5年後、10年後を見据え、
未来の自動車産業の
一翼を担う開発に挑む

研究開発
  • 谷藤 将覧
  • アジア マグネティクス ビジネスユニット ディベロップメントエンジニア
    工学研究科 電機電子情報システム工学専攻 2016年入社

スミダ電機を知ったのは、大学院生の頃に所属していた研究室がスミダ電機と共同研究していたことがきっかけ。選考では他社で感じたピリピリとした空気感がなく、一番自分の思っていることを話せたという。休日はマッサージ機やホットアイマスクなどのリラックス製品の情報を収集し、購入して実際に試してみるのがマイブームとのこと。

どんな過酷な環境にも
対応できる
電子部品を開発する、
という難しさ

私が担当しているのは、「未来の車づくりに必要な電子部品開発」です。スミダ電機の営業が、お客様との会話の中から「こういうコイル製品があったら使ってみたい」といった要望を汲み取り、「数年後にはこんな車が主流になるだろうから、こういう仕様の部品が必要だろう」と予測したものを形にするのがミッションです。私が開発に関わっているのは、EV(電気自動車)に搭載されるBMS(バッテリーマネジメントシステム)の回路を保護し、安全性を高めるためのパルストランスです。

この製品の開発の難しさは、車は安全性が重要であることから万が一不具合が生じた場合でも発火・感電の恐れを防ぐ必要があるため、あらゆる環境下に対応できるものづくりが求められること。例えば、車は家電製品等に比べて製品寿命が長いため、車に使用する部品も耐用年数15年を前提に作らなければなりません。さらに、砂漠でも極寒の地でも走れる温度範囲の広さ、高地でも低地でも異常の起きない気圧への負荷の高さも求められるのです。

小型化、強度、安全性、
コスト、環境面…
すべてに配慮した
ものづくりに挑戦

入社5年目の頃に担当することになったパルストランスの研究開発は、今まで関わってきた製品の中で特に苦労しました。5年後以降に発売される車に搭載されることを想定した製品だったのですが、市場要求は「できるだけ小型化してほしい。かつ、従来のパルストランスよりも大きな電圧に耐えられるようにしてほしい」というものでした。この2点だけでなく、安全性の高さは絶対条件。また、負荷に耐えられる強度の素材を使えば、コストがかかってしまったり、コストが抑えられるとしても環境に負荷を与えるような物質が含まれている素材は使うことができません。

数ある条件をすべてクリアできるようにバランスを整えるのが、一番の課題でした。 未来の製品に使われる製品に挑むのはとても難しいですが、コイルの理論やこれまでの経験を軸に予想を立て、様々なソフトを駆使してシミュレーションを繰り返し、立てた仮説に限りなく近い物ができた時には思わず嬉しくなります。

未来の産業が
どうなっているのか
常に想像を膨らませる

研究開発の仕事をする上で大切にしていることは、「先入観や思い込みに囚われないこと」です。開発を進める上で便利なツールや参考にするべき理論はたくさんありますが、それらに縛られてばかりいると、実際に試作をしてみた時に失敗してしまうことが多いんです。かといって、理論を完全に無視して闇雲に手を動かすだけでも、開発はうまくいきません。理論と経験のバランスをとるのが大切だと思います。

現在は、すでにある製品を発展させる上で必要な製品づくりに携わることが多いですが、世の中にない製品を生み出すことも開発者としての今後の夢のひとつ。そのためにも、主にEV関連のニュースの未来予測記事などを読んで、「10年後の自動車産業はどうなっているのだろう」と、日々想像を膨らませています。ゆくゆくは、スミダ電機の主力製品のひとつであるスマートエントリーキーのアンテナに使用されるコイルの次代を担うような製品の開発に立ち上げ段階から関わっていきたいですね。