留学前に
知っておきたい
種類・準備・現地での
過ごし方

大学1・2年生から考える、将来につながる留学の選び方

「留学に興味はあるけれど、目的がはっきりしていない」「就職活動にどうつながるのかわからない」と感じている学生は少なくありません。特に大学1・2年生の段階では、将来の進路や学びたい分野が明確に決まっていない人も多いでしょう。
しかし、留学は最初から完璧な目的がなければ挑戦できないものではありません。語学力を伸ばしたい、海外の人と関わってみたい、日本とは違う環境で生活してみたい。そうした小さな関心も、留学を考える大切な出発点になります。
本記事では、留学の主な種類や選び方、出発前に確認したい準備、現地で経験を広げるための行動、就職活動への活かし方を解説します。 ​

なぜ留学したいのか。まずは「小さな関心」を言葉にする

「留学には、最初から明確な目的や将来像が必要なのでは?」と悩む必要はありません。「海外の大学で専門分野を学びたい」「将来はグローバル企業で働きたい」といったはっきりとした目的があることはもちろん大きな強みですが、大学1・2年生の段階では進路が定まっていない人も多くいます。
実は、以下のような「なんとなくの関心」も、留学を考えるうえで立派な出発点になります。

よくある「小さな関心」の例

  • 英語を話せるようになりたい
  • 海外の人と関わってみたい
  • 日本とは違う環境で生活してみたい

まじめな学生ほど「明確な目的がないなら、留学しても意味がないのでは」と思い悩む傾向にあります。しかし、目的がはっきりしていなくても、海外に行くことで新しい自分の一面に気づいたり、将来の選択肢が広がったりすることは十分にあります。
また、留学では、文化や価値観の異なる人と学び、意見を交わす機会がたくさんあります。語学力以外にも、海外生活を通じて以下のような力が育まれます。

自分の意見を「伝える力」

日本では「言わなくても伝わる」と思っていたことが通じない環境で、自分の考えをきちんと言葉にして説明する場面が出てきます。

異なる考え方を「受け止める姿勢」

自分とは異なるバックグラウンドを持つ人々と関わる中で、多様な価値観を受け入れる柔軟性が身につきます。

自分の気持ちを整理してみよう

留学を検討する最初の段階では、まず自分の言葉で気持ちを整理してみることから始めてみましょう。

Q1. なぜ海外に興味があるのか?
Q2. どんな環境に身を置いてみたいのか?
Q3. 留学後にどんな自分になっていたいのか?

例えば「英語を伸ばしたい」という思いでも、会話力を高めたいのか、専門分野を学べる力を身につけたいのかによって、選ぶ留学の形は変わります。まずは自分の小さな関心を言葉にしていくことが、後悔のない留学選びの第一歩につながります。

留学の種類と選び方

留学にはさまざまな種類があり、期間や目的、必要な語学力、費用、単位認定の有無などが異なります。名称は大学や団体によって変わる場合がありますが、ここでは大学生が検討しやすい主な留学の種類を整理します。

種類 特徴 向いている人
語学留学 海外の語学学校や大学付属の語学プログラムで学ぶ。 ・まずは語学力を伸ばしたい人
・海外生活を経験したい人
短期留学 数週間から数カ月間、現地の大学で専門課程を学ぶ。交換留学制度では単位認定や費用がサポートされる場合もある。 ・初めて海外に行く人
・長期留学前に試してみたい人
・交換留学制度を活用したい人
長期留学 約1年、もしくはそれ以上、現地の大学・大学院でじっくり専門課程を学ぶ。交換留学制度では単位認定や費用がサポートされる場合もある。 ・語学力や専門性を高めたい人
・異文化環境に深く入りたい人
・交換留学制度を活用したい人
正規留学 海外の大学・大学院に進学し、学位を取得する。 ・語学力、専門性を高めたい人
・異文化環境に深く入りたい人
・海外での学位取得を目指す人
・海外就職を考えている人

語学留学は、語学学校や大学付属の語学プログラムで学ぶ形式です。出願時に高い英語スコアや大学の成績を求められないケースが多く、比較的挑戦しやすい点が特徴です。まずは海外生活を経験したい人や、外国語を使う環境に身を置きたい人に向いています。

短期留学は、夏休みや春休みなどの長期休暇を利用して参加しやすいプログラムです。短期間で語学力が劇的に伸びるわけではありませんが、親元や日本の慣れ親しんだ環境を離れ、自分の意思を伝えながら生活する経験は大きな刺激になります。長期留学を検討する前の第一歩としても有効です。

長期留学は、現地での学びや生活により深く入り込める点が特徴です。語学力や専門性を高めたい人、異文化環境の中でじっくり経験を積みたい人に適しています。一方で、ビザや費用、単位、帰国時期などの確認項目も増えるため、早めの準備が欠かせません。

短期留学・長期留学は、日本の大学の交換留学制度を利用できる場合もあります。留学先の授業料の免除や、単位認定がされる場合があるため、4年間での卒業を意識しながら、専門課程を海外で学びたい方にとっては有力な選択肢です。ただし募集枠が限られ、IELTSやTOEFL iBTなどの英語スコアや、在籍大学の成績を含む学内選考が行われることが一般的です。

留学準備はいつから始める? 語学力・成績・費用は早めの確認がポイント

留学の準備期間の目安として、仮に短期であっても遅くとも出発の4カ月前には動き始めるのが望ましいです。例えば8〜9月に出発する夏休みのプログラムであれば、4月〜5月中旬には申し込みをしておくと良いでしょう。長期留学や大学の交換留学を目指す場合はさらに早く、約1年前から学内選考や出願の準備が始まるケースが一般的です。直前になると、航空券が高騰したり、希望する滞在先が埋まってしまったり、ビザの申請予約が取れなかったりとリスクが高まります。

