わたしの「トリセツ」を
つくろう!
入門編
あなたは⾃分の障がいや、必要となるサポートについて説明できますか?
ここでは、就職活動や社会に出てから必要となる、⾃分⾃⾝の「トリセツ」をつくってみましょう。
就職活動を始める前に、⾃分⾃⾝の障がいを⼀度振り返ってみて、説明できるか確認してみましょう。
自身の障がいについて考える
障がいについて考える理由
就職活動では、履歴書やエントリーシートなど、今までの⾃分のこと、これからの⾃分のことを書きます。⾯接になれば、書く機会から、話す機会に。これは、障がいのある学⽣にとっても例外ではありません。
ただ、障がいがあると、⾃分がどのような障がいなのか、どのようなサポートが必要なのか、どのような仕事はできそうか、難しそうかといった説明をする必要があります。学⽣の皆さんが企業を選ぶように、企業も皆さんのことを選ぶ立場にあります。
障がい者雇⽤では「⾃分の障がいを分かりやすく説明できているかどうか」は採⽤基準の⼀つとなっています。
また、社会に出て働き始めると、職場の仲間に自分の障がいについて伝える場面が出てきます。
自分の障がいを正しく知ってもらうことで、必要な配慮を受けやすくなり、あなたもチームの一員として力を発揮しやすくなります。これは、遠慮ではなくよりよい仕事をするための「準備」なのです。
考えておきたい5つの質問
Q1あなたの障がいについて教えてください
回答のポイント
- 障害者⼿帳・診断書に記載の病名を調べよう
- “初めて聞く⼈に⼀⾔で伝えるなら?”の視点で考えてみよう
- 日常の困りごとも書き出してみよう
これは就職活動で多く聞かれる質問です。まずは障害者⼿帳に記載されている「障がい名と等級」を答えられるようにしましょう。
ただ、障がい名と等級だけでは、どの程度なのか具体的にイメージできません。⾞いす・義⾜・⽩杖いった、⽇常⽣活で使っている補助具などの説明も加えられることが望ましいです。
また、障害の種類や特徴について、初めて聞く人にもわかるように一言添えると、より伝わりやすくなります。調べてみても言葉が思いつかない場合は、主治医へ「就職先にどのように説明すればいいですか?」と尋ねると、良いヒントがみつかるかもしれません。
回答例
筋緊張低下による【両下肢機能障害・体幹機能障害】(Ⅰ種1級)
全身の筋力が弱いことで、両方の脚と体幹に支障をきたします。手すりや支えがないと階段・段差の昇降が難しく、歩く速度も一般の方の5分の1程度です。現在は、独歩と車椅子を併用していますが、長距離移動でない限り独歩が基本です。
【双極性障害Ⅱ型】(2級)
躁状態の時には、ネットショッピングで過度に物を買ってしまったり、食べ過ぎ・飲み過ぎが起きたりします。鬱状態の時は無気力で、ベッドから起き上がれないこともしばしばあります。
【注意欠陥・多動性障害(ADHD)】(2級)
周りの状況や自分の疲れに気付かず、何かに没頭してしまうことがあります。過去には、結果的に疲労が激しく溜まってしまい、頭痛などの体調不良を引き起こすこともありました。
【知的障害】(判定区分:C)
人とのコミュニケーションは好きですが、会話の中で言葉に詰まったり、考えていることをすぐに言葉にできないことがあります。また、急いでいる時には、質問を誤って理解して、意図とは異なる回答をしてしまうこともあります。学生の頃には、一部の勉強で理解に時間がかかり、うまく学ぶことができませんでした。
Q2障がいが分かった時期や経緯を教えてください。
回答のポイント
- 障がいが分かった時期・状況・理由を簡潔にまとめよう
- 分からない場合は、家族や主治医に聞いてみよう
これも就職活動でよく聞かれる質問です。⽣まれつき障がいがある、事故や病気によるものなど、さまざまな経緯や理由があるでしょう。回答は⻑くても20秒ほどで説明できるよう準備しておきましょう。
ただ、精神障がいや内部障がいなど、障がいの種類によっては、回答が難しい場合もあります。その際は、「診断を受けて何年経ちます」など、事実をシンプルに伝える方法から始めても構いません。
これは、「障がいについて語ることがつらい」と感じる学生さんにも有効です。無理に詳しく説明しようとせず、事実ベースで簡潔にまとめることを目標にしましょう。
Q3障がいに対する工夫や、工夫を通して得られた気づきや強みはありますか?
