カーボンニュートラル業界の「現在」と「未来」
2030年度に46%削減に引き上げ。海外諸国も目標打ち出す
カーボンニュートラルとは、カーボン(炭素)の排出をニュートラル(中立)にすること。水素などのクリーンエネルギーや再生可能エネルギーなどでCO?などの温室効果ガスの排出を極力削減するとともに、やむを得ず排出されるものは、同じ量を吸収したり除去したりすることで達成することを目指す。2021年4月にオンライン形式で開催された気候変動サミットで日本は、2030年度に13年度比46%削減と、従来の20%削減の目標値を一段と引き上げた。
海外でも、最大のCO?排出国である中国は30年までに排出量を減少に転じ、60年までにニュートラルにする目標を掲げる。2番目の排出国であるアメリカは4年間で2兆ドルを投資し、環境関連産業の競争力を高め、新規雇用も創出する考え。EU(欧州連合)も気候法案の成立で温室効果ガスの排出ゼロを目指すなど、地球温暖化防止への動きは世界的に広がっている。
経産省がグリーン成長戦略策定。14の成長期待分野を策定
カーボンニュートラルを達成するためには、電力などのエネルギー部門や産業構造の変革、環境関連のイノベーションなど、経済と環境の両立が不可欠だ。経済産業省は20年末に「グリーン成長戦略」を策定し、30年代半ばまでに乗用車の新車販売で100%の電動化を目指すなど、14の産業分野のCO2削減策を示した。21年6月には同戦略の具体策をまとめ、成長が期待される14分野をまとめた。具体的には、エネルギー関連産業では洋上風力、水素、アンモニアなど4分野、輸送・製造関連産業では自動車・蓄電池、半導体・情報産業など6分野、家庭・オフィス関連では住宅・建築物、次世代電力マネジメントなど3分野。
CO2排出割合が約4割と高い電力では、再生可能エネルギー利用だけでなく、水素・アンモニア発電に加え、火力発電のCO2回収などを促進。太陽光や風力などの発電量の変動を調整する系統運用を実現するデジタルインフラを整える半導体・情報産業も重要な役割を果たすとした。産業部門では水素還元製鉄など製造プロセスの変革、運輸部門ではトラックなどの電動化、バイオ・水素燃料の利用などを挙げた。
一方、業務・家庭部門では再生可能エネルギーと蓄電池を活用したスマートハウスの推進により、情報通信や住宅産業などが成長するとしている。
税制、金融、規制改革も実行。290兆円の経済効果を見込む
経産省は目標を達成するため、予算確保だけでなく、投資促進税制の増設、金融市場のルールづくり、再生可能エネルギーや蓄電池などでの規制改革などを実行して民間企業の挑戦を支援。今後もさまざまな産業の技術開発や商業化までの実行計画をまとめ、50年までに約290兆円の経済効果と、約1,800万人の新規雇用を生み出すとしている。
カーボンニュートラルの実現に向け、今後約30年間で日本経済や暮らしは大きく変化していきそうだ。