具体的に準備を進めるうえで、特に意識したいのが「語学力」「大学の成績」「費用」の3点です。

1. 語学力はスコアだけでなく「伝える力」も意識する

交換留学制度を利用した留学では、出願時にIELTSやTOEFL iBTなどのスコアが求められます。目安としてIELTS 5.5〜6.5程度が必要になることが多いですが、イギリスのようにIELTSのみを指定する国もあるため、希望する国や大学の要件を早めに確認しましょう。

また、現地の大学では、ディスカッションやレポート提出が頻繁にあります。IELTSのライティング対策などを通じて、英語で論理的に文章を構成する力や、自分の意見を相手に伝える練習をしておくことが、留学後の大きな助けになります。

2. 大学の成績(GPA)は1年生からの積み重ね

交換留学の選考では、大学での成績が非常に重視されます。1・2年生の時に良い成績を取れていないと、後から挽回するのは非常に困難です。「まだ留学するか決めていない」という段階でも、日々の授業にしっかり取り組み、成績を維持しておくことが将来の選択肢を広げます。

3. プログラム費用に「何が含まれているか」を確認する

円安や燃油サーチャージを含む航空券代は世界情勢の変化によって、費用に大きく影響します。費用を比較する際は、プログラム費用に「どこまで含まれているか」を必ず確認してください。例えば、空港からの送迎費や食費(大学寮のミールプランか自炊か)が含まれているかによって、現地での自己負担額は大きく変わります。海外留学保険も重要です。クレジットカードの付帯保険だけでは、いざという時の補償が不十分なケースがあります。万が一の事故や病気に備え、カバー範囲の広い保険に加入しておくことを強くおすすめします。

【留学前に確認したいチェックリスト】

確認項目 チェック内容
目的 語学、専門分野、異文化体験、就活など、何を重視するか
種類 交換留学、語学留学、短期留学、長期留学など
語学力 IELTS、TOEFLなど必要スコアの有無
成績 学内選考や出願でGPAが必要か
費用 プログラム費に何が含まれるか(送迎、食費、保険など)
時期 募集締切、出願、ビザ、航空券手配の時期
単位 留学先で取得した単位が認定されるか
就活 帰国時期とインターン・就活時期が重ならないか

留学先では「語学力」だけでなく、「行動量」が留学の質を高める

新学期が始まると、現地の大学では留学生や新入生向けの催し物がたくさん開かれます。「興味がないから」と参加しないのではなく、充実した留学生活を送るためのきっかけづくりとして、いろいろな場所に顔を出すことが第一歩になります。

実際に、語学力が飛び抜けて高くなくても、行動力で素晴らしい経験を掴む学生は多くいます。ある学生は、アメリカの地方大学へ留学し、決して流暢な英語ではありませんでしたが、特技の「空手」を周囲にアピールしました。その結果、大学の施設で空手を披露するイベントを開催でき、学長が見学に来るほどの反響を呼んだケースがあります。

他にも、大好きなフットサルをするために自ら留学生たちに声をかけてコミュニティを立ち上げ、大会まで実現させた学生もいます。この学生は帰国後、この行動力を就職活動でアピールし、希望企業から内定を獲得しました。現地の吹奏楽団に直談判して大学スポーツの試合で演奏した学生や、趣味の写真をアピールしてキャンパスの壁にフォトギャラリーを作ってもらった学生などの例もあります。

こうした機会は、初めからプログラムとして用意されていたわけではありません。こうした学生たちに共通しているのは、自分から周囲に働きかけたという点です。留学先では、これまでの自分を知っている人は誰もいません。「日本にいるときの自分らしくないかな」とためらう必要はなく、思い切って挑戦することが大切です。その行動量が、間違いなく留学経験を豊かにしてくれます。

就活では「留学した事実」ではなく、「そこで何をしたか」を伝えよう

留学経験を就職活動で活かすには、「留学に行きました」と伝えるだけでは十分ではありません。大切なのは、留学先で何を考え、どう行動し、何を得たのかを自分の言葉で説明できるようにしておくことです。

授業でのグループワーク、現地の学生との会話、寮生活での戸惑い、ホームステイ先で自分の希望を伝えた経験なども、自分なりに考えて行動したものであれば、十分に語れる材料になります。特別に大きな成果でなくても構いません。そのためにも、留学中から記録を残しておくことが推奨されます。

授業で学んだこと、困ったこと、うれしかったこと、自分なりに工夫したことを短くでも残しておくと、帰国後に経験を振り返りやすくなります。留学は、就職活動のためだけに行くものではありません。

しかし、海外で自分から動き、人と関わり、異なる価値観に触れた経験は、その後の進路を考えるうえで大きな財産になります。少しでも興味があるなら、まずは情報を集め、今できる準備から始めてみてください。小さな挑戦を重ね、自分だけの経験として言葉にしていくことが、将来の選択肢を広げるきっかけになります。

取材協力・監修

一般財団法人日本スタディ・アブロード・ファンデーション(JSAF)

マネージャー 尾崎 菜穂


JSAF(一般財団法人 日本スタディ・アブロード・ファンデーション)は、2000年設立の国際教育団体。
大学生向けの海外協定校留学プログラムの提供をはじめ、留学相談から帰国後までの一貫したサポートを展開。
2016年からはIELTS公式テストセンターとして、東京・大阪・京都で試験を実施。

語学留学から長期留学まで、さまざまな先輩の留学体験談を掲載しています!