回答のポイント
- 工夫を通して得られた気付きをまとめよう
- 仕事に繋がりそうな視点でポジティブに考えよう
企業は、障がいをきっかけにどのような学びや成長・気づきがあったのかを知りたいと考えています。困難を乗り越えた経験や工夫、前向きな適応力は、仕事に活かせる強みにもなるからです。
そのため、「できなくなったこと」以上に、「工夫している事」や「考え方の変化」を簡潔に示しましょう。例えば「体力に不安がある分、計画的に行動できるようになった」「一人でやりきる自信がないので、周囲に相談する力がついた」など、仕事に結びつく視点で前向きにまとめるのが効果的です。
回答例
幼少期から「自分でできることは自分で」という方針で育てられました。
おかげで、時間はかかりましたが歩行できるようになり、大学へも片道2時間半かけて通学しました。
一方で、アルバイト経験を通じて、自分が苦手なことを無理に一人で抱え込むよりも、仲間に頼ることでチーム全体がスムーズに回ることを学びました。
この経験から「全体最適」を意識し、状況に応じて協力や役割分担を提案できるようになりました。
定期の通院と服薬、規則正しく生活をして、睡眠時間をしっかりと確保すれば、ある程度メンタルは安定しています。
規則正しく生活をするためには事前の段取りを入念に行う必要があるため、時間配分やスケジュール管理が得意になりました。
忙しくて通院やお薬の処方が不定期になっていると、過度に集中してしまう場面が増えてしまいます。
ペースが乱れないようにするために、取り組むタスクや優先順位を書き出すことを習慣化することで、事前の準備と計画をする力が培われました。
言葉に詰まってしまったら、少し時間をもらいながらお話ししています。
曖昧なことを理解できないことがあるため、質問の意図を勘違いしてしまうこともありますが、そのぶん他人とは綿密なコミュニケーションをとり、気になったところは細部まで確認をするようになりました。
Q4働くうえでどのような影響がありますか。
回答のポイント
- 日常生活での困りごとが、仕事でどの程度影響するか想像してみよう
- 対応できることもセットで補足しよう
- アルバイトやインターンシップの経験を参考にしよう
これは「障がいがあるからできない」と思われがち、あるいは自分でもそのように考えがちな点を、きちんと補足して「できること」とセットで伝えるための質問です。自分自身の整理にも役立ちます。
例えば、下肢障がい(⾜が不⾃由)という⾔葉だけをみると、⾞いすに乗っている・歩けないというイメージをもたれやすいですが、実際は⾞いすに乗っていない⼈の⽅が多いですし、歩ける⼈もたくさんいます。
「障がい」という言葉だけで誤解されやすいからこそ、次のように説明できる準備をしましょう。
- 「障がいが理由で◯◯は難しいですが、それ以外の業務は問題なくできます」
- 「△△の障がいがありますが、いつも□□をするよう工夫しています。」
「できない」と思われていることに対して、前向きな補足をすることが、就職活動での大きな武器になります。
回答例
・長時間立ち続けることは難しいですが、30分程度でしたら問題ありません。それ以上の場合は、座らせて頂ければ問題なく継続できます。
・連続して5分以上歩くことが難しいため、適宜休憩を挟みます。
・通院しているため、定期的に半休をいただく必要があります。
・規則正しく生活できれば支障は少ないですが、残業や休日出勤などでリズムが変わり、睡眠時間が減ると症状が出やすくなります。
・過度に集中してしまうので、時間を忘れて一つの作業に没頭することがあります。
・集中している時には、人から話しかけられても気付かないことがあります。
・言葉に詰まってしまうと、少し回答までにお時間をいただいてしまうかもしれません。
・曖昧な指示を理解し切れず、意図とは違う行動になってしまう可能性があります。
Q5障がいに関して配慮が必要なことはありますか?
