その他メーカー・製造関連業界の「現在」と「未来」
技術開発の外部委託が進む。受託開発は技術者派遣がメイン
総務省の日本標準産業分類によると、その他製造業に含まれるのが貴金属、楽器、筆記用具、漆器など数多い。それぞれ専業・兼業メーカーがある。製造関連の中でも、成長を遂げているのが受託開発業だ。
製造業は技術の多様化などによって、1社で設計・製造などの技術者を抱えることが難しく、社内で育成するにも期間とコストがかかる。このため、新技術や新製品の設計から製造までを専門分野を特定して、外部技術者に委託するケースが増えている。これに伴い、技術者を雇用し、顧客企業に短期、長期で派遣する受託開発ビジネスが定着。しかも継続的に教育や研修によって新技術を習得し、技術力をブラッシュアップするビジネスモデルだ。
2020年の派遣技術者は約29万人。情報処理・通信分野が半数近い
厚生労働省の労働者派遣事業報告書によると、2020年6月時点で派遣労働者の数は前年同期比0.2%減の約156万人で、このうち製造業務に携わるのは約31万人。業務別の技術者派遣をみると、製造、建築・土木・測量、情報処理・通信、その他を合わせて29万2,468人にのぼる(無期・有期雇用の合計)。中でも、情報処理・通信技術者が15万1,157人と半数近くを占める。ITやICTの拡大に伴い、情報通信関連の需要が高いことを示している。
DXでIT人材需要が高まる。求められる最先端技術者の養成
情報通信関連技術者の派遣需要は今後も拡大しそうだ。日本企業の間では、IoT、AI、ビッグデータなどを活用して事業変革を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)がキーワードとなっている。ただ、経済産業省のIT人材白書によると、2019年度アンケート調査で企業内のIT人材が「やや不足している」「大幅に不足している」を合わせて89%に達している。最先端の技術者の需要は高まる一方で、技術者を派遣する事業者側もこれに対応した人材養成が求められる。