高専生の就活事情

高専生は、どんな業界に就職しているの?

そもそも高専とは?

実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関「高等専門学校」が初めて設立されたのは、1962年のこと。機械、材料系、電気、電子系、情報系、化学、生物系など、さまざまな学科があり、実験・実習を重視した専門教育により、実社会で活かせる技術が養えます。 5年間にわたって専門技術を習得した高専の卒業生(高専生)は、特に産業界から高く評価されています。では、高専生はどのような業界に就職し、どのような職種に就いているのでしょうか。

ものづくりの第一線で活躍し、日本経済を支えてきた高専生

高専生の就職事情についてご紹介する前に、高専の設置目的について改めて振り返ってみましょう。高専が設置された1960年代前半は、急速に日本経済が発展した「高度経済成長期」の真っただ中。すでに日本のものづくり技術の高さは世界に知られ、その発展がますます期待されていました。そのような中、日本の産業の発展と経済成長を根幹で支える技術者を育成する専門の高等教育機関が必要であるとの考えから誕生したのが高専です。つまり、高専の卒業生は日本の科学技術を熟知し、その知識をさまざまな産業の現場に生かす「技術者」として活躍することが設立時から期待されていました。

設置から60年ほど経った今も、その目的に変わりはありません。そのため、卒業生の多くがものづくりの第一線に出て、日本の産業界をリードしています。しかし、卒業後の進路は多様化の傾向にあり、さらに技術を高めるため高専の専攻科へ進む卒業生や、大学へ編入学する卒業生も増えています。

内定率の高さで分かる就職に強い高専

文部科学省の「文部科学統計要覧(令和5年版)」によれば、2022年3月に高専を卒業した学生の数は9,943人。そのうち、大学などへの進学者数は3,962人(全卒業者数の39.8%)、就職者数は5,572人(同56.0%)となっています。

就職を希望した高専卒業生の就職(内定)率は、99.2%。大学卒業者の97.3%、短期大学卒業者の98.1%と比較しても、高専卒業者が就職に強いことがわかります(「令和4年度大学等卒業予定者の就職状況調査(令和5年4月1日現在)」より)。

次に、過去10年間の就職内定率を見てみましょう。平成25年度から令和4年度の卒業生の就職内定率は、低くても99.1%(令和3年度の卒業生)、高いときは100%を記録(平成25~29年度と令和元年~2年度の卒業生)。このように、非常に高い数値を維持しています。

では、産業別の割合はどうでしょうか。最も多いのが製造業で、2,605人と就職者総数の約半数を占めています。これに情報通信業778人、建設業580人、電気・ガス・熱供給・水道業は403人、学術研究、専門・技術サービス業295人と続きます。

高等専門学校の産業別 就職者数
※小数点第2位以下を切り捨てしているため、グラフの和は100%になっておりません
(出展)文部科学省・厚生労働省「学校基本調査(令和5年3月卒業者 5,551名対象)」

卒業生のほとんどが専門的・技術的職業従事者に就いている

さらに、職業別の就職動向を見ていきましょう。専門的・技術的職業従事者が圧倒的多数で、5,112人となっています。その内訳は、製造技術者(開発除く)が1,966人、製造技術者(開発)969人、情報処理・通信技術者が922人、建築・土木・測量技術者834人、その他382人となっています。

これらのデータから「高専卒業生の就職(内定)率は他の高等教育機関卒業者よりも高く、その多くが高専で学んだ実践的技術を生かした職種に就いている」ということがわかります。しかし、「高専は就職に有利だから」とあぐらをかくのは禁物です。なぜなら、新卒採用では、学生が業界研究や企業研究、自己分析などの準備を行ってから採用試験に臨むことが一般的になっているからです。

企業は、大学や短大、高専などさまざまな高等教育機関から優秀な人材を求めています。高専生も卒業後の進路を明確にイメージし、望む就職先を得られるよう、十分に準備しておくことが大切です。

高等専門学校の産業別 就職者数
※小数点第2位以下を切り捨てしているため、グラフの和は100%になっておりません
(出展)文部科学省・厚生労働省「学校基本調査(令和5年3月卒業者 5,551名対象)」

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