Vol.03

愛国学園短期大学
食物栄養専攻
荒井 遥花さん
一度は看護学校に通ったものの、合わずに中退したという荒井さんは、「最後までやり遂げることができなかった」という悔いを抱えていました。しかし、飲食店でのキッチンアルバイトを通し、料理が本当に好きなことに気づきます。栄養士という新たな夢が生まれ、そのために選んだのは社会人経験のある学生も多い愛国学園短期大学でした。それぞれに背景の違う学生たちを一人ひとり、親身に指導する先生方に背中を押され、来年からは希望通りの職場でキャリアをスタートさせます。
大変さもありつつ、毎日が新鮮だった学生生活
看護学校の同級生が頑張っているのに自分は中退して何もしていない状態だと長い間気になっていました。ようやく栄養士という夢を見つけたとき、遠回りしたけれど正解にたどり着けたという気持ちがしたことを覚えています。いろいろな学校の説明会に足を運んだ中で、社会人経験のある学生も多いという愛国学園短期大学に入学を決めました。とにかく先生たちがいろいろと相談に乗ってくださり、食物栄養専攻は一学年が少人数制なこともあって、とても心強く、居心地が良かったです。実習も多く、体力的にも精神的にも大変さはありましたが、好きなことだと「やらされている感」が一切ないのが新鮮でした。周囲も皆、栄養士を目指している仲間のため、支え合うことができました。
学生生活を通じて、給食センターなどの受託企業でずっと厨房に立ち続けるよりも、自分が作った料理を食べてくれるのがどんな人なのか、実際にわかるような職場がいいという希望が明確になりました。つまり、直営の厨房がある施設が該当しますが、今は病院でも食事は外部委託することが多いそうで、希望通りの就職先を探すのは困難だろうと予測していました。
自己分析や筆記対策は思ったより時間がかかる
エントリーしたのは5社ですが、実際にエントリーシートを提出したのは1社だけです。「食事に力を入れ、同じ建物内に厨房を備えている施設」がそもそも少ない上、そういう企業や施設が求めるのは管理栄養士が多く、栄養士の求人はなかなか出ませんでした。また、私はソフト食やミキサー食などの介護食にも興味があり、「授業で学んだ介護食の知識を活かせる職場」というのも外せないポイントだったのです。受験した1社は、まさに私の希望通りの条件でした。
1社しか受けないというと大きな賭けのようですが、ダメなら夏以降、また一から就活を始めるだけのことです。エントリーした中には、受託企業だけれども良さそうなところがあり、就活再始動になったときは選択の幅を広げようと考えていました。

面接対策を重視しすぎ、筆記対策がおろそかだった

最大の反省点は、面接対策しかしなかったことです。実際には面接だけでなく、一般常識、作文など筆記試験を行う会社もあると想定していなかったので、慌てました。そもそも就活に本腰を入れたのは2年生になってから。そのときは早い方だと感じていましたが、周囲にはもっと早くから動き出していた人もいます。2年生になると授業が難しくなり、課題の量も増えるため、就活と両立させるだけで精一杯でした。自己分析、オンライン説明会、面接・筆記試験対策など進められる部分は、1年生のうちから取り掛かったほうが良かったですね。
筆記対策は「この会社を受ける」と決めた日から1ヶ月くらいで集中して勉強しました。先生からキャリア支援室に資料があると教えてもらい、それを読んだり、インターネットの例文を解いたり、図書館で文献を調べたりしました。でも時間が足りたとはとても言えず、不安が残ったまま試験に臨むことになってしまいました。結果的に内定をいただけましたが、本当ならもっと準備ができたはずで、そこは反省しています。
面接では頭が真っ白になったが、自分の言葉で自然に話した

説明会参加とエントリーだけは複数社に参加していましたが、実際に選考を受けてはいないので、本命だけの一発勝負です。面接を前もって何度シミュレーションしていても、あくまでもシミュレーションに過ぎません。
本番は雰囲気から何から全然違うのだと、当日になって痛感しました。とにかく緊張で頭が真っ白になってしまい、しどろもどろな受け答えで「大人しい子」だと思われたでしょうね。よくあることかも知れませんが、話しているうちに脱線してしまい、質問が何だったかわからなくなった場面もありました。これはもう練習のテンプレートを白紙にして自分の言葉で話すほうがいいと思い、正直にわからないことはわからないと伝えました。
内定が出たのは2週間後で、てっきり落ちたと思っていたので本当に嬉しかったです。なぜ内定をいただけたのかはわかりませんが、企業理念、代表者のお名前、グループの施設についてなど、企業研究はかなりしっかりしていました。グループごとの違いについて質問もしたので、志望度の高さをアピールできたのが内定につながったのかも知れません。
毎日の授業が大前提。一般教養は社会人の基礎になる

面接で話すエピソードが必要だと思うと、ボランティアやアルバイト、サークル活動など授業以外のことにも力を入れなければと考えがちです。確かにそれも大切だし、自分のためにもなるのですが、まず第一に重視すべきは、日々の授業のことだと思うのです。短期大学には専門科目だけでなく、一般教養の時間があります。
それはパソコンの使い方や就活のノウハウ、ビジネスマナー以上に、社会人の基礎力となるものです。毎日授業に出て課題をこなすことは必ず、自分の糧になります。目の前のことに一生懸命に取り組んでいれば、きっといい結果につながりますよ。アルバイトもお薦めです。私は接客の経験がなかったので劇場の案内もしてみましたが、新しい発見があり、やってよかったと思います。きちんと挨拶するとか時間を守るとか、周囲を見ていると、アルバイト経験のある無しで徹底できるかどうかに差が出てくる気がします。
就活中にもっとも役立ったのは自己分析でした。自分がどういう人間で、何に興味があるのかは、改めて考えてみると意外と出てきません。一度、自分をしっかり見つめ直す時間が必要でしたが、そうして軸ができると後の活動が一貫したものになります。私は自分で考えた後にインターネットの自己分析ツールを利用しました。
いくつかの質問に回答することで、より詳しく自分について知ることができ、参考になりました。進路担当の先生も学生一人ひとりを分析してくれ、私は人と関わることに喜びを感じるタイプなのだとわかりました。4月からの職場は、自分たちで献立を考え、調理し、それを食べた利用者さんとお話できる恵まれた環境です。今後は働きながら管理栄養士を目指していくつもりですが、きっとたくさんのことを実地で勉強できるでしょう。
- 前のページ
- (3/3)