回答のポイント
- 「配慮=甘え」ではなく、力を発揮するための環境整備と捉えよう
- 応募先の仕事を具体的にイメージしながら考えよう
- 「配慮があればできること」もセットで示そう
「配慮」と聞くと、遠慮してしまう学生も少なくありません。しかし、ここでいう配慮は「特別扱い」ではなく、あなたが力を発揮し続けるための「合理的配慮」です。甘えとは異なり、合理的配慮は働く上で必要な環境整備を企業に伝えるための情報です。
例えば「週1回の通院で早退が必要」「静かな作業環境なら集中できる」など、配慮とあわせて「配慮があればできること」も具体的に伝えると、企業はあなたの働く姿をイメージしやすくなります。
この質問は、あなたの可能性を狭めるためではなく、あなたが安心して力を発揮できる環境を一緒に整えるための入り口です。恐れずに、自分に必要な配慮を整理しておきましょう。
回答例
歩くスピードがゆっくりのため、出入り口に出るまでに少し時間がかかることがあります。可能であれば、出入り口に近い席をご用意いただけると助かります。
なお、アルバイトでは接客を担当し、「説明が丁寧で分かりやすい」とお客様から評価をいただいてきました。席の配慮をいただければ、こうした強みを生かしてスムーズに対応できると考えています。
業務上、残業が発生するのは問題ありませんが、いつも通りの睡眠時間を確保したいので、翌朝は可能な範囲でフレックスで出社させていただけると助かります。
週に1回程度、落ち込んでいるタイミングがありますが、頓服薬を飲むなど個人での対処が可能です。逆にお声がけいただくと萎縮してしまうので、そっとしておいてもらえるとありがたいです。
スマホやパソコンのタイマー機能を利用させていただければ、集中し過ぎずにスケジュール通り働けることができます。
どうしても過集中で疲労が溜まってしまった場合は、5~10分程度で結構ですので、小休憩を挟ませていただけると回復できると思います。
言葉に詰まってしまう場面があるため、打合せの時間を前もって長めにとらせていただく場合があります。
指示を確認しながら業務を進めますが、曖昧な指示を理解しきれない場合がありますので、できれば明確な指示をいただけるとありがたいです。
就活の目的は内定ではない
障がいのある学生が就職活動に向けて準備を進めるうえで、この5つの質問に少しずつ答えられるようにしていくことが大切です。最初から完璧な答えを作る必要はありません。短い一文からでも始めてみましょう。はじめは、箇条書きで書き進めていくのもおすすめです。
こうして自分の言葉で整理していく過程は、就職活動だけでなく、入社後に働きやすい環境を整えるための第一歩でもあります。必要な配慮を適宜自分で伝えられるようになることで、安心して力を発揮できる土台ができます。
このワークに完成はありません。だからこそ焦らず、自分のペースで取り組めば大丈夫です。少しずつ答えを積み重ねることで、自然と自信がつき、面接でも無理なく話せるようになります。評価されるための宿題ではなく、未来のあなたを支えるための作業だと考えて、進めてみてください。
選考で障がいを説明する
書類選考と面接では伝え方が変わる
活動本番。興味のある企業にエントリーし、説明会に参加した後は、いよいよ選考が始まります。履歴書やエントリーシートなどの書類選考もあれば、役員や⼈事担当者との⾯接もあります。
障がいがある学生の場合、書類選考では文章で、面接では口頭で自分の障がいを伝えなくてはならない場面が訪れます。場面ごとに適した言葉で、前向きに分かりやすく伝えられると、企業は「この学生と一緒に働きたい」と判断しやすくなります。
今回は、選考の過程で自分の障がいを伝えるために気をつけておきたいポイントを書類選考編・面接選考編としてご紹介します。
書類選考編「分かりやすく、短く、端的に」
