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実習マナー講座
Introduction

期待が膨らむと同時に、緊張や不安も感じやすい薬学生の実習。自身のキャリアを考える上で重要な機会なので、ぜひ集中して取り組みたいですよね。そのためにも心がけたいのが、正しいマナーを身に付けておくこと。実習を乗り越えるために必要となるマナーを3つの視点から解説します。

Index

事前準備編

患者への対応編

指導者との関わり編

視点 01 / 抜かりない「下準備」を武器に

あらかじめ準備すべき必須ポイントとは?

実習参加時に絶対に避けるべきなのは、遅刻や忘れ物をすること。必要な持ち物は前日までにそろえておき、実習先への移動ルートも複数調べておきましょう。時間帯によって公共交通機関の本数や混雑具合が違うので、実習開始時刻に合わせて前もって実習先を訪れる予行演習をしておくと完璧です。

実習先の薬局や病院について調べておくことも重要です。施設概要や医療機関としての役割などを知った上で実習に臨むことは、先方へのマナーであると同時に、自分がより多くの学びを得るための下地にもなるからです。「私は製薬企業を志望しているから」といった理由で、こうした準備に手を抜いてはなりません。リアルな医療機関の中で学べる機会は非常に貴重ですし、就職活動で他学部の学生との差別化を図ることにもつながるはずです。

体調不良に関してはやむを得ない部分もありますが、少なくとも自分の不注意で体調を崩すようなことは避けてください。手洗いうがいの徹底やマスク着用はもちろんのこと、睡眠時間や栄養摂取にも気を配りましょう。「患者対応などでたくさん話して声が枯れてしまった」という先輩方も多いため、喉ケアグッズを用意しておくのもいいですね。

医療従事者として違和感のない身だしなみを

実習中の服装については、実習先への事前のあいさつ・連絡の際に確認しておきたいところですが、特に指定がない場合はリクルートスーツがお勧めです。私服OKとされていても、「医療従事者としてふさわしい服装か?」という視点は忘れずに。実習先までの往復時などに患者さんや指導者に見られているかもしれませんし、白衣を羽織っても下の服や靴下が見え隠れすることがあるからです。

清潔感のある髪型にすること、ひげを剃っておくことなども必須です。爪は、手のひら側から見えないくらいの短さに整えておきましょう(もちろん、ネイルアートなどは落とします)。盲点になりやすいのが、香り。医療機関で香水が厳禁なことは当然ですが、ハンドクリームや整髪料、柔軟剤などについても、香りがついていない(強すぎない)ことが求められます。

視点 02 / 自信を持って患者対応するためのスキル

どんな世代にも通じる言葉遣いを徹底しよう

実習生であったとしても、患者さんにとっては立派な薬剤師の一人。「学生だから仕方ない」と開き直るような態度は慎まなくてはなりません。特に、正しい言葉遣いは患者対応の基盤となるスキルですから、不安がある人は予習しておきましょう。例えば、「こちらをご覧ください」を「こちらを拝見してください」と間違えるような、尊敬語と謙譲語の混同をしないようにしてください。

薬局や病院では、患者さんのデリケートな話題に触れる場面もあるでしょう。他の患者さんがいる場で特定の疾患名を不用意に口にしないなど、状況に応じた柔軟な配慮が求められます。実習生にはなかなか難しいところですが、現場の薬剤師がどう対応しているかを学ぶ絶好の機会でもあります。「患者さんを傷付けないだろうか?」と心配になるようなことがあれば、指導者に質問できるといいですね。

複数のコミュニケーション手法の用意があると安心

患者さんの中には、薬剤師とのコミュニケーションに積極的でない人がいるかもしれません。また、疾患の影響などでスムーズな会話が難しい場合もあるでしょう。さまざまな考え方や状態の人がいることを理解し、思ったように返答が得られなくても焦らないようにしてください。

患者さんの話を傾聴するときは、
・目線を合わせる ・あいづちを適度に挟む ・会話のペースやテンションを相手に合わせる といったことが基本になります。「はい/いいえ」で答えられるクローズド・クエスチョンと、相手に自由に答えてもらうオープン・クエスチョンを上手に使い分けられると、聞き取りがよりスムーズになるでしょう。
そのほか、
・筆談を用いる ・実物や画像を見せながら説明する など、複数のコミュニケーション手法を用意しておくのがお勧めです。

視点 03 / 指導者から応援される実習生をめざすべし

まずは一般的なビジネスマナーを習得しよう

ビジネスマナーは、相手への「配慮」をかたちにしたものだといえます。どんなに学業が優秀でも、マナーに欠ける言動があると途端に幼く見えてしまいます。
例えば、メールを送る際は
・分かりやすい件名にする ・冒頭であいさつをし、名乗る ・本文の最後に署名を入れる といった点を心がけてください。
電話対応に慣れないうちは、話すことを簡単に書き出しておくと安心です。今後、絶対に必要になるスキルなので、このタイミングで学んでおきたいところです。

なお、実習中の出来事や内容について、SNSなどへ投稿するのは厳禁です。たとえ固有名詞を出さなくても、見る人が見れば誰のことか分かってしまう可能性があります。もちろん、公共の場で実習先や患者さんのことを話すのも避けてください。どこで関係者の耳に入るか分かりません。医療従事者としての自覚を持ち、常に個人情報保護の観点を忘れないようにしましょう。

自身の「熱意」が自然に伝わる行動とは?

実習中、ずっと指導者がそばにいるわけではありません。アイドルタイムが生まれることも考えられますが、「何も指示がないから」「誰も見ていないから」とボーッとしていてはなりません。あいさつや整理整頓など、何でもいいので自分ができることを探してみましょう。実習先の資料を読ませてもらう、先輩の業務を見学させてもらうなど、自分から指導者に提案するのもいいでしょう。こうした行動により熱意が伝われば、実習中、希望する業務にも挑戦させてもらいやすくなるはずです。

時には「なぜ?」と疑問に思うような指示があったり、指導者の言動が納得できなかったりする場面があるかもしれません。しかし、そうした経験も実習ならではのもの。気付いたことや自分の思いを、ぜひメモしておきましょう。こうした記録から「私が薬剤師として大切にしたいこと」が浮かび上がり、就職活動の際に指針になることもあるのです。薬学生の皆さんが今だけの貴重な学びの機会として実習を生かし、最大限の「実り」を得られるように応援しています!