「現在」が分かる!「未来」が見える! 業界地図

メーカー業界

食品の業界地図

食品は生活必需品のため、食料品製造業の業態は多様で規模も大きい。ただ、人手不足や低い生産性などの課題を抱えている。

※掲載企業は売上や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。また掲載内容に関する基準はこちらよりご確認ください。

食品業界の「現在」と「未来」

食品製造業の売上額は38兆円超。企業数が多く、地域産業を支える

総務省の2023年経済構造実態調査によると、食料品製造業の売上額は、前年比5.5%増の38兆2,534億円。これに飲料・たばこ・飼料製造業の11兆2,019億円(同2.2%増)を加えると、50兆円近い規模となる。売上額の大きい順では、畜産食料品製造業が10兆9,219億円、パン・菓子製造業が5 兆3,923億円、水産品製造業が5兆1,405億円など。食品の原料は輸入比率が高く、円安もあって価格が上昇、小売価格の値上げなどが影響したと見られる。

同調査による食料品製造業の対象は、2万4,258社と多い。各都道府県の従業員数に占める食料品製造業の割合は、多くが1割超で、特に北海道と沖縄県では40%を超え、地域の主要産業となっている。

内食需要に支えられているのが冷凍食品だ。日本冷凍食品協会によると、23年の工場出荷額は同2.1%増の7,799億円と、4年連続で増加した。業務用が同6.3%増の3,804億円、家庭用が同1.6%減の3,996億円。

生産性は製造業平均の6割以下。農水省が専門チーム発足

ただ、農林水産省は食料品製造業共通の課題として、低い労働生産性と人員不足を指摘している。食料品製造業の従業員1人当たりの労働生産性は664万円と、製造業平均の6割以下。形状が不安定、衛生面での管理などから人手に頼る製造工程が多く、自動化が困難なためだ。農水省は24年4月に省内に生産性向上チームを発足させ、AIやロボットなど新技術導入、企業間連携による合理化、産学官連携などを促進。労働コスト削減と人手不足解消を同時に進める事例を支援している。

清涼飲料の販売額が過去最高。農産物、食品輸出は好調続く

清涼飲料は好調だ。全国清涼飲料連合会によると、23年の販売額は同7.0%増の4兆4,460億円と過去最高。清涼飲料の販売は天候に左右されやすく、夏の猛暑や人流の活発化が追い風となった。一方、23年経済構造実態調査では、酒類製造業の売上額は、同12.0%増の3兆5,974億円と増えたが、若年層の酒類離れなどで市場は縮小傾向だ。国税庁の酒レポートによると、2022年度の酒税収入は約1兆1,900億円と、ピーク時の1994年度の2兆1,200億円の56%の水準だ。食品や清涼飲料、酒類とも人口減により国内市場は頭打ちが予想され、海外市場の開拓が必要とされる。農水省によると23年の農林水産物・食品の輸出額は、中国の輸入規制はあったものの、前年比2.8%増の1兆4,541億円と過去最高を更新した。アルコール飲料を含む加工食品(同0.9%増の5,097億円)、水産物(同0.1%増の3,007億円)などが主力だ。

データで見る業界のポイント

食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業の業種別売上金額

食料品製造業、飲料・たばこ・飼料製造業の業種別売上金額
「2023年経済構造実態調査」(総務省・経済産業省)

※掲載内容の基準について

  • 掲載企業は売上高や総資産額などに加え、業界のトピックを踏まえてマイナビ編集部が選定した一部の企業となります。業界の分類は、マイナビ2027の業種分類に沿っています。各社の直近の決算に基づき、該当する分野の主に売上高の大きい順に企業を掲載しています(矢印などで示す関係企業や売上非公開の企業については順不同)。
  • 売上高については、2024年10月期までの連結決算を原則とした、直近の決算期の数字を使用しています。また、非上場企業の場合は、決算公告や自社のホームページなどで公表している直近の売上高を採用。売上高を公表していない企業については「非公開」としています。
  • 出資関係は、上場会社については提出が義務付けられている直近の「有価証券報告書」に沿っています。非上場企業はこれまでに業界団体や企業から公表されている文書などの数字を基にしています。「有価証券報告書」とは、企業の事業内容や、従業員、設備、財務諸表、子会社や関連会社、株主など多くの情報が掲載されており、金融庁のサイト「EDINET」で企業ごとに検索できます。
  • 原稿作成期間は2024年7月1日から10月31日です。

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