グッドデザイン賞

先輩たちの就活体験記

「競技」か「就職」か
その二者択一から始まった新たな挑戦

2020年入社

ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 CSR本部

鎌田 美希さん

  • 両下腿欠損
鎌田さんの写真
就活データのアイコン 就活データ
  • 説明会参加:約15社
  • エントリー:約10社
  • 面接:約5社
面接で実際に聞かれた質問のアイコン 面接で実際に聞かれた質問
  • 学生時代の活動(特に取り組んでいたパラ水泳について)
  • 志望理由
  • 必要なサポート
  • 入社してやってみたいこと

どのような就職活動をされましたか?

大学3年生の3月に参加した合同説明会への参加が就活のスタートでした。遅めのスタートとなった理由は、当時はパラ水泳に集中していたからです。「2019ジャパンパラ水泳競技大会」では、背泳ぎと平泳ぎの2種目で日本新記録を樹立するほど、競技に打ち込んでいました。
大学を卒業後は、アスリートと社会人の二足のわらじを履く道もあったのですが、私は「競技」か「就職」かの二者択一に絞りました。自分の中では「やり切った」と思えたのもありますし、朝起きてトレーニングして水泳の練習をして、というそれまでの日常とはまったく違う別の世界を知りたい気持ちもあったからです。

その後、今まで訪れたことのなかった学内の障がい学生支援室に行ってみたのですが、自分にフィットする仕事のイメージがなかなか湧きづらく、自ら積極的に動いてみることにしました。そこで3年生の3月にマイナビの障がいがある学生のための合同説明会に参加し、就活生としてのスイッチが入りました。実際に説明会では企業の人事担当者とよく話をして、想像以上に自分にもできる仕事や環境がたくさんあるのだと驚きました。

鎌田さんの写真

苦労したこととしては、就活のフローが健常の学生と異なる場合がある点に戸惑ったことです。そのためなるべく多くの情報を得たかったのですが、水泳ばかりの日々を過ごしていたため、どこに行けば知りたい情報があるのかわかりませんでした。しかし前述の合同説明会に参加したり、その後も障がいがある学生向けの就活情報サイトを利用したりするうちに、「なるほど。こういう場所に情報が詰まっているんだな」とわかりました。

また、私は緊張するタイプなので面接には苦労しました。自分を良く見せなくてはダメだという変なスイッチが入ってしまいました。それを解きほぐしてくれたのは同じパラ水泳の仲間たちでした。「私たちは、水泳を通してインタビューを受けることには慣れている。だから、面接ではなくインタビューを受けていると思えばいい」とアドバイスをくれたのです。それによって、例えば大会で記録を出したときに、勝因や次の目標を聞かれて、自分の思いの丈を素直に話せたのと同じように、面接官たちはふるいにかける人ではなく、私の話を聞いてくれる人なんだと意識を変えることができました。

今の会社を選んだ理由を教えてください。

ソフトバンクに入社した決め手としては、やはり面接の際の印象です。他の企業では、最終面接にはスーツを着た、いかにも役員風の人が面接官をしていました。ところがソフトバンクの面接では、面接官にはフランクに接していただいて、私がパラ水泳の話をすると驚嘆の声が上がるようなリラックスできる雰囲気でした。
障がい者としてではなく、「スイマー鎌田 美希」について知りたいという、飾らない気持ちが伝わってきました。初めて参加した合同説明会でも、ソフトバンクの人事担当者と話をしたのですが、その時から印象はとても良かったです。一貫して学生の立場に立って対応してくれる企業だという印象と、社員の人柄と社内の雰囲気が自分と合う気がしたことが入社の理由です。

今はどのようなお仕事をされていますか。

現在は、CSRを担う部署で『スマートコーチ』というサービスの普及に取り組んでいます。地域によってはスポーツの指導者が不足しており、競技経験のない人が教えていることもあります。『スマートコーチ』とは、学習やスポーツに取り組むユーザーが、スマホやタブレットなどを使って、遠隔で専門のコーチに相談したり、動画添削による指導などを受けたりすることができるサービスです。例えば、著名な大会の100メートル走で優勝した専門コーチが、子どもたち向けに速く走るための「かけっこ診断」を実施したり、女性のユーザーに人気の本格的なヨガレッスンを行ったりしており、幅広い方々に利用されています。
私はこのサービスをより多くの人に知ってもらえるように、新しい企画を日々考えています。個人的には、今後はパラスポーツでもスマートコーチのようなICT(情報通信技術)を活用したサポートができればと考えています。

鎌田さんの写真

会社にはどのようなサポート体制がありますか。

私は生まれたときから両脚の膝から下がなく、社会人になる上で心配したのは満員電車での通勤でした。毎日、何十分も立ちっぱなしでは足に負担が掛かる恐れがありました。しかしコロナ禍で働き方が大きく変わり、現在は基本的に在宅での勤務になりました。出社の場合も時差出勤ができるなど、何かと融通が利くので助かっています。皆さんも、各企業の制度だったり、個人の状況や事情に寄り添ってどのくらい柔軟な対応をしてくれるのか、という点は確認した方がいいと思います。

ソフトバンクでは、障がいがある社員が多く活躍しています。聴覚障がいの人もいれば車椅子を使っている人もいます。外見からはわかりにくい内部障がいの人もいて、通院しながらしっかりと仕事の成果を出しています。またショートタイムワーク制度を活用する精神障がいがある方も働いていて、英語のプロフェッショナルとして翻訳作業を行い、多くの社員から頼りにされています。ソフトバンク社内では「障がいがあるから」という感覚は、本人も、周囲の人も、持っていないと思います。
皆さんが企業選びをする際も、「社員の一人一人が、最大限に活躍できる環境か」ということを見極められると良いのではないかと思います。

後輩たちへのメッセージ

鎌田さんの写真

障がい・健常を問わず、自分の思い通りにならないのが就活です。私も順風満帆だったわけではありません。ある企業の最終面接では「え? まさかの圧迫面接?」という場面があり、さすがにその日は帰宅後にぐったりと落ち込みました。それでも就活全体を振り返るとプラスになったことの方が多いと感じます。日頃は出会えない役職の人と話すことや、限られた期間の中で多種多様な企業を見ることができたこと。社会人になった今だからこそわかるのですが、これらはとても貴重なことです。だから前向きに楽しんだ人の方が勝ちです。
また自身の障がいについては「こういう工夫をすれば、この仕事はできると思います」と、「できないこと」ではなく、「できること」視点で話した方が、面接官にも一緒に働くイメージが伝わりやすいと思います。
就職活動で大変だと感じるときもあると思いますが、メリハリをつけて楽しんでください。皆さんが悔いのない就活ができるよう応援しています。

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