履歴書やエントリーシートなどの書類選考では、⾃分の障がいについて文章で書く必要があります。まずは、障がい者⼿帳に記載されている⾃分の「障がい名」と「等級」を書くようにしましょう。「障がい名」を書けば障がいの種類を、「等級」を書けば障がいの程度を、企業側に伝えることができます。 障がいの経緯や障がいが理由でできないことは、いくらでも説明できます。ただ、企業側が書類選考時に知りたいことは「あなたに障がいがある」ということ、そして「どこにどの程度の障がいがあるのか」ということです。詳細は面接で聞かれることが多いので、この段階では短くまとめましょう。
障がい名だけでは分かりにくい場合は、一言補足を入れると親切です。また、⾞いすや義⾜、補聴器などの補助具を使っている場合は「普段は⾞いすを使っています」といった補助具の説明を書き加えてみてください。
書類選考のポイント
- 「障がい名」と「等級」を書く
- 障がいの部位と程度を明確にする
- 補助具を使っている場合は補足する
エントリーシートに障がいについて書くときは、「分かりやすく・短く・端的に」を⼼がけることが⼤事です。ぜひ、意識してみましょう。
面接編「覚えやすく、笑顔で、前向きに」
個⼈⾯接やグループ⾯接などの選考では、⾃分の障がいについて⼝頭で分かりやすく伝える必要があります。⼝頭の場合は、書類とは違って、読み返すことができません。分かりやすさだけでなく、面接官の記憶に残りやすい⾔葉や表現で伝えられるようにしましょう。
⾯接でも、まずは⾃分の「障がい名」と「等級」を伝えます。そのうえで、⾃分の障がいを詳しく説明していきます。例えば、⽬や⽿が不⾃由な場合は視⼒や視野、聞こえの程度といった「数字」で伝えられる項⽬は、⾯接官にとって覚えやすいものです。通院の必要の有無や補装具の有無、ペースメーカーを⼊れているといった「事実」で伝えられる項⽬も同様です。
また、職場で配慮が必要となることや障がいが理由でできないこと、難しいことなどを尋ねられる機会もあります。その際は「配慮いただきたいことは3つあります。1つ⽬は…」というように、相⼿が情報を得やすいような⾔い回しを⼼がけてください。
⾃分の障がいを説明する時間は、話し⽅や話す姿勢も⼤切です。 障がいに対して、どういう気持ちを抱えているかは⼈それぞれで、ポジティブに受け⼊れている⼈も、ネガティブに受け⼊れている⼈もいます。ただ、面接官は「一緒に働きたい」と思える人を選びたいと考えています。⾃分の障がいを説明するときも、笑顔で前向きな姿勢で話すほうが、結果につながりやすいでしょう。 ⾃分の障がいを⼝頭で説明する際には「覚えやすく・笑顔で・前向きに」が⼤事なポイントです。ぜひ、意識してみましょう。
面接のポイント
- 書類選考同様、事実を簡潔にまとめる
- 相手が情報を得やすい言い回しをする
- 笑顔で前向きな姿勢を心がける
障がいが理由でプレゼンが苦⼿、アドリブが利かないといったこともありますが、それは障がい名を説明した時点で、⾯接官は気づいています。安⼼して、⾃分の精⼀杯を⾯接で発揮してみてください。
自分の伝え方ひとつで働きやすい環境になる
入社後も、職場の上司や同僚、場合によってはお客様や取引先に、自分の障がいについて正しく伝えていくことがとても大切です。特に、新しい職場ではあなたの特性や必要な配慮を知らない状態からのスタートになります。
伝える範囲は「自分が直接的・間接的に関係する方」や「配慮をお願いする方」に設定すると、伝える・伝えないの線引きがしやすくなります。この線引きは、必要な人に必要な情報をしっかり届け、お互いが安心して気持ちよく仕事を進めていくための重要な工夫です。
実際に伝えるときは、まず「障がい名」(必要なら「等級」も)を簡潔に示したうえで、配慮が必要な理由や具体的な方法をわかりやすい言葉で説明しましょう。例えば「視覚に障がいがありますので、掲示物の文字が読みづらい場合があります。その際は口頭で補足していただけると助かります」といった具合です。
