあり、2年生の頃から部活動の運営、演奏会や合宿の企画、定期演奏会のスポンサー集めなど、責任ある業務をたくさん経験することができました。うれしかったのは、自ら企画書を作成し、プレゼンを行って、スポンサーを獲得できたこと。大きな達成感を味わうことができました。
化学専門委員会にも所属し、博物館などに出向いて子ども向けの実験を催したり、学校祭で披露する実験企画にも参加しました。そのほか、地域の小・中学生の学習を支援する、ボランティア活動にも力を注ぎました。
さまざまな環境で、幅広い年代の方々と関わることができたおかげで、コミュニケーションスキルがグンとアップしたと感じています。また、率先していろいろなことに挑戦することで、積極性や行動力も身につけることができました。こうした経験は、就職活動の自己アピールにもしっかり生かすことができました。
就職活動を振り返ってみて、どうでしたか?
計画的に行動し、早くから準備を行っていたため、順調に進めることができたと思います。スムーズに就職活動を進めるうえでありがたかったのは、先生の存在でした。スケジュールの立て方からそれぞれのフェーズでやるべきこと、履歴書の書き方、面接対策まで、多くの先輩たちの就職活動をサポートしてきた先生のアドバイスはとても役立ちました。
私が志望企業を選ぶ際に重視したのは、化学の力で人々の暮らしを豊かにする、身近な製品づくりに携われる会社であるか、ということです。最初は業界を絞らずに、化学メーカーから製薬会社、化粧品メーカーまで、幅広く企業研究を進めました。
社風や職場の雰囲気も、重視したことのひとつです。質問に対する社員のリアクションだけでなく、先輩と後輩の社員同士のやりとりがどのように行われているのかなども確認していました。後輩が気兼ねなく先輩に話しかけている様子を見ると、風通しのよさそうな会社だなと感じました。
就職活動中につらかったことは何ですか?

就職活動の情報の多くが大学生向けで、アクションが取りづらかったことです。説明会に参加していいのか迷った末、参加を諦めたこともありました。そんな中、高専生の求人ニーズを知るために行ったのが、就活サイトに掲載されている社員の出身校をチェックすることです。インタビュー記事に、高専出身の人が掲載されているかどうかも判断材料になりました。
苦労したのは、複数の会社にエントリーした際にそれぞれの会社に合った自己アピール文をつくることでした。しかし先生のアドバイスをもとに、最初にアピールポイントとそれを裏付けるエピソードをたくさん書き出し、エントリーした会社が求める人物像や社風に合った内容を組み合わせてセレクトするという方法で書き分けることができました。
また、先生に勧められて自由記述の項目が多いタイプの履歴書を活用しました。アピールしたいことをしっかりと書き込むことができ、面接の際には履歴書の内容について企業から高評価をもらうことができました。
入社予定の企業を選んだ決め手は?
内定をいただいた会社のどんな製品にも欠かせない、色に関する事業を展開している点に魅力を感じました。企業研究を進めていく中で驚いたのは、インクや塗料だけではなく、例えば私も知っている冷凍食品のパッケージの着色にもその会社の技術が生かされていたことです。暮らしの身近なところで活躍している会社だったので、志望意欲がさらに高まりました。
コロナ禍の影響でインターンシップはオンライン開催でしたが、製造の流れを動画で丁寧に紹介してくれるなど、仕事の流れをしっかり理解できたことも決め手のひとつです。この会社でなら、学校で学んできた化学の知識を生かして働くことができそうだと感じました。
また、学校のOB・OGをはじめ、多くの社員の方々と触れ合えたのもポイントです。出会った人すべてが、仕事に誇りを持って生き生きと働いている姿を見て、この会社の一員として働きたいという気持ちが高まりました。
後輩に向けてメッセージをお願いします

就職活動では、まずは自分が楽しいと思えることや、やりたい仕事を見つけることが大事です。最初は無理に志望業界を狭めるのではなく、いろいろな会社のインターンシップや説明会に参加して、なるべく多くの“興味の芽”を見つけていきましょう。
目指すべき道が定まれば、その業界や会社についてしっかり情報収集を行っていってください。また、早い段階で先生や先輩に相談することが大事です。経験豊富な方々からのリアルなアドバイスは、本当に役立ちました。
就職活動を振り返って反省しているのは、自分からもっと企業にアプローチすればよかったな、ということです。「高専生の採用は行っていますか」「高専生ですが大学生向けの説明会に参加してもいいですか」など、率先して質問すればもっと積極性をアピールできたかなと思っています。「こんなことを聞いてもいいのかな」と尻込みせずに、疑問に思ったことは企業に遠慮なく質問してみるといいですよ。
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