また、初めて関わる人には、簡単な自己紹介とともに仕事を始める前に伝える習慣をつけておくとスムーズです。配慮の背景や目的を前向きなトーンで話すことで、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらいやすくなります。
そして、「伝える」ということは、あなたが障がいと共に歩む限り、ずっと続いていきます。あなたが丁寧に前向きな言葉で伝え続けることで、職場に支え合う空気が生まれ、他の社員の力になることもあるでしょう。それは、あなた自身の働きやすさだけでなく、職場全体の風土づくりにもつながっていきます。
不安を確認・共有する
内定受諾の前に会社見学をしておこう
選考が進み、最終選考を突破すると、晴れて内定通知を受け取ることができます。場合によっては1社だけでなく複数社から内定が出ることもあるでしょう。「よし、内定をもらった!⼊社しよう!」という決断を下す前に、皆さんに1つお願いしたいことがあります。それは、通勤のしやすさと職場の働きやすさを確認するために「会社⾒学に⾏くこと」です。就職活動中、内定が出るまでは企業に選ばれる⽴場ですが、内定が出てからは企業を選ぶ⽴場に変わります。
あくまでも「⼊社したい」「長く働き続けたいから」という思いを前面に伝えながら、採用担当の方に会社を⾒学できるようにお願いしてみてください。
内定者からの頼みであれば、企業も快く応えてくれるはず。ぜひ、見学の際は以下の3つのポイントを確認してみてください。
会社までのアクセスを確認しよう
「Door to Door(ドア トゥ ドア)」という⾔葉がありますが、通勤とは⾃宅⽞関から職場の⼊⼝までを指します。その間、電⾞やバスといった公共交通機関を利⽤する場合もあれば、⾃家⽤⾞を利⽤する場合もあるでしょう。⾃宅から会社まで通勤に何を利⽤し、どれだけの時間がかかるのか。また、乗り換えはスムーズに⾏えるか、無理なく運転できる距離かなど、会社⾒学への⾏き帰りで確認してください。
公共交通機関を利⽤する場合は、障がいの種類や程度によって乗⾞・降⾞に時間がかかることが想定されます。また、乗り継ぎが複雑だったり、予想以上に時間がかかったりする場合もあります。⾞を利⽤する場合は、毎日⻑時間の運転をすることで疲労が蓄積しないか、雪や⾬などの天候時に通勤が難しくならないかなど、確認項⽬が変わります。
また、会社⾒学に⾏く時間と実際に通勤する時間は違うことが多いでしょう。しかし、通勤は朝⼣のラッシュと重なることがほとんど。実際に通勤する時間にリハーサルを⾏うことも重要です。
アクセスの確認事項のチェックリスト
- 自宅から会社までの「Door to Door」の所要時間はどれくらいか
- 毎日の通勤距離・時間に無理がないか
- 発作・不安・パニック・疲れ、その他苦痛が出やすい状況と対処法
- 雨や雪など天候の変化で通勤困難にならないか
公共交通機関を利用する場合
- 乗り換えはスムーズか
- 駅員に誘導を依頼する際の手順と所要時間
- 通勤ラッシュの混雑や騒音で負担はないか
- 電車やバスを待つ間がストレスにならないか
自家用車を利用する場合
- 渋滞・信号待ちなどがストレスにならないか
- 会社周辺の駐車場の有無や条件を確認したか
※一例です
職場の「モノ」と「ヒト」を確認しよう
会社⾒学の際には、⾃分が配属される可能性がある職場を見せてもらえると安心です。もちろん、情報機密やセキュリティ、安全⾯や衛⽣⾯の観点など、さまざまな理由で⾒学が難しい場合もありますが、できる範囲でお願いしてみましょう。
そこでおすすめしたいのは、⼊社後に⾃分が仕事で使う「モノ」の確認。そして、⼀緒に働くことになるかもしれない「ヒト」とコミュニケーションを取ることです。
たとえば、目が不自由な方は音声読み上げソフト、耳が不自由な方は筆談ツールなどが必要でしょう。パソコン作業が多いのか、コミュニケーションの回数が多いのか、⼒仕事があるのかなど、業務の特性や必要なモノを踏まえて、⾃分の障がいに対して、どのような配慮や⼯夫が必要なのかを⾒つけてきてください。
また、一緒に働くかもしれない先輩社員とお話ししてみてください。障がいの種類や程度によっては、⻑く働く上では相談しやすい環境があるかどうかが重要な場合があります。気軽に話しかけやすい雰囲気かどうか、職場が静かなのか・賑やかなのかを感じ取ってきてください。
加えて、もし聞けそうであれば、障がいのある社員に、どんな工夫をしているか、逆にどんなことを期待しているのかを尋ねてみるのも参考になります。ただし、無理に聞かなくても、職場の雰囲気から感じ取れることも多いので、ご自身の感覚を大切にしてください。
職場の「モノ」と「ヒト」のチェックリスト
確認ポイント:モノ編
- 机や椅子、よく使う収納は、自分の身体に合っているか
- パソコンやソフトウェアは、自分に必要な機能が備わっているか、あるいは持ち込んで使っても良いか
- 業務内容が自分の特性に合っているか
- 障がいに応じた補助具・配慮が整っているか
確認ポイント:ヒト編
- 先輩社員と気軽に会話できる雰囲気があるか
- 困ったときに相談できる先輩や上司がいそうか
- 職場の雰囲気が自分に合いそうか
※一例です
自分自身の不安や悩みを正直に伝えてみよう
就職活動を通じて、いろいろな不安や悩みを感じることがあります。障がいが背景のものもあれば、そうでないものもあるでしょう。その不安や悩みは、会社⾒学のタイミングで⼈事担当者の⽅に正直に伝えてみることが⼤事です。
企業側も障がい者雇⽤の経験の有無に関わらず、不安を抱えていることは少なくありません。⼊社前にしっかりと準備ができるだろうか、⼊社後に職場の同僚とうまくいくだろうかなど、悩みが出てくると思います。
皆さんから不安や悩みを話してくれれば、企業側もより具体的な準備を進めることができますし、企業側が感じている不安や悩みを伝えてくれるかもしれません。内定後であれば「会社でどのように活躍できるか」という観点から、お互いに前向きな意⾒を出し合うことができますし、一連のコミュニケーションで信頼関係をより一層深められるはずです。
会社⾒学は、⼈事担当者をはじめとした先輩社員に直接会って、⾃分の⼼の内を正直に話すことができる機会だととらえてみるとよいでしょう。
入社後の自分を想像しながら確認しよう
障がい者雇⽤の場合、選考中に職場の⾒学会や1⽇体験などが含まれることがあります。ただ、就職活動中に感じたことと内定後に感じることは全然違います。⼊社を決める前に、⾃分の不安や悩みを解決するとともに、就職活動中には気づかなかった魅力や問題点を⾒つけることが⼤切です。
今回は「通勤のしやすさ」と「職場の働きやすさ」を確認するための3つのポイントを挙げましたが、会社⾒学をするときには、⼊社後の⾃分を想像しながら⾏ってください。納得できるまで確認したうえで、どの企業で社会⼈としてのスタートを切るか、決断してほしいと願っています。
さいごに
就職活動は、時に不安や迷いもつきものですが、それは前に進んでいる証拠でもあります。エントリーシートや面接があなた自身を知るきっかけになり、見学や面談があなたの未来の職場を知る大切な手がかりになります。自分の声で伝え、自分の目で確かめ、自分の心で選んだ道は、きっとあなたの力になります。自分を信じて、一歩を踏み出してください。
著者プロフィール
岡部 茜
キャリアコンサルティング技能士2級・公認心理師
1980年、山口県生まれ、東京都育ち。生まれつき筋力が弱く、現在も歩行などに障がいがある。大学卒業後、メーカー・公的機関勤務やラジオパーソナリティを経て、国家資格キャリアコンサルタントを取得。地域サポートステーション・ハローワーク等で実績を重ねた後、フリーランスのキャリアコンサルタント・話すためのボイストレーナーとして活動中。障がい者のための就職情報サービス『マイナビチャレンジド』でも2018年から講師として登壇している。




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